著者
柳沢 澄子 須貝 容子 芦沢 玖美
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.163-173, 1965-03-30 (Released:2008-02-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

Of the Japanese girls of ages ranging from 4 to 17, stature, span, upperlimb length, lowerlimb length, acromion height, waist height, foot length, and total head height, and their proportions with stature were measured and calculated, and statistics were taken of each age group. The results obtained by examining the growth sequnece are summalized below.1) Stature, span, upperlimb lenhth and lowerlimb length, and waist height increase till 14 years old showing significant difference between each age, and acromion height till 11 years samely, but after these years the growth rate becomes little. The time when the stature increases most speedily is 10-11 years of age. The total head height increases slowly through the years of age from 4 to 17. (Tables 3. 1, 3. 2, Fig. 1)2) Foot length, lowerlimb length, stature, total head height and upperlimb length reach their adult values at 12, and 17 years of age respectively. (Fig.2)3) Values of indices of span, upperlimb length lowerlimb length, waist height, to stature gradually increase with ages, and reach their greatest values at 11 years of ages, and after that diminish a little till adult. Indices of foot length and total head height, to stature diminish with age. (Tables 4.1, 4.2)4) The characteristics of body proportions of the materials of 4, 7, 10, 13, and 16 years compared with those of adult are shown in Fig. 3.
著者
高橋 秀雄 江藤 盛治 芦沢 玖美 江藤 盛治 高橋 秀雄
出版者
独協医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1969年から1984年の間に,10年以上にわたって毎年1回左手および手根部をX線撮影することのできた東京都内の5歳から18歳までの女子65名について,TW2骨成熟と成長を調べた.1.骨成熟(1)イギリス基準との比較:RUS成熟は全般により速く進行し,1年早い15歳で完熟する.Carpal成熟はイギリス基準とかなりよく一致して進行し,13歳で完熟する.(2)日本人標準との比較:RUS成熟は全般により速く進行するが、完熟に達するのは同じ15歳である.Carpal成熟の完熟は1年早く,13歳である.20-Bone成熟は同じ15歳で完熟する.2.思春期成長42名の初経年月日,身長,体重,胸囲が毎年記録されている者の成長と骨成熟のスプライン平滑化速度を解析した.(1)成長速度の解析:平均して,身長増加のピークは11.1歳に出現し,その8か月後に体重と胸囲のピークが現われた.初経年齢は身長ピークの1年4か月後,12.4歳である.初経時は身長150.3cm,体重41.8kg,胸囲73.6cmであった.また最終身長は157.9cmであった.(2)骨成熟速度の解析:Carpal成熟のピークの出現は最も早く,9歳である.RUS成熟のピークは初経年齢に最も近く,11歳10-11か月に出現する.(3)成長と骨成熟の関連:1)平均初経年齢は12歳3,4か月,身長のピークは初経の1年3か月前,RUS成熟のピークは初経の4,5か月前である.2)初経の早い少女では,身長とRUS成熟のピーク年齢が低く,ピークの強さ(量)が大きい.そして初経時の身長とRUSスコアは低い.3)最終身長が高い少女はピーク時の身長と初経時の身長も高い.また最終身長は思春期の身長成長およびTUS成熟とは無相関である.
著者
須田 昭義 保志 宏 江藤 盛治 芦沢 玖美 北条 暉幸
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.185-194, 1973 (Released:2008-02-26)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

神奈川県大磯町に沢田美喜女史によって設立された混血児のための施設エリザベス•サンダース•ホームに生活する混血児たちの発育を,同女史のご好意とご協力とによって20年にわたって長期観察を続けることができた。本報告はその第3報であって,第1報は1965年に身長•体重について,第2報は1968年に胸囲坐高について,いずれも人類学雑誌に発表した。今回,分析にとりあげたのは6才から15才まで完全に追跡することのできた男児60人,女児31人である。彼らは,父親がアメリカ白人である者(1-W)と,アメリカ黒人である者(J-N)とにわかれるが,母親はすべて日本人である。父親がアメリカ人でない者,母親が日本人でない者は除外した。計測は毎年2回Martinに従って行ったが,肩峰幅と腸骨稜幅は45cm測径器を用いて測定した。比較資料としては,アメリカ白•黒人のデータがKROGMANによって発表された('70)。これは個人追跡を主体とするもので,その対象児の出生年は混血児のそれとほぼ同じ頃に当る。その点,比較に際して時代差を顧慮せずに済むので好都合である。日本人のデータとしては東福寺('57)と木田ら('57)を用いた(いずれも関東地方人)が,前者は横断的,後者は完全な個人追跡研究である。ただし,木田らの身長は文部省発表の同時代日本人に比して著しく小さいので,比較には東福寺に無い腸骨稜幅とそれに関連する示数のみにとどめた。比較資料の示数項目はすべて本論文の著者らによって平均値から算出されたものである。I.年令変化。絶対値•示数とも,混血児•アメリカ人•日本人の間に差がなく,年令変化の経過は3者ほぼ平行している。従って年令変化の進み方に関しては,人種差も混血児の特殊性も認められない。II.混血児と親群との比較a)黒人系混血児(J-N)と白人系混血児(1-W)との比較。胴長•腸骨棘高•肩峰幅の平均値は男女とも差がない。腸骨稜幅は女子でのみ1-W>J-Nである。比腸骨稜幅は男女とも差がなく,比肩峰幅は男女ともJ-N>J-W。比胴長は男子のみJ-W>J-N,比腸骨棘高は男子のみJ-N>1-Wで,女子はいずれも差がない。肩腰示数•胴脚示数によれば,白人系混血児は黒人系混血児に比して胴がながく脚が短かく,肩がせまくて腰が広い体形であることを示している。これはアメリカの白人と黒人とのちがいをそのまま反映している。b)親群との比較。Table1.は混血児がどちらの親に似ているかを矢印で示したもので,右向きは日本人に左向きはアメリカ人に似ていることを示している。実線は,似ている群とは有意差なく似ていない群とは有意差があることを示し,点線はどちらの群とも有意差は認められないが,平均値は矢印の群に近接しているてとを示し,等号は3者の値が酷似するてとを示す。一見してわかるように垂直方向の項目はすべて日本人に近似している。これはGREULICH,ETOらが在米二世の坐高について,その日本人近似性を指摘している事実と符号する。恐らく日本人の遺伝的要因がかなり強力なのであろうと思われる。しかも混血児は日本人と同じ環境で生育したのであるから,日本人近似性がなお一層強調して現われたものと考えられる。しかしながら横方向の項目は矢印の向きがまちまちである。肩峰幅•比肩峰幅は全部左向き,つまりアメリカ人に近似している。腸骨稜幅•比腸骨稜幅はばらばらであって,しかも8本の矢印のうち,実線は2本しかない。従って統計的検定にかかるほどの差はないとみなしてよいであろう。肩腰示数の傾向は若干の興味を引かれる。白人系混血児は日本人に,黒人系混血児はアメリカ黒人に近接するのであるが,これはまた別の観点からみると,いずれも両親のうち平均値の小さい方に近接しているということなのである。肩腰示数が小さいというてとは,相対的に男性的体形であるてとを表わすもので,混血児にあるいはそのような傾向があるてとを示すものかもしれないが,本研究の範囲内では断定はできない。
著者
川田 順造 SOW Moussa DEMBELE Mama SANOGO Klena KASSIBO Breh 中村 雄祐 楠本 彩乃 足立 和隆 坂井 信三 芦沢 玖美 応地 利明 MOUSSA Sow MAMADI Dembele KLENA Sanogo BREHIMA Kassibo SKLENA SANOG ISSAKA BAGAY SAMBA DIALLO BREHIMA KASS 田中 哲也
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

平成5年度は、8年間続けたこの国際学術研究の最終年度にあたり、これまでの研究の方法、組織、内容、成果等について、全般的な総括・反省を行なうとともに、第4巻目の報告書を、これまでと同様、フランス語で作成することに充てられた。報告書をフランス語で作成するのは、第一に研究の成果を、研究対象国であるマリをはじめ西アフリカに多いフランス語圏の人々に還元するためである。第二に、フランス語という、アフリカ研究において長い歴史と蓄積のある国の言語であり、同時に広い国際的通用力を、とくにアフリカ研究の分野でもつ言語で発表することにより、国際的な場での研究者の批判・教示を得、また国際学界への貢献を意図するからである。幸い、この2つの目的はこれまでの3巻の反応をみても、十分に達せられたと思われる。研究分担者であるマリ人研究者も、彼らの公用語であるフランス語で研究成果を刊行し、それがマリをはじめアフリカのフランス語圏の人々、および世界のフランス語を理解する研究者にひろく読まれることに満足し、この面での日本の研究協力に感謝している。他方、フランスをはじめとする世界の研究者からの、この研究報告に対する反応は大きく、巻を重ねるにつれて、送付希望の申込みが、諸国の研究者や研究機関から寄せられている。国際的アフリカ研究誌として伝統のあるフランスの『アフリカニスト雑誌』に第1巻の書評が載ったのをはじめ、学会、論文などでの言及や引用は枚挙にいとまがない。研究の方法、組織については、研究条件等の著しく異なる日本とマリでの共同研究という困難にもかかわらず、マリ側の研究分担者が共同研究の意義をよく理解し、日本人研究者との研究上の協力、便宜供与、成果の共同討議(現地で)、報告書執筆において、誠意をもって協力してくれたことは幸いであった。ただ、マリ国の研究所のコンピューター、ワープロ等の設備の不十分さや故障、郵便事故等に加えて、1991年春の政変に伴なう暴動で研究所の図書や資料、備品が盗難や破壊の被害を受け、この報告書のために準備しておいた貴重な調査資料(録音テープや写真、フィールドノート等)もかなりのものが失なわれて、折角の調査の成果が報告書に十分生かせなかったものもあるのは残念である。それにもかかわらず、マリの研究分担者は、学問的良心に忠実に、内容の充実した報告書を寄せてくれた。1991年の政変の被害で、その年秋締切りの第3巻に報告書を寄せることができなかった、クレナ・サノゴ、ママディ・ダンベレの2人の考古学者は、その欠落を償うべきであるという義務感から、共同の力作レポート1篇のほかに、各自の単独執筆の1篇をそれぞれ寄稿し、報告書全体の広さと厚みを増してくれた。その他の研究者の、調査成果のまとめについては、計画通りないしは、当初の計画をはるかに上まわるもの(例えば、応地利明氏の、熱帯乾燥地の雑穀農業についての、広汎かつ独創的なレポートなど)である。昨年度の現地調査の結果、予定されていた報告書のほか、川田は研究代表者として、8年間の共同研究全体を展望する論考として、「サヘルとスワヒリ」と題する、東西アフリカのアフリカ=アラブ文化の大規模な接触地帯の比較を行なう報告をまとめた。これは川田が年来アフリカ学会等の学会でも発表してきたものの、今回の調査成果をふまえた総括であるが、当研究が対象とする地域である「サヘル」(アラビア語の「緑」「岸」)と東アフリカの「スワヒリ」(「サヘル」の複数形)との対比は、国際学会の視野でもはじめての試みである。また、研究分担者芦沢等によって実施された身体技法と身体特徴についての計測に基づく実証的な研究は、アフリカでの現地調査における文化人類学と自然人類学の共同調査の試みとして、第3巻につづくものであるが、文化を自然の関係を探求する新しい試みとして、予備的な発表を行なった学会(1993年10月日本人類学会・日本民族学会連合大学での楠本等の報告)でも注目されている。その他、坂井、中村、カッシ-ボ、ソ-等の研究分担者も、それぞれの分担課題についての精緻な現地調査に基づく報告をまとめ、独創的な貢献を行なっている。