著者
川田 順造 SOW Moussa DEMBELE Mama SANOGO Klena KASSIBO Breh 中村 雄祐 楠本 彩乃 足立 和隆 坂井 信三 芦沢 玖美 応地 利明 MOUSSA Sow MAMADI Dembele KLENA Sanogo BREHIMA Kassibo SKLENA SANOG ISSAKA BAGAY SAMBA DIALLO BREHIMA KASS 田中 哲也
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

平成5年度は、8年間続けたこの国際学術研究の最終年度にあたり、これまでの研究の方法、組織、内容、成果等について、全般的な総括・反省を行なうとともに、第4巻目の報告書を、これまでと同様、フランス語で作成することに充てられた。報告書をフランス語で作成するのは、第一に研究の成果を、研究対象国であるマリをはじめ西アフリカに多いフランス語圏の人々に還元するためである。第二に、フランス語という、アフリカ研究において長い歴史と蓄積のある国の言語であり、同時に広い国際的通用力を、とくにアフリカ研究の分野でもつ言語で発表することにより、国際的な場での研究者の批判・教示を得、また国際学界への貢献を意図するからである。幸い、この2つの目的はこれまでの3巻の反応をみても、十分に達せられたと思われる。研究分担者であるマリ人研究者も、彼らの公用語であるフランス語で研究成果を刊行し、それがマリをはじめアフリカのフランス語圏の人々、および世界のフランス語を理解する研究者にひろく読まれることに満足し、この面での日本の研究協力に感謝している。他方、フランスをはじめとする世界の研究者からの、この研究報告に対する反応は大きく、巻を重ねるにつれて、送付希望の申込みが、諸国の研究者や研究機関から寄せられている。国際的アフリカ研究誌として伝統のあるフランスの『アフリカニスト雑誌』に第1巻の書評が載ったのをはじめ、学会、論文などでの言及や引用は枚挙にいとまがない。研究の方法、組織については、研究条件等の著しく異なる日本とマリでの共同研究という困難にもかかわらず、マリ側の研究分担者が共同研究の意義をよく理解し、日本人研究者との研究上の協力、便宜供与、成果の共同討議(現地で)、報告書執筆において、誠意をもって協力してくれたことは幸いであった。ただ、マリ国の研究所のコンピューター、ワープロ等の設備の不十分さや故障、郵便事故等に加えて、1991年春の政変に伴なう暴動で研究所の図書や資料、備品が盗難や破壊の被害を受け、この報告書のために準備しておいた貴重な調査資料(録音テープや写真、フィールドノート等)もかなりのものが失なわれて、折角の調査の成果が報告書に十分生かせなかったものもあるのは残念である。それにもかかわらず、マリの研究分担者は、学問的良心に忠実に、内容の充実した報告書を寄せてくれた。1991年の政変の被害で、その年秋締切りの第3巻に報告書を寄せることができなかった、クレナ・サノゴ、ママディ・ダンベレの2人の考古学者は、その欠落を償うべきであるという義務感から、共同の力作レポート1篇のほかに、各自の単独執筆の1篇をそれぞれ寄稿し、報告書全体の広さと厚みを増してくれた。その他の研究者の、調査成果のまとめについては、計画通りないしは、当初の計画をはるかに上まわるもの(例えば、応地利明氏の、熱帯乾燥地の雑穀農業についての、広汎かつ独創的なレポートなど)である。昨年度の現地調査の結果、予定されていた報告書のほか、川田は研究代表者として、8年間の共同研究全体を展望する論考として、「サヘルとスワヒリ」と題する、東西アフリカのアフリカ=アラブ文化の大規模な接触地帯の比較を行なう報告をまとめた。これは川田が年来アフリカ学会等の学会でも発表してきたものの、今回の調査成果をふまえた総括であるが、当研究が対象とする地域である「サヘル」(アラビア語の「緑」「岸」)と東アフリカの「スワヒリ」(「サヘル」の複数形)との対比は、国際学会の視野でもはじめての試みである。また、研究分担者芦沢等によって実施された身体技法と身体特徴についての計測に基づく実証的な研究は、アフリカでの現地調査における文化人類学と自然人類学の共同調査の試みとして、第3巻につづくものであるが、文化を自然の関係を探求する新しい試みとして、予備的な発表を行なった学会(1993年10月日本人類学会・日本民族学会連合大学での楠本等の報告)でも注目されている。その他、坂井、中村、カッシ-ボ、ソ-等の研究分担者も、それぞれの分担課題についての精緻な現地調査に基づく報告をまとめ、独創的な貢献を行なっている。
著者
三村 寛一 秋武 寛 谷口 恵理 織田 修輔 宮本 利夫 梶 綾子 田中 哲也
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.253-262, 2012-09

本研究は,K市における一般人,指導者,中学生を対象に,熱中症に対する知識・理解の実態を把握することと今後の熱中症対策の方向性について検討することを目的とし,アンケート調査を実施した。その結果,指導者は一般人と中学生に比べて熱中症に対する知識が豊富であった。また,昨年に引き続き8割以上の指導者が生徒に熱中症予防の指導を行っているにも関わらず,生徒に上手く知識が伝わっていないことが明らかになった。以上の結果より,今後の熱中症予防の対策の方向性として一般人,中学生に対する啓発活動に加えて,熱中症予防に対する具体的な指導の必要性が示唆された。The purpose of this study was to investigate the cause of heat stroke and learned to take precautions against heat stroke for general public, instructors and students in K city. As the report showed, instructors had got adequate knowledge over heat stroke compared with general public and students. However, it was obvious that although more than 80 percent of instructors made preventive heat stroke lessons for students during the past year, the most of them got a poor awareness of the knowledge of heat stroke. In conclusion, it reflected that it was necessary to make general public and students understand concrete heatstroke prevention, and formally added it to the education activities , so as to establish the directivity of the heatstroke prevention measures in the future.