著者
野崎 園子 芳川 浩男 道免 和久 土肥 信之 石蔵 礼一 安藤 久美子
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

メトロノームによる嚥下訓練とカプサイシンゼリーの6か月間の嚥下訓練における、在宅での長期継続性と訓練の長期効果について検討した。メトロノーム訓練では、12名中10名が継続。嚥下造影(VF)評価では口腔移送時間の短縮と咽頭残留の減少を認めた。肺炎発症はなく、5名でむせや咳が改善した。カプサイシンゼリー訓練では、15名中12名が継続、VF評価は有意な変化は認めなかったが、4名で嚥下自覚症状の改善がみられた。肺炎発症は2名であった。メトロノームによる嚥下訓練は、長期継続可能性と長期訓練効果が期待できる。
著者
加藤 徹 山本 麻未 笠間 周平 伊藤 善啓 池田 ゆうき 坂根 理矢 鍔本 浩志 芳川 浩男 澤井 英明
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.161-167, 2013

抗NMDA受容体脳炎は,若年女性に好発する非ヘルペス性辺縁系脳炎の1つで,卵巣奇形腫関連傍腫瘍性脳炎である.今回われわれは卵巣成熟嚢胞性奇形腫を有する抗NMDA受容体脳炎の再発症例を経験した.症例は35歳で,20歳のときに原因不明の脳炎を発症し,約2カ月間の入院の既往歴があった.その後26歳で妊娠した際に卵巣成熟嚢胞性奇形腫と診断され,妊娠中に腹式左卵巣嚢腫摘出術が施行された.それ以降は健常に過ごしていたが,今回突然の発熱と精神症状を発症した.その後,意識障害を認め脳炎が疑われたため,当院へ紹介となった.当院神経内科へ入院後にけいれん重積発作を起こし,気管内挿管されICU入室となった.入院時に施行したCTで骨盤内に卵巣腫瘍が指摘された.抗NMDA受容体脳炎が疑われ当科へ紹介となり,緊急で腹式両側付属器切除術を施行した.摘出標本の病理診断は成熟嚢胞性奇形腫であった.手術後は昏睡状態が続いたが約1カ月後に開眼し,その後徐々に意識状態は改善し,入院から116日目に独歩で退院となった.入院時に採取した血液と髄液の検体より抗NMDA受容体抗体を検出し,診断確定に至った.退院後は外来において経過観察中で脳炎の再発は認めていない.卵巣成熟嚢胞性奇形腫は頻度の高い疾患であるが,このような疾患を引き起こすこともあり,卵巣奇形腫の症例では詳細な既往歴の聴取で過去の脳炎や,中枢神経に関した既往歴の有無を確認することが重要である.〔産婦の進歩65(2):161-167,2013(平成25年5月)〕
著者
坂本 峻 末永 浩一 笠間 周平 木村 卓 芳川 浩男
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.200-204, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
11

症例は73歳男性である.6カ月で進行する全身倦怠感,四肢筋力低下,体重減少を主訴に入院した.血液検査上ではCa,ACE,リゾチーム,sIL-2R,ビタミン1,25(OH)2Dが高値であった.胸部X線およびCT上BHLを認めず,気管支肺胞洗浄で,CD4/CD8比の上昇を認めた.67Ga-citrateシンチグラフィーでは大腿および肩~上腕部にかけて集積を認め,T1強調画像でガドリニウム造影効果を認めたことより,右大腿直筋より筋生検を行った.筋生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めたため筋サルコイドーシスと診断した.高Ca血症,四肢筋力低下で発症し,BHLを欠く筋サルコイドーシスはまれな症例である.