著者
野崎 園子 芳川 浩男 道免 和久 土肥 信之 石蔵 礼一 安藤 久美子
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

メトロノームによる嚥下訓練とカプサイシンゼリーの6か月間の嚥下訓練における、在宅での長期継続性と訓練の長期効果について検討した。メトロノーム訓練では、12名中10名が継続。嚥下造影(VF)評価では口腔移送時間の短縮と咽頭残留の減少を認めた。肺炎発症はなく、5名でむせや咳が改善した。カプサイシンゼリー訓練では、15名中12名が継続、VF評価は有意な変化は認めなかったが、4名で嚥下自覚症状の改善がみられた。肺炎発症は2名であった。メトロノームによる嚥下訓練は、長期継続可能性と長期訓練効果が期待できる。
著者
安藤 久美子 長尾 啓子 川島 敏生 渡邊 幹彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.462, 2003 (Released:2004-03-19)

【目的】我々は投球障害肩の治療において野球肘の既往を認める者を多く経験し、肘関節の可動域(以下ROM)制限が肩の運動に影響を与えている可能性があると考えた。そこで上肢回旋ROMを測定する方法を考案し、肘関節や手関節などの固定が上肢のROMに影響を与えることを報告してきた。今回、投球障害肩の選手の上肢回旋ROMを測定し健常群と比較検討したので報告する。【対象】健常肩群(以下N群)健常な上肢を有する者22名。男性10名女性12名。平均年齢は25.0歳。投球障害肩群(以下Ab群)当院を受診し、投球障害肩と診断された野球選手。男性9名。平均年齢19.5歳であった。【方法】測定は各被験者1回、肘関節伸展位で上肢を矢状面・前額面で両上肢挙上させ、挙上角度0°60°120°における上肢の回旋運動を最大努力にて行い、前腕回内外運動器(YAESU社HKY式)を用いて測定した。これを以下の4条件で行い、_丸1_固定なし:Free_丸2_手関節固定:Wrist_丸3_前腕回内位固定:P -elbow_丸4_前腕回外位固定:S-elbow。各条件でのAb群とN群の平均値を比較検討した。【結果】(1)上肢回旋ROM(屈曲挙上角度:N群/Ab群)Free(0:360/320)(60:340/300)(120:310/280)Wrist(0:320/300)(60:310/290)(120:290/270)P-elbow(0:250/230)(60:250/230)(120:240/220)S-elbow(0:230/240)(60:230/250)(120:220/220)(2)上肢回旋ROM(外転挙上角度:N群/Ab群)Free(0:360/310)(60:370/320)(120:320/290)Wrist(0:320/300)(60:350/220)(120:300/270)P-elbow(0:250/220)(60:290/260)(120:260/210)S-elbow(0:230/240)(60:260/250)(120:230/220)であった。Ab群の回旋ROMはN群と比較してS‐elbow以外では前額面、矢状面ともに可動域が低かった。S‐elbowではAb群とN群に大きな差は認めず、矢状面上では逆転していた。【考察】上肢の回旋運動は肩甲胸郭節と肩関節と前腕の複合運動である。今回の実験よりAb群は上肢の回旋可動域の低下が認められた。しかし、前腕回外位固定では正常群と大きな差は認められなかった。これはAb群が前腕回外位で固定された状態に近く、前腕の回内位に入らないのを肩関節内旋で代償していると考えられ、こうした動きの制限が可動域減少の1つの要因と考えられた。投球障害肩の発症の1つの要因に前腕の回内外制限を肩関節内外旋で過度に代償した結果が推測された。