著者
榎田 翼 若槻 尚斗 水谷 孝一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J96-A, no.5, pp.197-204, 2013-05-01

本論文は,金管楽器において吹鳴圧力に加え唇のアパチュアを変化させたときの吹鳴音高を計測することで,吹鳴圧力とアパチュアが吹鳴音の音高に与える影響を明らかにすることを目的とする.具体的にはアンブシュア可変機構を有する人工吹鳴装置を用いて,吹鳴圧力とアパチュアの大きさを制御しながら吹鳴音の計測を行った.結果として吹鳴圧力とアパチュアの相互関係により励起される吹鳴音の周波数が決定されることを確認した.また,アパチュアの大きさを徐々に大きくしていく場合と小さくしていく場合では吹鳴音の周波数が遷移するアパチュアの大きさが異なるという結果が得られた.更に,アパチュアを小さくすれば吹鳴音の周波数が高くなるという奏者の見解とは逆に,人工吹鳴においてアパチュアを大きくしたときに吹鳴音の周波数が高くなるという興味深い結果が得られた.
著者
小倉 渓 水谷 孝一 若槻 尚斗
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.686-693, 2021-11-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
23

本論文では,大型擦弦楽器において特定の音高を演奏した際に生じるウルフトーンを技術的に抑圧するための指針を示すため,擦弦条件(弓の速度や圧力の組み合わせ)と発生範囲の関係を数値計算により求めることを目的とする。まず楽器の等価モデルを用いてウルフトーンを再現した後,弓の速度や圧力を網羅的に変化させウルフトーン発生状態マップを作成し,これと実験結果を比較することでモデルの妥当性を検証した。その結果,弓の速度変化によるウルフトーンの周期変化の傾向や,圧力を維持したまま弓の速度を減速することで抑圧されるといった傾向が実験結果と定性的に一致し,本モデルの妥当性が示された。
著者
湯田坂 卓人 若槻 尚斗 水谷 孝一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.362-370, 2014-07-01 (Released:2017-06-02)

シンバルは薄板の幾何学的非線形性により打叩の強弱で音色が大きく変化するが,サンプリング音源を利用する電子楽器はこれを十分には再現できない。非線形性に起因するモード間エネルギー遷移を考慮して適切にモデル化しシンバル音を合成すれば,自然な音色変化が再現できると期待される。本研究では,シンバル音をリアルタイム合成する簡易な音響モデルを開発することを目的とし,非線形に起因する高次モードの発生及び各モードの減衰率を測定した。また,測定したパラメータを用いた音響モデルでシンバル音を合成した結果,エンベロープ等が実測波形とよく一致し,初期振幅に応じた音色変化を再現できることを確認した。
著者
川岸 卓司 松梨 夏季 水谷 孝一 若槻 尚斗
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設 = Journal of the Society of Agricultural Structures, Japan (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-7, 2014-03

養豚農家において,呼吸器感染症の豚を早期に発見し,その拡散を防止することは大変重要である。現在,呼吸器感染症の検査は,各種抗体検査などで陰陽性を判別しているが,所要時間や費用を鑑みると頻繁に検査を行うことは困難である。そこで,本稿では,マイクロフォンアレイを用いて豚の咳・くしゃみ音を自動的に検出し,その発生位置を特定するシステムを提案する。提案手法を評価するため,標準サンプルに同一種の離乳期豚で湿潤状況が陰性な咳・くしゃみ音を使用し,同様の環境である豚舎にて咳・くしゃみ音の検知を行い,その発生位置の特定を行った。その結果,豚のくしゃみ音は30kHz以上の周波数を含み,ハイパスフィルタを用いた手法により,識別率は99.9%,位置測定率は85.7%で特定が可能であった。また,咳音は10-20kHzの周波数を含み,バンドパスフィルタを用いた手法により,識別率は99.6%,位置測定率は75.0%で特定が可能であった。これらの実験により,本手法の有効性が確認された。
著者
味藤 未冴来 川岸 卓司 水谷 孝一 善甫 啓一 若槻 尚斗 竹前 喜洋 西藤 岳彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

豚呼吸器感染症は農家に甚大な損失を与える。豚は呼吸器感染症に感染している時にくしゃみ回数は増加する。しかしながら,くしゃみ回数の増加がインフルエンザによって引き起こされるかは検証されていない。これを検証するため,感染をコントロールした環境下で音信号・動画像の収録を行った。本稿では,収録した音信号に効率的なラベル割り当て支援システムの開発を目的とする。まず,音響イベントを検出するために,収録した信号に周波数フィルタを適用し,SN比に基づいて閾値判定した。その後,検出した音響イベントと動画像を観測者に同時に自動提示した。結果として,14日間の収録音に対し,3万サンプルの音響イベントが検出された。また,観測者は3000サンプルに対してラベル割り当てを行い,このうちくしゃみ音は67サンプル存在した。ラベル割り当ては,1時間あたり最大200サンプルの速さであり,本支援システムが割り当て作業の効率化をもたらした。
著者
榎田 翼 若槻 尚斗 水谷 孝一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.197-204, 2013-05-01

本論文は,金管楽器において吹鳴圧力に加え唇のアパチュアを変化させたときの吹鳴音高を計測することで,吹鳴圧力とアパチュアが吹鳴音の音高に与える影響を明らかにすることを目的とする.具体的にはアンブシュア可変機構を有する人工吹鳴装置を用いて,吹鳴圧力とアパチュアの大きさを制御しながら吹鳴音の計測を行った.結果として吹鳴圧力とアパチュアの相互関係により励起される吹鳴音の周波数が決定されることを確認した.また,アパチュアの大きさを徐々に大きくしていく場合と小さくしていく場合では吹鳴音の周波数が遷移するアパチュアの大きさが異なるという結果が得られた.更に,アパチュアを小さくすれば吹鳴音の周波数が高くなるという奏者の見解とは逆に,人工吹鳴においてアパチュアを大きくしたときに吹鳴音の周波数が高くなるという興味深い結果が得られた.