著者
山本 千景 河野 潤一 西藤 岳彦 清水 晃
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.7-12, 1996-01-30

ブドウ球菌が産生する外毒素によって引き起こされる病原性の発症機序にはT細胞の異常活性化が関与すると考えられている。本研究では,SEA&acd;SEDおよびTSST-1の免疫学的作用を明らかにする一環として,各毒素投与マウスにおける胸腺および脾臓のT細胞のサブセット解析を行った。1. TSST-1 25ng投与マウスの胸腺においてはヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の割合は共に増加しており,脾臓においても各T細胞は増加していた。微量(17pg=1.7×(10)^<-2>ng)投与マウスでは胸腺におけるヘルパーT細胞が増加していた。2. SEAとSEBの25ng投与マウスでは,胸腺の総細胞数の減少と脾臓の総細胞数の増加が認められた。またSECとSEDについては,胸腺総細胞数が増加していた。微量(17pg)投与マウスにおいてSEA&acd;SEDについての胸腺では,いずれもヘルパーT細胞の増加が認められ,SEA,SEB,SEDでは細胞傷害性T細胞の増加も認められた。以上の結果から,ブドウ球菌外毒素はいずれも微量の投与によってマウスの胸腺や脾臓のT細胞サブセットに大きな影響を与えることが明らかとなった。また,その作用はTSST-1において顕著であった。
著者
西藤 岳彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.415-421, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
11
著者
味藤 未冴来 川岸 卓司 水谷 孝一 善甫 啓一 若槻 尚斗 竹前 喜洋 西藤 岳彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

豚呼吸器感染症は農家に甚大な損失を与える。豚は呼吸器感染症に感染している時にくしゃみ回数は増加する。しかしながら,くしゃみ回数の増加がインフルエンザによって引き起こされるかは検証されていない。これを検証するため,感染をコントロールした環境下で音信号・動画像の収録を行った。本稿では,収録した音信号に効率的なラベル割り当て支援システムの開発を目的とする。まず,音響イベントを検出するために,収録した信号に周波数フィルタを適用し,SN比に基づいて閾値判定した。その後,検出した音響イベントと動画像を観測者に同時に自動提示した。結果として,14日間の収録音に対し,3万サンプルの音響イベントが検出された。また,観測者は3000サンプルに対してラベル割り当てを行い,このうちくしゃみ音は67サンプル存在した。ラベル割り当ては,1時間あたり最大200サンプルの速さであり,本支援システムが割り当て作業の効率化をもたらした。
著者
西藤 岳彦 竹前 善洋 内田 裕子
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.71-75, 2009

2009年4月にメキシコで発生したインフルエンザの流行が豚インフルエンザウイルスの遺伝子再集合ウイルス(リアソータント)によるものであることが明らかになり,6月にはWHO(世界保健機関)も新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを宣言した。1997年にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスによる人感染事例によって6人が死亡して以来,高病原性鳥インフルエンザウイルス(Highly Pathogenic Avian Influenza virus ; HPAIV)に対する注目が高まっていた中で起こった新型インフルエンザの流行によって動物のインフルエンザウイルスが人獣共通感染症として人類に与える脅威が改めて認識されたことと思われる。本稿では,動物,特に家畜(豚,馬,家禽)に存在するインフルエンザウイルスについて解説する。<BR>動物のインフルエンザはオルソミクソウイルス科(<I>Orthomyxoviridae</I>),インフルエンザウイルスA属(<I>Influenzavirus A</I>),インフルエンザA型ウイルス(<I>Influenza A virus</I>)によって引き起こされる。一方,人のインフルエンザは,インフルエンザA型,B型,C型ウイルスによるもので,それぞれの型はウイルスのNP(Nucleoprotein),M(Matrix)蛋白の抗原性によって区別される。