著者
栗林 志行 保坂 浩子 中村 文彦 中山 哲雄 中田 昂 佐藤 圭吾 關谷 真志 橋本 悠 田中 寛人 下山 康之 草野 元康 浦岡 俊夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.308-315, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアは,EGDで拾い上げが可能であることが多いものの,治療選択に関わるサブタイプの診断は困難である.また,その他の食道運動障害では内視鏡検査時に異常所見を認めることはまれである.食道X線造影検査は食道運動障害の拾い上げに有用であるが,やはり食道アカラシアのサブタイプやその他の疾患の診断には,食道内圧検査,特にHRM(high-resolution manometry)が欠かせない.食道アカラシアをはじめとする食道運動障害の診断では,EGDや食道X線造影検査,HRMなどの検査所見を総合的に評価することが必須と考える.
著者
河野 辰幸 神津 照雄 大原 秀一 草野 元康
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.951-961, 2005-04-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
31
被引用文献数
7

Barrett粘膜の頻度を得る日的で,初回内視鏡検査施行例2,595例を対象に疫学調査を施行した.その結果Barrett粘膜は2,577例中536例(20.8%)に認められた.Barrett粘膜の長さは女性よりも男性で有意に長く,Barrett粘膜の頻度と年齢層との問には相関関係を認めなかった.Barrett粘膜の有無と胸やけの有無,Barrett粘膜の長さと逆流性食道炎の重症度,食道裂孔ヘルニア重症度との間に相関を認め,萎縮性胃炎がBarrett粘膜の長さに影響を及ぼしていた.逆流性食道炎がBarrett粘膜の発生に重要な役割を担っているものと推察されたが,欧米と比較して,典型的Barrett食道の頻度は著しく低かった.今後統一したBarrett粘膜の定義や診断基準によるevidenceの集積がさらに必要と思われた.
著者
小林 剛 佐藤 賢 山崎 勇一 大山 達也 堀口 昇男 柿崎 暁 草野 元康 山田 正信 横濱 章彦 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2215-2220, 2016-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

52歳,女性.多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植後,複数回輸血を行った.定期受診の際に肝機能障害が認められ,精査目的で入院.HEV(hepatitis E virus)-IgA抗体陽性からE型急性肝炎と診断し,肝庇護療法にて軽快,退院とした.喫食歴からは感染源は特定できず,輸血による感染を疑った.輸血に使用したロットの保存血清からHEV-RNAが検出され,患者検体とHEVの塩基配列が一致したため,輸血によるE型肝炎と診断した.