著者
鈴木 悠平 山崎 勇一 橋爪 洋明 大山 達也 堀口 昇男 佐藤 賢 柿崎 暁 山田 正信
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.108-114, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
20

症例は70歳,女性.末梢の冷感,痺れに対してサプリメント(金時しょうが®)の内服を開始.内服2カ月後より上腹部違和感,食欲低下,褐色尿などの症状が出現.内服中止するも改善せず,中止12日後に当院紹介受診.黄疸,肝機能障害を認め入院.精査の結果,金時しょうが®による薬物性肝障害と診断.保存的治療により改善,第25病日退院となった.退院前に施行した肝生検では薬物性肝障害に矛盾しない組織所見であった.
著者
大塚 敏之 高木 均 豊田 満夫 堀口 昇男 市川 武 佐藤 賢 高山 尚 大和田 進 徳峰 雅彦 堤 裕史 須納瀬 豊 新井 弘隆 下田 隆也 森 昌朋
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.517-522, 2000-11-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
11

マイクロ波やラジオ波を用いた凝固療法は肝癌に対する局所療法として広く行われるようになってきた.今回, 我々はマイクロ波やラジオ波による凝固効果を, イヌ及びブタを全身麻酔下に開腹した後肝臓にそれぞれの電極針を穿刺し通電することにより検討した.イヌを用いた実験では, 肉眼的にAZWELL社製マイクロ波, RITA社製ラジオ波及びBOSTON社製ラジオ波で凝固範囲が異なった.組織学的には, いずれも辺縁部に直後では出血を, 5日後では肉芽組織の形成が認められ明らかな差はなかった.ブタを用いた実験では, RITA社製ラジオ波のみの解析であるが, 組織学的に通電直後と6時間後では辺縁部に出血が見られ, 7日後では辺縁部に肉芽組織の形成が認められた.また, 通電時間による凝固範囲内の組織学的所見には差がなかった.したがって, 生体において, マイクロ波とラジオ波ともに良好な凝固効果が得られると考えられた.
著者
小林 剛 佐藤 賢 山崎 勇一 大山 達也 堀口 昇男 柿崎 暁 草野 元康 山田 正信 横濱 章彦 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2215-2220, 2016-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

52歳,女性.多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植後,複数回輸血を行った.定期受診の際に肝機能障害が認められ,精査目的で入院.HEV(hepatitis E virus)-IgA抗体陽性からE型急性肝炎と診断し,肝庇護療法にて軽快,退院とした.喫食歴からは感染源は特定できず,輸血による感染を疑った.輸血に使用したロットの保存血清からHEV-RNAが検出され,患者検体とHEVの塩基配列が一致したため,輸血によるE型肝炎と診断した.
著者
市川 武 柿崎 暁 堀口 昇男
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

横紋筋肉腫の発癌機序を調べるために、肝細胞増殖因子トランスジェニクマウス(HGF/SFtgマウス)と癌抑制遺伝子であるp53、Arf、Ink4aそれぞれのノックアウトマウス(p53-/-マウス、Arf-/-マウス、Ink4a-/-マウス、)を交配して作成されたHGF/SFtg+p53+/-マウス、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫を解析した。HGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫のウエスタンブロッティングによる解析では、Ink4a、Cdk4、Cdk6の発現は維持されていたものの、Rb発現の消失を認めた。またHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋に比較してc-myc発現の増強を示した。同様にリアルタイムPCRでもHGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてc-myc DNAコピー数の増加(extracopyあるいはhalf copy)を確認した。筋原性分化に関与するMyogeninはHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋には発現を認めなかったのに対して、横紋筋肉腫では発現が確認された。一方、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫の同様の解析ではRb、p53の発現は維持されていることを確認した。c-mycはHGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてはHGF/SFtg+p53-/-マウスと同様に骨格筋に比較して発現の増強を示したが、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスではc-myc発現の増強は明らかでなかった。これらの結果より(1)横紋筋肉腫発癌にp53/Arf径路の不活性化が重要であるが、p53とArfは必ずしも同様の機序で横紋筋肉腫発癌抑制に関与しているわけではなく、Rb不活性化が関与する可能性が認められた。(2)横紋筋肉腫発癌にはp53/Arf径路の不活性化に加え、c-mycの関与が示唆された。