著者
鈴木 悠平 山崎 勇一 橋爪 洋明 大山 達也 堀口 昇男 佐藤 賢 柿崎 暁 山田 正信
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.108-114, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
20

症例は70歳,女性.末梢の冷感,痺れに対してサプリメント(金時しょうが®)の内服を開始.内服2カ月後より上腹部違和感,食欲低下,褐色尿などの症状が出現.内服中止するも改善せず,中止12日後に当院紹介受診.黄疸,肝機能障害を認め入院.精査の結果,金時しょうが®による薬物性肝障害と診断.保存的治療により改善,第25病日退院となった.退院前に施行した肝生検では薬物性肝障害に矛盾しない組織所見であった.
著者
宇津木 光克 松崎 晋一 蜂巣 克昌 矢冨 正清 久田 剛志 山田 正信 土橋 邦生 丸田 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-77, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
7

チオトロピウムとインダカテロールを併用している慢性閉塞性肺疾患症例を対象として,グルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更による有用性を検討した.対象症例は16例,平均年齢は72.9歳,FEV1は1.31±0.43 L,%FEV1は49.2±12.9%であった.薬剤変更後4週,12週とも肺機能検査では変化を認めなかったが,薬剤変更後12週でのCATは有意に改善した.またデバイスの嗜好性においては,各手技,吸入手技の自信,吸入の継続性に対して,ハンディヘラー®と比較しブリーズヘラー®の嗜好性が高かった.以上のことからチオトロピウムとインダカテロール併用からグルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更は,合剤のメリットであるアドヒアランスの向上だけでなく,QOLの改善効果,さらには吸入デバイスに対する嗜好性から吸入の快適さも向上させうることが示唆された.
著者
山田 正信 森 昌朋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.720-725, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

中枢性甲状腺機能低下症(CH)は,下垂体から分泌されたTSHの量的あるいは質的な低下で甲状腺への作用が減弱し発症する.意外にも多くのCHの血清TSH値は基準値内を示す.CHの約60%は下垂体腫瘍を原因とするが,近年,頭部外傷やくも膜下出血後,GH製剤や種々の薬剤,コントロール不良のBasedow病の母親から生まれた児などが新たな原因として加わった.CHは高LDL-C血症などの脂質異常症の原因となり適切な治療が必要である.
著者
松本 俊一 山田 正信
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.147-157, 2022-04-25 (Released:2022-06-02)
参考文献数
11

甲状腺は甲状腺ホルモン(TH)を分泌し,体内の蛋白,脂質,糖代謝それぞれの分解と合成といった,相反する代謝に作用し生体の恒常性を維持している重要な臓器である.甲状腺疾患には大きく「甲状腺機能異常」と「甲状腺腫瘍」がある.また高齢者ではポリファーマシーとなることも多いため「薬剤性甲状腺障害」も考慮する必要がある.近年,甲状腺疾患領域は新しい治療方針や取り扱い方法なども増え日々進歩している.
著者
小林 剛 佐藤 賢 山崎 勇一 大山 達也 堀口 昇男 柿崎 暁 草野 元康 山田 正信 横濱 章彦 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2215-2220, 2016-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

52歳,女性.多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植後,複数回輸血を行った.定期受診の際に肝機能障害が認められ,精査目的で入院.HEV(hepatitis E virus)-IgA抗体陽性からE型急性肝炎と診断し,肝庇護療法にて軽快,退院とした.喫食歴からは感染源は特定できず,輸血による感染を疑った.輸血に使用したロットの保存血清からHEV-RNAが検出され,患者検体とHEVの塩基配列が一致したため,輸血によるE型肝炎と診断した.
著者
羽柴 哲夫 山田 正信 本郷 卓 宮原 永治 藤本 康裕
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.301-306, 2010-05-25 (Released:2010-07-09)
参考文献数
5

症例は67歳男性.突然の意識障害と右上下肢麻痺で発症した.臨床症状より脳底動脈塞栓症を疑ったが,発症1時間後の頭部CTでは異常を認めず.撮影中に意識障害・右上下肢麻痺は改善を示したため,同時に3D-CT angiographyを施行した.結果,主幹動脈の閉塞を認めず,塞栓後直ちに再開通が得られたと判断した.発症当日には患者は完全に回復したと発言し,自覚的訴えも無かったが,発症翌日に盲を訴えた.MRIにて両側後頭葉梗塞を認めたため,皮質盲と診断した.本患者は発症急性期には,盲であることに無関心であったと考えられ,病態失認の一種であるAnton症候群を呈していたと考えた.T-PA時代においては脳梗塞急性期に正確な神経症状の評価が必要であり,病態失認の存在は急性期診断のpit fallになりえると考えた.閉塞血管の再開通により神経症状の回復が見られ,t-PA療法の適応がないと判断されてもNIHSSの評価は必須であると考えた.