著者
荒川 薫
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_21-2_25, 2007-10-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12

乳幼児は様々な状況下で泣き声を発するが,泣き声の音響上の特徴及び,各状況下において泣き声の定量的性質がどのように違うかを明らかにする研究が,種々行われてきた.本解説では,これらについて紹介する.このような研究には,単に,泣き声の定量的性質や,各状況下での統計的性質の違いを明らかにするものから,その啼泣原因を推定するルールベースシステムを提案するものまでが存在する.また,月齢によってもその定量的性質に違いがあり,新生児のみ対象とした研究や,月齢2 か月~ 6 か月,あるいは月齢12 か月までの高月齢児を対象とした研究がなされている.定量的性質としては,その周波数分布に着目するものが多いが,他に,泣き声の持続時間やその間隔に着目して乳児の状態を分類しようとする方法も提案されている.
著者
大柴 小枝子 小舘 亮之 荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp."SSS-4"-"SSS-5", 2010-03-02

ブロードバンド環境の構築など電子情報通信分野における急速な技術進歩は、競争のグローバル化を進展させている。そのため経済の持続的な繁栄や市民生活の安定、ざらには、社会を取り巻く環境、エネルギー問題対策など、未来を切り開くためには科学・技術の一層の発展と研究成果からの絶えざるイノベーションの創出が求められている。そのようなイノベーションを創出できる研究開発人材の確保が重要となるが、一方で、将来を担う研究者となるはずの博士号取得者が就く常勤職が少ないなど、その就職が社会問題化している。本企画では、企業・研究所のトップ・経営層、第一線で活躍する大学教育者の視点から、「今必要とされている理工系人材」および、「将来のイノベーションシステムのあり方」について課題を提議する。さらにパネルディスカッションにおいては、産業界において博士号取得者を有効に活用するにはどうしたらいいのか、大学でどのような人材教育をすべきであるか、未来を切り開く理工系人材にはどのようなことが求められているか、などの課題を参加者とともに考える。
著者
菊池 健一郎 荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.677, pp.55-60, 2006-03-15
被引用文献数
3

月齢3-4ヵ月の低月齢乳児の啼泣の周波数解析を行うことにより啼泣の原因を推定するシステムを提案する.著者らは先に月齢5ヶ月以上の高月齢乳児の啼泣に対し、「空腹」「眠気」なる二つの原因を取り上げ,周波数解析により、その原因を約8割の正答率で推定できることを示したが、4ヵ月以下の低月齢児の啼泣はその周波数成分が異なるので、同じルールでこれらの原因を推定することができなかった。本稿では、新たに月齢3-4ヵ月児の「空腹」「眠気」「眠気空腹」「不快」に置ける啼泣を周波数解析し、それぞれの啼泣理由に異なる特徴があることを明らかにした.そこで,この性質を用いて,それぞれの啼泣理由を分類するルールベースシステムを構築し、実際の月齢3-4ヵ月児の啼泣に適用し,約80%の正答率で正しく識別することができた.
著者
荒川 薫 伊藤 節子
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

乳幼児は言葉を持たず、「泣く」という行為によって何らかの不快感を人に訴えようとする。母親はこの音声(啼泣)を聞き、不快の原因を取り除こうとするが、一般に乳幼児の音声やその状況を観察しただけでは、その原因を理解することが困難である。すなわち、啼泣の原因には、空腹、眠い、痛い、寂しい、不安など複数の要素があるが、乳幼児の観察からこの原因を特定することは難しい。従って母親は種々の原因を想定して様々な対処を試行錯誤的に試みるが、対処が不適切であると乳幼児の啼泣は続き、これが母親の育児ノイローゼを引き起こしたり、さらには昨今問題となる乳幼児虐待をも引き起こすことになる。そこで、乳幼児の音声を計算機で解析して啼泣原因を推定・表示することができれば、母親は容易に適切な対処を選択して子供の啼泣を早く止めることができ、種々の育児トラブルを軽減できると考えられる。本研究では、このように言葉を話せない乳幼児の音声が持つ意味情報を計算機処理により解析し、啼泣原因を推定する情報処理システムを提案する。特に、乳幼児の啼泣原因として最も一般的な、「空腹」と「眠い」を主に取り上げ、空腹時と眠いときの泣き声を自動的に識別するための特徴量抽出や推定ルールの構築を行った。実際の乳幼児の泣き声に本システムを適用し、およそ8割の精度でこれらの泣き声の自動識別を行うことができた。また、注射をした後の痛いときの泣き声についても検討を行った。さらに、乳幼児の音声処理の前処理として必要な、音声に混入する雑音除去のための新しい非線形ディジタルフィルタを提案し、その有効性を示した。
著者
荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.844-852, 1994-08-25
参考文献数
40
被引用文献数
4

信号処理の分野では,雑音除去,信号復元などを行うために,従来,線形ディジタルフィルタが主に用いられてきた.しかし,このフィルタは,相乗性雑音や非定常・非ガウス性の信号および雑音に対して有効ではない.そこでこのような線形フィルタの能力の限界を打破するため,種々の非線形ディジタルフィルタが提案されてきた.これには,信号の大きさの順位に基づくもの,信号の局所的性質に応じてフィルタパラメータを変化させるもの,線形式を高次多項式に拡張して信号モデルを表すものなどがある.これらの非線形ディジタルフィルタは画像および音声の雑音除去,画像強調,および各種システム同定に対して効果的である.
著者
荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.123-131, 1995-02-25
被引用文献数
43

画像などの信号をほとんど変形させることなくインパルス性雑音を効果的に除去するフィルタとしてファジールールに基づくメジアンフィルタを提案する.インパルス性雑音を除去するには従来メジアンフィルタが効果的であることが知られているが,このフィルタは信号波形自身の変形をも引き起こす.そこで,インパルス雑音が存在する場合のみメジアンフィルタとして動作し,それ以外の場合は入力をそのまま出力すればよいが,インパルス雑音の有無を判定するルールが一般にあいまいである.本論文では,ファジールールによりこの判定ルールを表し,それに基づき出力を制御する新しいタイプのメジアンフィルタを提案する.このフィルタはトレーニングによって最適設計されるものである.実際の画像の雑音除去においてその有効性を示す.
著者
鈴木 雅之 玉手 慎也 荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.461, pp.101-105, 2009-02-26
被引用文献数
1

近年,ヒトの感性を考慮した工学的システムの研究が注目されている.しかし,現在の感性工学における感性評価は,アンケートなどの個人による主観的評価に基づくものが主であり,これでは評価が曖昧なものとなってしまう.そこで,人間の生体信号などを用い,客観的な評価を行うことが要求される.本稿では,感性に関する客観的評価指標として脳波を用い,文章の黙読時における精神的負荷の評価を行った.解析はα波及びβ波の含有率と主成分分析に基づくものである.この結果,文を構成する文字の大きさと表示媒体により,黙読時の覚醒や精神的負荷には差異が生じることが明らかとなった.