著者
荒木 俊之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.105-115, 2019 (Released:2019-03-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本稿では,大阪府北部地域における7市(豊中市,池田市,吹田市,高槻市,茨木市,箕面市,摂津市)の地域防災計画を取り上げて,自然的,社会経済的な視点からみた地域特性が,予防対策や応急対策などの災害対策,被害想定や対策を行う想定地震などに考慮され,目次構成や想定災害に示されているかどうかを検討した.7市では,災害応急対策,中でも,事故災害に対する対策,そして,対策を行う想定地震に相違がみられた.想定地震の相違は,各市が想定する際の考え方の違いによるものであり,自然災害に対しては,自然的な視点からみた地域特性を踏まえて項目立てされている.事故災害に対する対策では,社会経済的な視点から類似性のある地域特性を有していても,各市の判断により,地域特性を考慮した項目立てがなされない場合がみられた.
著者
荒木 俊之
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.57-67, 2019-03-15 (Released:2020-04-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本稿では,地方都市・岡山市を取り上げて,まちづくり三法制定とそれに関連する都市計画制度充実の結果,地方自治体が小売店の立地規制をどのように選択し,その選択が,主に1990 ~2010 年頃の小売店の立地にどのような影響を与えたかを,筆者の実証研究(荒木 2010,2011,2013)をもとに考察した. まちづくり三法制定とそれに関連する都市計画制度の充実は,大規模小売店舗(以下,大型店)を含む小売店の立地規制を,地域の実情に応じて強化や緩和することを可能にした.岡山市では1990 年代以降,大型店の立地は郊外化するとともに,2004 年以降,開発許可条例を利用した大型店を含む小売店立地の外延的拡大が進み,開発許可条例区域では新たな商業集積地が形成された.コンビニエンスストア(以下,コンビニ)もまた,2000 年代以降,郊外化を指向した.岡山市は,どちらかといえば,小売店に対する立地規制の緩和を選択し,結果として,まちづくり三法施行後も小売店立地は郊外化の傾向にあった.
著者
荒木 俊之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.56-69, 2016 (Released:2016-06-23)
参考文献数
31
被引用文献数
3

本稿では,小売業の立地規制で代表的な大店法の運用が緩和された1990年代以降の小売店の立地変化と立地規制の影響について,店舗形態,業態,立地環境の視点から明らかにした.成長を示した業態や地域に共通している点は,1990年代以降の立地規制の運用緩和が少なからず影響していることである.たとえば,1990年代以降の市街化調整区域における開発許可の運用緩和,2000年以降の市街地縁辺部における幹線道路のロードサイドでの開発許可条例の運用,そして,1990年代における大店法の運用緩和である.
著者
荒木 俊之
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.203-213, 1994-04-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
42
被引用文献数
8 1
著者
荒木 俊之
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.66-80, 2018-06-28 (Released:2019-08-21)
参考文献数
11

本稿では,神戸市灘区の水道筋商店街を事例に,大都市圏中心都市における地域型商店街をとりまく環境の変化を捉えたうえで,商店街の店舗構成の変化を明らかにした。水道筋商店街は,近隣地区の人口と世帯数が2000年以降に増加傾向にあり,現在も約300の店舗等が立地し,商店街を通行する者の数も多い。しかし,周辺地区に大型店の立地が進んだこともあり,水道筋商店街の年間商品販売額は1991年をピークに減少を続けている。こうした状況下,水道筋商店街では機能変化と地区間格差の拡大が進んできた。具体的に,機能変化としては,対個人サービス店および飲食店の店舗数が増加する一方で,買回品店および専門店などの店舗数の減少が確認された。また,地区間格差の拡大については,地区間での空き店舗率の差の拡大,チェーン店の出店状況の違いが確認された。水道筋商店街は近年,対個人サービス店および飲食店の店舗数の増加に加え,集客力のある食料品中心のスーパー,さらにドラッグストアなど新たなチェーン店が立地するようになった。その結果,多くの地域住民が水道筋商店街で最寄品を日常的に購入する傾向が強まり,集客力を維持していることから,政府からも成功した商店街として高い評価を受けるようになった。すなわち水道筋商店街は,地域型商店街から近隣型商店街へとその性格を変化させることで,衰退を免れ,現在も存続しているとみることができる。
著者
荒木 俊之
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.191-204, 2012-11-28 (Released:2017-04-14)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The purpose of this research is to clarify the locational characteristics and locational patterns of convenience stores (CVS) in Kyoto City in the 2000s (2001-2010). The findings are as follows. 1) CVS became more concentrated in the central business district in the urban core during the second half of the 1990s in Kyoto City. This tendency is also seen in the 2000s. 2) Since 2000, the proportion of CVS located on shopping streets has been decreasing. In comparison, the proportion of CVS located near railway stations has been increasing. 3) The tendency to spread into various areas progressed further. It was seen that there are diverse types of CVS in Kyoto City. Since the late 1990s and through the 2000s, the population growth of Kyoto City has occurred in the urban core along with the development of condominiums. The locations of CVS are keeping pace with the increase in population in the urban core. The locational patterns of CVS in the cities of Kyoto, Okayama, and Takamatsu were in accordance with the suburbanization of the population till the first half of the 1990s. Since the second half of the 1990s, the locational patterns of CVS in these cities were in accordance with population movement back to the city. This tendency in Kyoto City for CVS location was also seen in the cities of Okayama and Takamatsu. After 2000, when the growth in the number of CVS slowed down, the tendency between these three cities for CVS location became different.
著者
荒木 俊之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.560-566, 2018 (Released:2018-12-29)
参考文献数
9
被引用文献数
2

本稿では,都市計画基本問題小委員会において審議された「都市のスポンジ化」を取り上げて,それに関する研究動向,小委員会での議論の結果として提示された中間とりまとめを概説し,「都市のスポンジ化」に対する地理学的アプローチの有効性を検討した.現在,「都市のスポンジ化」の実態は,ほとんど明らかにされていない.また,それに影響を受けるであろう立地適正化計画は,都市圏の範囲で作成することが求められる一方で,「都市のスポンジ化」は街区単位の問題としてミクロな視点から捉えることが必要であり,それぞれ扱うスケールが異なっている.そのため,筆者は,都市圏を対象に,まずはマクロな視点から都市の低密度化を捉え,そのうえでミクロな視点から「都市のスポンジ化」の実態を明らかにする地理学特有のマルチスケールによる地域特性の把握が,その手法として考えられると示した.
著者
荒木 俊之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-11, 2017 (Released:2017-06-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1

立地適正化計画は,コンパクトシティ・プラス・ネットワークを実現するために,2014年に創設された.本稿は,立地適正化計画の創設の背景とその概要を概説するとともに,地理的な視点からとらえた立地適正化計画の作成と運用の問題点を整理することを目的とする.本稿では三つの視点,すなわち立地適正化計画の区域の範囲,都市機能誘導区域の階層構造に関連する機能設定,土地利用規制とそれにともなう地域差から問題点を整理した.これらに共通するのは,立地適正化計画の区域の範囲に関することである.立地適正化計画は都市圏の範囲での作成が求められるが,都市計画区域が都市圏と一致しないことにより,コンパクトシティの実現に向けた取組みも,作成主体である市町村内にとどまる可能性が想定される.これは,都市計画の根本をなす都市計画区域の問題でもあり,都市計画区域の再編や変更が柔軟に行えない都市計画制度の硬直化といえよう.