著者
佐々木 雅也 荒木 克夫 辻川 知之 安藤 朗 藤山 佳秀
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2005 (Released:2005-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

腸管粘膜細胞の増殖・分化は,消化管ホルモンなどの液性因子や食餌由来の腸管内増殖因子などにより巧妙に調節されている.腸管内の増殖因子として,ペクチンなどの水溶性食物繊維には顕著な腸粘膜増殖作用があり,それには発酵性と粘稠度が関与している.発酵により生じた短鎖脂肪酸,特に酪酸は大腸粘膜細胞の栄養源であり,腸管増殖因子としても作用する.一方,酪酸には抗炎症作用があり,傷害腸管の修復にも関与する.これらは,デキストラン硫酸(DSS)にて作成した潰瘍性大腸炎モデルにおいても確認されている.さらに,酪酸産生菌である Clostridium butyricum M588経口投与によってもDSS大腸炎の炎症修復が確認された.一方,発芽大麦から精製されたGerminated barley foodstuff (GBF)は,潰瘍性大腸炎モデルなどによる基礎研究の成績をもとに臨床応用され,優れた臨床成績から病者用食品として認可されている.また,レクチンにも食物繊維と同様の腸粘膜増殖作用があるが,これらは腸内細菌叢に影響を及ぼすことなく,おもに腸粘膜への直接的な増殖作用とされている.これらの増殖因子は傷害からの修復にも寄与するものと考えられる.
著者
隅蔵 大幸 奥野 龍禎 高橋 正紀 荒木 克哉 北川 一夫 望月 秀樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.224-228, 2013-03-01 (Released:2013-03-23)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

症例は76歳男性である.71歳より耳の奥でカチカチ鳴る音を自覚した.75歳から進行性の歩行障害が出現した.睡眠時も持続する約2 Hzの律動的な口蓋振戦と体幹失調をみとめ,脳MRIでは下オリーブ核のT2異常高信号と肥大,軽度の小脳萎縮をみとめた.近年,孤発性の変性疾患としてprogressive ataxia and palatal tremor(PAPT)という症候群が報告されている.診断にあたっては,多系統萎縮症,脊髄小脳変性症,成人型アレキサンダー病などの鑑別を要するが,本例では否定的でありPAPTに該当すると考えられた.本例の口蓋振戦は症候性と考えられたが,耳クリック音で発症した点が特異であった.
著者
佐々木 雅也 荒木 克夫 辻川 知之 安藤 朗 藤山 佳秀
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 = Journal of intestinal microbiology (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2005-01-01
参考文献数
21
被引用文献数
1

腸管粘膜細胞の増殖・分化は,消化管ホルモンなどの液性因子や食餌由来の腸管内増殖因子などにより巧妙に調節されている.腸管内の増殖因子として,ペクチンなどの水溶性食物繊維には顕著な腸粘膜増殖作用があり,それには発酵性と粘稠度が関与している.発酵により生じた短鎖脂肪酸,特に酪酸は大腸粘膜細胞の栄養源であり,腸管増殖因子としても作用する.一方,酪酸には抗炎症作用があり,傷害腸管の修復にも関与する.これらは,デキストラン硫酸(DSS)にて作成した潰瘍性大腸炎モデルにおいても確認されている.さらに,酪酸産生菌である <i>Clostridium butyricum</i> M588経口投与によってもDSS大腸炎の炎症修復が確認された.一方,発芽大麦から精製されたGerminated barley foodstuff (GBF)は,潰瘍性大腸炎モデルなどによる基礎研究の成績をもとに臨床応用され,優れた臨床成績から病者用食品として認可されている.また,レクチンにも食物繊維と同様の腸粘膜増殖作用があるが,これらは腸内細菌叢に影響を及ぼすことなく,おもに腸粘膜への直接的な増殖作用とされている.これらの増殖因子は傷害からの修復にも寄与するものと考えられる.<br>
著者
石倉 照之 奥野 龍禎 荒木 克哉 高橋 正紀 渡部 健二 望月 秀樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.909-913, 2015 (Released:2015-12-23)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は23歳男性である.先行感染後に強直間代性痙攣を発症し,抗てんかん薬による治療にもかかわらず,痙攣発作を繰り返した.ウイルス学的検査や抗神経抗体は検索した範囲では陰性で,原因不明であったことから,new-onset refractory status epilepticus(NORSE)と呼ばれる症候群に合致する臨床像であった.ステロイドパルス療法,免疫吸着療法及び経静脈的免疫グロブリン療法を行い痙攣の頻度が減少したが,意識障害は遷延した.本患者血清を用いてラット脳の免疫染色を行ったところ,海馬神経細胞の核及び細胞質が染色され,自己免疫介在性であることが示唆された.
著者
荒木 克也 黒土 達也
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.256, 2010

【はじめに】<BR>患者様の在宅復帰を円滑にすすめていく上で、患者様を中心とした家族、医師、看護師、コメディカルスタッフの協力・連携が重要である。しかし、患者様の疾患が重症であればあるほど在宅復帰は難しい状況が現状であり、またその家族の受け入れ次第では復帰できる可能性のある患者様も在宅復帰を困難にしていることも現状である。そのため今回、当病院においてより良く家族に患者様を受け入れていただくことを目的として家族会を開催し、実施後の家族へのアンケート調査をもとに取り組みを行った経過および結果をここに報告する。<BR>【対象】<BR>当院回復期病棟に入院中である熊本県地域連携パスBコース(当院在宅復帰率85.7%)及びCコース(当院在宅復帰率36.2%)の患者様家族を中心に声かけを行い希望者を募った。<BR>【方法】<BR>看護部からは症例を用いて説明し、医療連携室からは介護保険制度の説明、リハビリテーション室からはベットからの起き上がり方法・車椅子及びトイレへの移乗方法を中心とした実技指導方法も交えて3部門よりそれぞれの特色を生かした説明を行なった。その後、第1回の参加者12名、第2回参加者9名、第3回参加者9名の計30名の家族会に参加した方々に終了後アンケート調査を実施した。<BR>【結果】<BR>1.開催日について:良い88%その他12%2.開始時間:良い96%その他4%3.講義時間:良い88%長い8%未回答4%4.講義内容:理解しやすい66%普通34%5.実技:わかりやすかった88%普通12%<BR>【考察】<BR>今回3年分の家族会の経過を基にアンケート調査を実施し検証を行った。アンケート調査の内容に今後取り上げてもらいたい内容、その他ご意見・ご感想の欄を設けた。その意見として、退院後のリハビリテーションの実施方法、栄養面での栄養士による栄養指導、住宅改修を実際に行った前後の写真や経費、入院期間の期限、入浴介助方法などの意見を頂いた。このような意見を基に今後の展望として家族会に上記の意見を十分に取り入れていきたいと考える。また、県外の兄弟にも参加させたい、もっと頻度を増やしてほしい、退院後も定期的に行ってほしい。と積極的な意見もみられ、これは地域連携パスにおける重傷者の患者家族の意見としてはより在宅復帰が近いものになってくるのではないかと考える。今後も検証を続け、患者様家族の意見を取り入れもっと家族会がよりよいものとなり、1人でも多くの患者様が在宅復帰できるよう支援していきたいと考える。
著者
石倉 照之 奥野 龍禎 荒木 克哉 高橋 正紀 渡部 健二 望月 秀樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000757, (Released:2015-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は23歳男性である.先行感染後に強直間代性痙攣を発症し,抗てんかん薬による治療にもかかわらず,痙攣発作を繰り返した.ウイルス学的検査や抗神経抗体は検索した範囲では陰性で,原因不明であったことから,new-onset refractory status epilepticus(NORSE)と呼ばれる症候群に合致する臨床像であった.ステロイドパルス療法,免疫吸着療法及び経静脈的免疫グロブリン療法を行い痙攣の頻度が減少したが,意識障害は遷延した.本患者血清を用いてラット脳の免疫染色を行ったところ,海馬神経細胞の核及び細胞質が染色され,自己免疫介在性であることが示唆された.