著者
菊池 修平
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.15-20, 1988-02-29 (Released:2011-05-20)
参考文献数
12

It is reported that little bromate is left in bread after potassium bromate has been broken down by heat treatment. But not only the methods employed for measuring bromate so far are not the same, but also many kinds of bread have been used than and there.So, using a loaf of commercial bread (3 pound of bread) and a roll bread made under the same condition, the remain of bromate in each kind of bread was measured by Ion Chromatography. When potassium bromate added is less than 50 ppm in a pullman bread, less than 90 ppm in a mountain bread, less than 60 ppm in a roll bread, bromate was broken out and not detected. When the remain of bromate could be detected, they decreased in proportion to the amount of potassium bromate added.It is reported that 10-15 ppm of bromate is added to bread by bread manufacturers. As a result, it is confirmed that no bromate is left in a loaf of bread and a roll bread made and sold by manufacturers.
著者
高橋 哲也 片山 統裕 菊池 修 辛島 彰洋 中尾 光之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.370, pp.65-68, 2006-11-15
被引用文献数
5

神経回路を構成するニューロンの相互作用や協調的活動を調べることを目的として多重電極による多細胞記録法が用いられている.この手法では同時に記録された複数のニューロンの活動電位を波形情報を頼りに弁別する.複数のニューロンがほぼ同時に発火すると波形が重畳するため,従来のパターン認識の手法ではスパイクの弁別精度が低下するという問題があった.この問題を解決する手法として独立成分分析(ICA)を適用した手法が提案されてきた.しかし十分な分離結果が得られないことが多い.本研究では,連続ウェーヴレット変換と複素ICAを組み合わせた新しいスパイク弁別アルゴリズムを提案する.シミュレーションデータに本手法を適用することによって,従来のICA法より優れた性能を持つこと,及びそのメカニズムについて考察する.
著者
菊池 修 石井 美佐子 守橋 健二 中山 光宣
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.11, pp.1587-1593, 1986-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
33
被引用文献数
1

ESRパラメーターの実験値とINDO-UHF法によって計算した理論値を比較することにより,遊離基の構造を決めることを試みた。遊離基の9値,等方性および異方性超微細結合定数の実験値と理論値の差を最小にして,得られた分子構造をESRパラメーター最適化構造とした。12種の遊離基について計算した分子構造,ESRパラメーターを実験値およびエネルギー最適化構造と比較することにより,この方法の有効性と問題点について考察した。
著者
菊池 修 古崎 輝也 守橋 健二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.11, pp.1409-1413, 1986-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2

溶媒効果を扱う有効電荷モデルにおいて,分子中の各原子に対する構造因子を導入した。溶媒殻に占める溶媒の割合から求める溶媒殻体積因子と,溶媒と接する原子球の表面積から求める表面積因子である。有効電荷モデルを取り入れたCNDO/2計算によると水中でのアセチルコリンの立体配座は,構造因子を導入しない場合には真空中の立体配座とほぼ等しくなるが,溶媒殻体積因子を導入すると実験および他の理論的モデルで計算されている立体配座とよい対応を示すようになった。溶媒殻体積因子には結合していない原子の立体的効果も含まれているので,溶媒中の分子の立体配座の計算には重要である。
著者
菊池 修
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.678-688, 1979-08-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
42
被引用文献数
7 6

The reaction mechanisms of the O-O cleavage of organic peroxides, hydrogen peroxide, hydroperoxides, dialkyl peroxides, peracids, peroxyesters, and diacyl peroxides, have been explained on the basis of their HOMO and LUMO and on the basis of the potential surfaces along the reaction paths.The discussion covers the electronic structure and conformation of the peroxides, the characteristics of HOMO and LUMO of the peroxides, the reaction with nucleophiles and with electrophiles, homolytic decomposition process, radical-induced decomposition, and the electronic structure of the radicals produced from the O-O cleavage.
著者
植田 康孝 菊池 修登
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.27, pp.141-165, 2017-03

世界的な人工知能研究者のレイ・カーツワイルは,人工知能が人間の情報処理能力を上回る特異点「シンギュラリティ」に至ると,人間生活は後戻りできないほど変容する,と指摘する。現時点で,人工知能の脅威を間近に感じるところで生活している人は少ない。2030 年と推定される「シンギュラリティ」が到来すると,私たち一人一人今の将棋界のトップ棋士のように失職リスクやアイデンティティについて嫌でも考えさせられるようになる。本稿は,そのような近未来の私達の状況を先取りした将棋界について考察する。将棋に限らず,人工知能があらゆる分野で人間を凌駕する時代(「シンギュラリティ」と呼ぶ技術的特異点)になり,私たち人間は,人工知能の存在をどう受け止めれば良いのか。それは,翻って人間の本質,存在意義を問う問題でもある。「SF だけの話だろう」と疑う一方で,オセロ,チェスから将棋へ,今や囲碁まで,コンピュータがプロ棋士に勝つ現実が生まれている。人工知能の発達は留まるところを知らず,いつ誰が,現在の棋士が置かれているような状況に立たされるとも限らない。将棋界がヒントになることもあるはずである。 「人工知能」とは何か。「人間の知能とは何か?」が研究されていないため,「人工知能」に関する明確な定義はない。人工知能を研究する開発者は人間のような知性を持った人工物(コンピュータ)を作ることを目指している。「人工知能研究者は常に出来ないことに取り組んでいる」という「命題」は正しい。「人間に出来て機械に出来ないこと」を機械に出来るようにする研究が「人工知能」である。そのため,「機械に出来るようになったこと」は「人工知能」の定義から抜けて行く。コンパイラ,数式処理,オートコンプリート,かな漢字変換などは,かつて「人工知能」であったが,現在は「人工知能」とは呼ばれない。「人工知能がトップ棋士より強くなった」ということになれば,「将棋」と「囲碁」は「人工知能」の研究テーマから抜けていくことになり,いずれ「人工知能」と呼ばれなくなる。かつて飛行機で,自動操縦と人間の操縦のどちらが信頼できるのかという議論があったが,現在ではほぼすべてが自動操縦で済むようになっている。いずれ自動車も自動運転になって行くと予想される。「将棋」で人工知能が人間と対局する「電王戦」において,人工知能が人間の能力を上回る「シンギュラリティ」に対し,棋士,ファンの間に「受容」する側面と「焦燥」する側面が両立する。電王戦によって,将棋ファンが増える,新しい棋譜が生まれるなどの「受容」面がもたらされる一方,「チェス」「囲碁」とは異なる精神(作法)の不在や棋士のアイデンティティにつき「焦燥」する面がある。 人工知能が発達しても,人間の聖域として「創造性」が残されると指摘する人が少からずいるが,実は「創造性」においてこそ,人工知能が人間を凌駕する領域であることが,将棋界から分かって来る。バリエーションやコンビネーションを駆使し,これまでトップ棋士が指さなかった新手が次々と生まれている。同様に芸術家たちが手掛けて来なかった独創性の高い音楽や絵画や詩を作ることも人工知能であれば,可能であることが分かって来ている。将来的には美的センスを理解し創造する人工知能が出現することは間違いない。むしろ,人間の感性の幅が狭いため,人工知能による独創的な作品を受け入れられかどうかの方が課題となる。ヒトは自らの学名を傲慢にもホモ・サピエンス(賢明なヒト)と名付けたが,ホモ・スタルタス(愚かなヒト)になる瞬間である。