著者
西村 清和 尼ヶ崎 彬 長野 順子 相澤 照明 山田 忠彰 中川 真 渡辺 裕 津上 英輔 青木 孝夫 外山 紀久子 大石 昌史 小田部 胤久 安西 信一 椎原 伸博 上村 博 木村 建哉 上石 学 喜屋武 盛也 東口 豊 太田 峰夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は従来自然美論、風景論、環境美学、都市美学という評語のもとで考えられてきたさまざまな具体的、個別的諸問題領域を、日常生活の場において企てられたさまざまな美的実践としてとらえなおし、あらたな理論化を目指すものである。具体的には風景、都市景観、森林、公園、庭園、人工地盤、観光、映画ロケ地、遊芸、雨(天候)、清掃アートなど多様な現象をとりあげて分析し、その成果を『日常性の環境美学』(勁草書房、2012)として刊行した。
著者
齊藤 稔 青木 孝夫 欒 竹民 幣原 映智 長田 年弘 安西 信一 原 正幸 金田 晋
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は東西の伝統的学芸の価値概念である西洋の自由学芸、日本の芸道、中国の六芸を対象とし、解釈学的に比較することを意図した比較芸術学的共同研究であり、広島市立大学をはじめ広島大学その他の大学の専門家の協力をえて推進した。ヨーロッパにおいては古代から中世を経て近世・近代に至るまで7自由学芸(septem artes liberales)、文法、修辞学、弁証術、数学、幾何学、天文学、音楽はアルス(ars)として、技術・芸術と学問の不可分の領域と見なされ、哲学とともに人間性を探究するための、また教育と教養を培うための学芸であった。古代ローマ時代のキケロはそのような教育と教養が人間存在にとって必要不可欠な徳としての気品(dignitas)を生み出すことを強調し、ルネッサンスにおいてペトラルカは人間社会のためにそのような倫理の必要を説いた。これはまた造形芸術の美質であり目的でもあった。他方レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画を自由学芸と同列に置き、絵画は学問であるとして「絵画学」(scienza della pittura)を主張した。というのは絵画は遠近法や解剖学や光学などを本質的に必要とするからである。日本の芸道は民族的な美的意識であり、芸術の思念と実践を統合する価値概念であった。これはあらゆる美的な生活芸術を貫く芸と術の道としての芸術的営為であり、教化されるべき様式として把握された。また高い徳と美的に教育された人間存在の教養を形成するために求められた。そこでは制作や表現においても、享受や理解においても、つねに帰一すべき根源的自然、あるいは神的超越者を自覚して精進する。芸道は真・善・美を求める人にとって高徳の人間形成のための、また美的形成、美的教養として望まれる必須のアルス(学芸)であった。中国ではさらに古くから六芸として、礼、楽、射、御、書、数の教養思想があり、基本的には人間として修得すべき教養や道徳であり、技芸や学芸であった。その修得は文学や哲学から詩や書・絵画の技術的習練にも結びついた。それは絵画では書画同体、十八画法などの奥義の技法をも含んでいる。本共同研究はこれら3つの概念を比較学的に研究し、それらの類似と相違を明確にするように試みた。それによって3つの美的システムが学芸の領域に属するだけではなく、真・善・美の価値意識の普遍的理念を伴う人間生活全般に深く関わることを理解することができた。そしてこの総合研究の成果は学際的研究への貢献として、それら伝統的学芸とその解釈が美的真実への感性的理性的認識に到達するものであることを示しえたと考えている。
著者
青木 孝夫
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.8, pp.p55-70, 1993-03

近松門左衛門の『曽根崎心中』、とりわけその<道行>の場面の上演に即して、独自の他界観を検討した。それに拠れば、心中の道行には二つの位相があり、一つは相対死(あいたいじに)に到る過程、今一つは霊魂の結婚に到る死後の旅路である。 『曽根崎心中』の道行では、この二つの位相が言わば重ねられて上演される。死に極まる恋愛は、身体の死に到る過程がそのまま霊魂の一体化の過程として描写または具体化されている。「恋の手本」は死の門を通過して、「一つ蓮」と二人一緒に成仏することによって成就する。蓮の花咲く来世は単なる死者の国ではなく、仏教的に了解された浄土である。かく恋愛の理想と成仏とが、心中という情死を通して結びつき一体的に実現される。 その心中は、元来遊女の愛の誓いであるが、その真心を示すのについには命を懸ける点で、この観念は「一所二懸レケル命ヲ」武士の主従の<契り>と融合している。この<契り>は前世からの定めの約束であり、心中の道行は、この約束の成就の過程にして来世への往生の過程である。この時、情死は死に行く二人の恋心が誠であることの明かしである。
著者
古東 哲明 高橋 憲雄 原 正幸 中村 裕英 青木 孝夫 桑島 秀樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.研究実習・研修会の開催と実践的コラボレーション:臨床哲学研究会(計100回)および人間文化研究会(計20回)を開催した。新皇ゼミナール(計30回)を通じ広島県の政・財・官のトップリーダーへの思想啓蒙活動を行った。また研修講演会(計10)を開催すると同時に、実技指導、ワークショップを行なった。2.海外調査・研修:原、町田、菅村が中国(武漢/昆明/西安)へ、中村がイタリア、島谷がポーランド、大池がアフリカ、辻が韓国、村瀬がフランス、堀江がドイツ、桑島がアイルランドへ渡航し、現地調査・資料収集にあたるとともに、海外研究者との研究交流を行った。3.電子装置整による研究環境づくり:購入したパソコンを駆使し、データベース構築を充実させ、内外の研究者や関心ある医療現場・学校教育・宗教的治癒現場のスタッフ、一般市民との交流環境を整備した。4.資料室・機械室設営と図書収集・工房環境整備:思想資料室、芸術工房を整備し、芸術学、応用倫理学、現代思想、日本思想に関する諸文献を収蔵し、研究者が常時閲覧できるようにするとともに、カメラやTVなど各種電子機器による実習環境を整えた。5.理論構築と実践的技法の探求:上記資料の精密な解読により、研修や調査と関連づけながら、諸論文を執筆しあたらしい哲学や実践理論や倫理論や美学を構築し論文を作成し、各学会で公開すると同時に、綿密な報告書を作成した。6.機関誌及びニューズレターの編集と発刊:執筆者を内外ひろく募り、新規購入の印刷機器を駆使し、『臨床哲学研究』第5〜8号を発刊した。ニューズレター『制作科研通信』等を定期的に発刊した。
著者
青木 孝夫 原 正幸 樋口 聡 桑島 秀樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

申請書の研究の目的に示したように、藝道に代表される日本の伝統的藝術観は、西欧の近代的藝術観から疎外される形で成立したが、現代文化に於いて重要な意義を担っており、作品に結実する独創性の美学とは別の藝術的実践の美学を支えている。その藝道思想の現代的活用の探求を進め、美的文化の日常的実践やその身心観を考察した。天才や独創性の神話を離れて展開した藝術は、複製技術の普及と絡み広範な美的実践として姿を現し、従来の藝術の境界を突き崩し拡大している。この点の探究を、研究の実施計画に従い、各分担者が進めた。その具体的内容を記す。青木は、上記の事態を習い事や美的教養の伝統に即して解明し、また文化の日常的な実践や礼儀・作法など藝道の名では呼ばれていない、実践するアートの享受と自己涵養の思想的解明に尽力した。樋口は現代の文化的実践が前提する東洋的身心観の特性を西欧との比較の上に探究を進め、知的藝術観とは異なる身心の涵養に関わる東洋的身心観及び藝術観を考察した。原は、現代の文化実践を支える東洋の礼楽思想や音楽的実践などを、東西の古典に即し比較学的に推進した。桑島は、現代文明が生み出した美的理念でもある崇高が、所謂藝術現象に限定されない広汎な文化現象と関わることに着目し、その淵源を理論的歴史的に探究し、なお現代文明に於ける文化実践の意義を検討した。以上を受けて青木が総括した。本研究の意義について簡単に述べる。習い事や美的教養また東洋的身心観の解明を進め、人間性の身心両面に亘る涵養と表現の問題を、何よりもまず〈藝術〉として了解してきた日本の伝統を解明した。以上を基礎に、その発展的形態である藝道・武道・礼法・躾け・嗜み・スポーツなど、広義のアートと呼ばれるべき文化的実践の意義を現代的文脈に於いて解明し、それが現代文明が必要とする身心の全面的「教養」即ち涵養と関わることを解明した点が格別重要である。
著者
金田 晋 樋口 聡 原 正幸 奥津 聖 菅村 亨 青木 孝夫 外山 紀久子 松本 正男
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

21世紀の初頭にあたって、アジア美学は、世界美学の多元化のもとで、辺境の地位から表舞台に登場した。そのような比較美学の視点から、アジアの藝術思想を事象に即して再検討し、新しい問題地平を開発しようとした。1)「藝術」という西欧近代美学で形成された枠を突破する必要がある。それは高級な教養としての藝術を娯楽に向かって開放する(シュスターマン教授を共同研究者として示唆を得た)。それはまた美的という価値概念をエポケーして、生の感性をむき出しにすることとも通じる。アジアの身体思想から新たな身体・感性論を開拓せんとした(樋口聡等)。2)訓練、練磨は、西欧美学においては新しい技術を身につけるための準備を意味していた。だが東洋で、それは座禅が端的に示しているように、何よりも身体から日常生活の惰性や先入観を洗い落とし、無の境地を開くための身体的行為であった(青木孝夫等)。3)感性的図式としての時間と空間は、西欧近代美学においてはっきり区別され、とくに言語は時間的継起において捉えられてきた。それに対して、東洋の漢字に代表される言語観において、書字は言語的行為にどこまでも浸透し、空間的並列として直観されるところに特色をもつ。カリグラフィーが言語の新しい可能性を開拓する(奥津聖等)。4)諸藝術ジャンルについての、事象に即した研究。中国の音楽(原正幸等)、日本近代の人形劇(澤井万七美)、絵画(菅村亨等)、色彩問題(金田)。スタッフ外から西アジアの工芸の発表(福田浩子)。5)古代ギリシャの陶器画に見られるアジアのイメージについての実証的研究(長田年弘)。現代の演劇パフォーマンスにおけるアジア・イメージ(外山紀久子)。アジアは内なる者の自覚としてだけでなく、他者によって作り上げられたイメージとしても捉えられるべきである。そこにはナショナリズムの問題も加わるであろうし、また共同研究に参加された藤川哲による、現代芸術におけるアジア・ブームの分析。
著者
青木 孝夫
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.55-70, 1993-03-30

近松門左衛門の『曽根崎心中』、とりわけその<道行>の場面の上演に即して、独自の他界観を検討した。それに拠れば、心中の道行には二つの位相があり、一つは相対死(あいたいじに)に到る過程、今一つは霊魂の結婚に到る死後の旅路である。
著者
稲垣 道夫 岡田 明 小林 志希男 木村 勝美 福原 煕明 松本 庄次郎 青木 孝夫 中野 恵司 兼古 光行
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.775-783, 1982-09-05
被引用文献数
1

For purpose to obtain the fundamental data of securing the reliability of welded joints, the establishment of welding control technique to make weld defects of arc welded joints in the natural condition, the design and trial making of ultrasonic point focussed probe in order to detect quantitatively planar defects and their application were carried out. And also, effects of the lack of penetration with one side welding of SM50B steels on the fatigue test results of welded joints were investigated. The main results are as follows; (1) Relation between the lack of penetration and welding condition in gas metal arc (GMA) welding were made clear. (2) The point focusing angle probe using spherical tansduser in ultrasonic detecting method was applied to the measurement of the size of lack of penetration. In case that the root face of butt welded joint was gas cut, the detecting accuracy was about±0.5mm. However, in case that there were blow-holes or some weld defects on the way of passing of ultrasonic beam or near the root, the size of planar defect was often mistaken. And also, in case that the root face was closely attached by welding, the detection of lack of penetration was often difficult. (3) The uniaxial stress fatigue strength of arc welded joints for SM50B steels which have the lack of penetration of about 2&acd;4mm in depth, without reinforcement and finished surface, was extremely lower than that of base metal and welded joints which have full penetration, without reinforcement and finished surface And the fatigue strength of arc welded joints with reinforcement showed the intermediate values between that of base metal or welded joints which have without reinforcement and finished surface and that of welded joint which have the lack of penetration of about 2&acd;4mm in depth, lowered fairly in comparison with that of base metal. These test results were discussed with non-linear fracture mechanics, consequently, the fatigue limits of welded joints are evaluated with effective notch depth as a whole.
著者
小島 崇嗣 谷内 昇一郎 青木 孝夫 小野 厚 蓮井 正史 高屋 淳二 小林 陽之助
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.184-192, 2004-06-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7

アレルギー疾患合併小児162例 (A群) (男/女: 92/70) とアレルギー疾患非合併小児47例 (B群) (男/女: 25/22) を対象としてインフルエンザワクチンの副反応を検討すると同時に, フマル酸ケトチフェンによる予防内服の有用性を調べた. A群のうち即時型の卵アレルギーを有する症例は15例であった. A群の79例とB群の15例 (計94例) ではワクチンの100倍希釈液で皮内テストを施行した. また, 全209例中44例でフマル酸ケトチフェンの予防内服を施行しその有効性を検討した. その結果, 皮内テスト施行例のうち皮膚スコア2 (発赤径20-39mm) を示した症例は, A群24% (卵アレルギー群での検討では13%), B群20%と差を認めなかった. しかし, 両群とも約10%に皮内テストから予測できない強い即時型局所反応がワクチン接種部位に認められた. 遅発型局所反応は209例中24例 (11%) に認められ, A群18例 (11%), B群6例 (11%) であった. 即時型局所反応ろコアとワクチン接種回数との関係では, 即時型局所反応スコアが2以上を示した割合はそれぞれ, 初年度例の6%, 2年度例の23%, 3年度例の26%, 4年以上例の42%であり, 複数回接種により接種部位の即時型局所反応が出やすくなることが判明した. また, 遅延型局所反応でも同様の関係が認められた. フマル酸ケトチフェンによる予防内服の効果に関しては, 即時型局所反応, 遅延型局所反応ともに有効性が認められた.