- 著者
-
藤井 克則
宮下 俊之
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.4, pp.247-252, 2009 (Released:2016-05-11)
- 参考文献数
- 61
- 被引用文献数
-
1
ヘッジホッグシグナル伝達経路は生体にとって形態形成と細胞増殖をコントロールする重要な経路である. 本経路はリガンドであるヘッジホッグとその受容体であるpatched (PTCH), 隣接タンパクのsmoothened (SMO), その下流のGli (GLI) から構成されている. この経路の異常は出生前であればGorlin症候群等の奇形症候群を, 出生後であれば髄芽腫, 基底細胞癌等の癌腫を来す. 近年低分子化合物を用いた本経路の阻害研究が進み, 特に癌領域でその分子標的治療が効果を上げている. 小児神経学において先天性奇形症候群と易腫瘍形成性に対処する上で, このヘッジホッグシグナル伝達経路の理解は極めて重要である.