著者
藤原 修 井川 隆規
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J84-B, no.10, pp.1841-1847, 2001-10-01

静電気放電(ESD:ElectroStatic Discharge)で生ずる過渡的な電磁ノイズはハイテク機器に深刻な電磁障害を引き起こすとされる.この種のESDの主原因の一つに人体の帯電現象が知られており,それゆえに人体電位に深く関与する人体の静電容量がこれまでに測定されてきた.しかしながら,人体容量はグラウンド面と人体姿勢との関係に大きく左右されるので,人体容量を決定づける要因は明確でない.本論文では,表面電荷法でグラウンド面上の立位姿勢にある人体の静電容量を計算した.その際,人体は形状を多面体で構成し,本論文では765,917,1,529面の3種類の多面体モデルを用いた.この結果,容量値は足裏がグラウンド面に近づくほど増大すること,靴底と同じ高さ(10 mm)にある人体容量は120~130 pFであること,十分離れた高さでは60 pF前後であること,などがわかった.この計算知見は人体容量の実測によって確認できた.
著者
平田 晃正 藤原 修
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.420-424, 2012-08-25
参考文献数
21

本章では,電磁波の基本的性質について述べた後,非電離放射線に焦点を絞り,電磁界の何が反応の刺激になるかを説明する.この際,電磁界にさらされると人体にはどういう反応が現れるかではなく,電磁界の何が反応の刺激になるかについて概説する.また,電磁界の人体影響と電波防護に関するガイドラインにおいて,数値ドシメトリが果たす役割について説明する.
著者
小川 康 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

静電気放電(electrostatic discharge:ESD)とは電荷蓄積に基づく花火放電を指す.これから発生する電磁パルスは,マイクロ波帯に及ぶ広帯域の周波数スペクトルを含み,情報処理装置やディジタル機器に不測の誤動作や破壊を引き起こす.特に,帯電体同士の衝突・接触で生ずる間接ESDは直接的なそれよりも機器システムに及ぼす影響は深刻であり,しかも低電圧ESDほうが高電圧ESDよりも大きなダメージを与えるという.この種の特異現象は点火プラグのそれに酷似しており,両者には類似の機構の存在を思わせる.この観点から筆者らのグループでは,プラグギャップの電流解析法を間接ESDに応用することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することを数値的に誘導した.本文では,間接ESDモデルとして球対球電極を用い,同電極間の花火放電によるディジタル機器の誤差動作頻度を実測することで上述の特異現象を実験的に示す.また,この場合の機構が前報告の理論から定量的に説明できることも示す.
著者
上山 博也 前野 剛 平田 晃正 王 建青 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.371, pp.1-6, 2007-11-30
被引用文献数
21

車載電子機器のプリント回路基板(PCB)からワイヤハーネスへ流出する伝導雑音電流は,車載ラジオの妨害源となる.ワイヤハーネスへの伝導雑音電流を流出させにくいPCBグラウンド層のスリット効果の解明を目的として,スリットの入ったグラウンド層を共通とする直交配線パターンの簡易PCBを作成し,配線パターン間のクロストークのFDTD計算と測定を,FM周波数帯を含む300kHz〜1GHzの周波数範囲でスリット数との関係において行った.その結果,計算結果は測定結果を概ね表すこと,2スリットのクロメトークレベルは1スリットのそれに比して必ずしも大きいわけではなく,スリットの配置によってはクロストークレベルを低減し得ること,などが確認できた.
著者
向出 尚正 王 建青 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.488, pp.11-15, 2003-11-28
被引用文献数
2

遠方界曝露の人体において,体内器官で生ずる30MHz〜3GHz帯の局所共振現象を解剖学的人体全身数値モデルに対して並列FDTD法で解析した.主要器官に対する平均SARの周波数特性から,65MHz,200MHz及び700〜900MHz付近での局所共振発生を明らかにし,65MHz付近での共振は人体縦方向での全身共振,200MHz付近での共振は人体横幅方向での共振,700〜900MHz付近での共振は,器官自身の寸法によるものと推察できた.また,胴体内器官での局所共振時のSAR値は,全身共振時のそれより低いが,頭部,脳,眼球,睾丸では,全身共振時のSAR値よりも高いレベルで局所共振が起きることがわかった.さらに,人体モデルの体重が同じで身長が異なる場合は共振周波数での全身平均SARはほとんど変わらないのに対し,身長が同じで体重が軽い場合には共振周波数での全身平均SARは著しく増加することがわかった.