著者
吉田 征弘 矢野 佑典 王 建青 石田 武志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.12, pp.928-937, 2022-12-01

近年,複数の電子機器同士を組み合わせたシステムが増加しており,電子機器同士を接続する差動通信のEMC (Electromagnetic compatibility)の重要性が増している.差動通信系に到来する外来ノイズのふるまいを解析するためには,差動通信線に対する外来ノイズの結合と外来ノイズにより励起される妨害波の差動通信線の終端部におけるモード変換を考える必要がある.本論文では,電流プローブを用いた3ポートのSパラメータ測定によって,UTPケーブル終端と基板との接続部,プリント回路板上の素子などの任意の終端構造を含めた3導体系の電気特性を抽出する方法を2種類提案し,両方法から概ね一致するモード変換量が求められることを実験的に示すことによって,その有用性を示す.
著者
飯田 泰生 安在 大祐 王 建青
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.497, pp.1-6, 2015-03-05

人体無線網(BAN:Body Area Network)は医療・ヘルスケア分野での応用が期待できる無線通信技術として注目を集めている.その中でもインプラントBANの応用例の一つであるカプセル内視鏡は,消化管内部の画像情報取得に用いられるが,画像に位置情報を付加することで治療効率の向上が期待できる.カプセル内視鏡位置取得の方法として,人体に電界を照射した際に生じる散乱電界を用いた位置推定法が提案されている.しかし,この推定法において,散乱電界を求める際に事前に生体組織の複素比誘電率情報が必要となり,さらには計算量が膨大になるという課題が残されている.このことから本研究では,この位置推定法に遺伝的アルゴリズムを組み合わせることで事前に生体組織の複素比誘電率情報を必要とせずに計算量を減らし,人体内のカプセル内視鏡位置推定の高速化を行った.
著者
王 建青
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,人体内部と人体外部問の医療支援のためのインプラントボディエリアネットワーク(BAN)に適する通信方式の解明を目的として, 400MHz帯とUWB帯を対象に,解剖学的人体数値モデルに対して伝送路モデルを構築し,それに適する通信方式の検討及び送受信機の試作を行った.また,通信性能(BER)と人体安全性(SAR)の二つの視点から総合的考察を行い,インプラントBANに適する400MHz帯FSKやUWB-IR方式における最大伝送速度,最大送信電力を解明し,ダイバーシチ受信によるBERとSARの同時向上策も提案し,その有効性を示した
著者
上山 博也 前野 剛 平田 晃正 王 建青 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.371, pp.1-6, 2007-11-30
被引用文献数
21

車載電子機器のプリント回路基板(PCB)からワイヤハーネスへ流出する伝導雑音電流は,車載ラジオの妨害源となる.ワイヤハーネスへの伝導雑音電流を流出させにくいPCBグラウンド層のスリット効果の解明を目的として,スリットの入ったグラウンド層を共通とする直交配線パターンの簡易PCBを作成し,配線パターン間のクロストークのFDTD計算と測定を,FM周波数帯を含む300kHz〜1GHzの周波数範囲でスリット数との関係において行った.その結果,計算結果は測定結果を概ね表すこと,2スリットのクロメトークレベルは1スリットのそれに比して必ずしも大きいわけではなく,スリットの配置によってはクロストークレベルを低減し得ること,などが確認できた.
著者
向出 尚正 王 建青 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.488, pp.11-15, 2003-11-28
被引用文献数
2

遠方界曝露の人体において,体内器官で生ずる30MHz〜3GHz帯の局所共振現象を解剖学的人体全身数値モデルに対して並列FDTD法で解析した.主要器官に対する平均SARの周波数特性から,65MHz,200MHz及び700〜900MHz付近での局所共振発生を明らかにし,65MHz付近での共振は人体縦方向での全身共振,200MHz付近での共振は人体横幅方向での共振,700〜900MHz付近での共振は,器官自身の寸法によるものと推察できた.また,胴体内器官での局所共振時のSAR値は,全身共振時のそれより低いが,頭部,脳,眼球,睾丸では,全身共振時のSAR値よりも高いレベルで局所共振が起きることがわかった.さらに,人体モデルの体重が同じで身長が異なる場合は共振周波数での全身平均SARはほとんど変わらないのに対し,身長が同じで体重が軽い場合には共振周波数での全身平均SARは著しく増加することがわかった.
著者
木村 一平 王 瓊 王 建青
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.185, pp.41-46, 2009-08-28
被引用文献数
2

高齢化社会の到来に伴い,通信機能を有する人体装着或いは埋込み型生体センサによる医療や生体情報の管理,遠隔治療など,いわゆる医療支援情報通信技術の確立が期待されている.本研究では,ワイヤレスボディエリア通信を実現させるために,超広帯域(UWB)伝送に着目し,人体姿勢動作及び床からの反射を考慮した人体伝送路特性を測定し,インパルス応答のモデリングを行った.また,インパルス応答を用いて,代表的なUWB-IR(Impulse Radio)通信方式における誤り率特性を計算機シミュレーションにより明かにし,UWBボディエリア伝送の実用性を検討した.