著者
藤原 千尋
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.13-18, 2000-12-05
被引用文献数
2

岩手県遠野市では毎年クマ被害が発生し,被害地住民にとって深刻な問題となっている。被害地住民の被害に対する認識や農業経営形態などにより被害問題の形態が変わることから,被害問題は加害動物と共に被害地住民の認識・行動が形作っていると言える。そこで本論では被害地住民の側からクマ被害の実態把握を行うことを目的とし,AとB,2つの集落に対して聞き取り調査を行った。その結果,B集落で遠野市による電気牧柵の補助制度が導入されない理由として,成功例を身近に見ておらず失敗例が共通認識化されていることが考えられた。従って,今後の対策としては,電柵導入が効果的と思われるが導入されていない集落に対して,モデル事業を行うこが挙げられる。また人身事故が過去に生じたB集落では,クマに対する認識が強く否定的になり,クマを残す合意形成が難しくなっていることが明らかになった。このことから,クマを対象とした場合,一見「クマと共存している」と思われる集落も,一回の人身事故でクマ否定派に変化することが考えられ,人身事故対策が非常に重要であると言える。
著者
藤原 千尋
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.13-18, 2000-12-05 (Released:2017-08-28)
参考文献数
7
被引用文献数
4

岩手県遠野市では毎年クマ被害が発生し,被害地住民にとって深刻な問題となっている。被害地住民の被害に対する認識や農業経営形態などにより被害問題の形態が変わることから,被害問題は加害動物と共に被害地住民の認識・行動が形作っていると言える。そこで本論では被害地住民の側からクマ被害の実態把握を行うことを目的とし,AとB,2つの集落に対して聞き取り調査を行った。その結果,B集落で遠野市による電気牧柵の補助制度が導入されない理由として,成功例を身近に見ておらず失敗例が共通認識化されていることが考えられた。従って,今後の対策としては,電柵導入が効果的と思われるが導入されていない集落に対して,モデル事業を行うこが挙げられる。また人身事故が過去に生じたB集落では,クマに対する認識が強く否定的になり,クマを残す合意形成が難しくなっていることが明らかになった。このことから,クマを対象とした場合,一見「クマと共存している」と思われる集落も,一回の人身事故でクマ否定派に変化することが考えられ,人身事故対策が非常に重要であると言える。
著者
小川 武人 畑野 可奈美 藤岡 慧大 藤原 千尋 山本 健一郎 望月 精一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Abstract, pp.S320, 2018 (Released:2018-09-14)

シングルニードル透析は、一本の穿刺針で脱血と返血を交互に繰り返す透析手法である。その圧力や流量特性は通常の透析と異なるため、体外循環時の溶血に影響する可能性がある。そこで本研究では、牛血液を用いて通常の透析(二本の穿刺針)とシングルニードル透析とで溶血率について比較した。 牛血液それぞれ1 L を37℃の恒温槽にて撹拌し、通常透析では血液流量を200 mL/minとし、シングルニードル透析においては脱血時の設定血流量を200 mL/minとした。透析液は流さず、透析器は37℃の恒温槽に浸した。また、ブランクとして牛血液1 Lを恒温槽にて撹拌した。溶血率は血漿中のヘモグロビンの吸光度から算出した。 測定の結果、ブランクにおいても溶血率の上昇がみられた。これは撹拌によるものであると考えられた。通常透析とシングルニードル透析でのポンプおよび血液回路での溶血の影響をみるため、透析時の溶血率からブランクの溶血率の分を補正した。その結果、通常透析と比較して、シングルニードル透析で有意差は見られなかった。血液透析における溶血は、主に脱血時の陰圧による影響が大きいため、違いは見られなかったものと考えられた。 以上から、牛血液を用いた実験において、シングルニードル透析における流量特性が溶血に及ぼす影響については、通常透析との明確な違いが見られなかった。