- 著者
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藤崎 亜由子
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.2, pp.109-121, 2002-08-10 (Released:2017-07-20)
- 被引用文献数
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飼い主がペット動物の「心」をどのように理解しているのかを調べるために,実際のやりとり場面の観察を行った。イヌの飼い主22人,ネコの飼い主19人に自分のペット動物をビデオカメラで撮影してもらい,その中に含まれる飼い主の発話及び行動について分析を行った。併せて質問紙調査も行った。その結果,飼い主は動物の注意を引く為に発話を行うことが最も多く,次いで動物に対して内的状態を尋ねたり,状況を問う等の質問形式の発話が多く見られた。また,動物の内的状態への言及は,イヌ・ネコの飼い主とも「感情状態」が最も多かった。特に,飼い主が動物に内的状態を付与することが多かった場面は,飼い主の働きかけに動物が無反応であったり,回避行動をとる場面であった。イヌ・ネコの飼い主で比較した結果,人はイヌよりもネコに対してより微妙な顔の表情を読みとるなど,動物に対する飼い主の発話及び行動にはいくつかの違いが認められた。しかし,質問紙の回答からは,イヌ・ネコという全く異なる二種の動物に対する飼い主の「心」の理解には違いが無いことが示された。以上の結果は,人のペット動物に対する「心」の読みとり,関わり方には,幼い子どもに対する育児的な関わり方といくつかの共通点があるという視点から議論された。