著者
麻生 武
出版者
心の諸問題考究会
雑誌
心の諸問題論叢 (ISSN:13496905)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-65, 2009 (Released:2009-07-14)
参考文献数
2
被引用文献数
2

理数系では、良い論文というものは、必ず査読つき学会誌に掲載されるはずのものと想定されている。人文系では、必ずしもそうではない。査読つき学会誌に掲載されていなくとも良い論文は良い論文である。人文系の学問における査読には、「帰属学問の確認」という作業と、「内容の評価」という2つの異なる作業がある。いずれの作業も、境界領域の研究論文が査読を通る可能性を低くする危険性をもつ。良い論文、面白い論文でも、学会誌の査読を通過しない可能性が大きいことを認識し、査読なしの論文の価値をも認めておく必要がある。
著者
藤崎 亜由子 麻生 武 飯島 貴子 島内 武 亀山 秀郎 藤崎 憲治
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、虫と出会うことの教育的意義を深く探求し、「園庭の虫あそび図鑑」の作成や「保育者養成教材の開発」という実践的成果へと結実させることを目的とした。結果、「Web版の園庭の虫遊び図鑑」を作成し、運用を開始した。図鑑には園庭で撮影した300種を超える虫を掲載した。また、関西地区の保育者や学生(保育者養成校)へのアンケート調査の結果も反映させ、生物学的な網羅性ではなく園庭という身近な環境に生息し、親しみやすい虫を優先的に記載した。さらに「虫あそびの教育的意義」について理論的にまとめるとともに、幼稚園での観察調査を通じて子どもたちの虫捕り遊びの中での動きとコミュニケーションを分析した。
著者
藤崎 亜由子 麻生 武
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.91-102, 2022 (Released:2023-02-15)
参考文献数
32

子どもと自然との関わりを育むための基礎的データを集めることを目的に,園庭に生息する15種の身近な虫に対する子どもの認識を調べた。3,4,5歳,計91名の幼稚園児にインタビュー調査を実施した。虫の写真を見せて,名前を知っているか,見たことがあるか,好きか,触れるかを尋ねた。その結果,虫の名前の認識は加齢とともに増加していた。一方で,5歳児になると特に女児は虫を嫌う子が増え,幼児期にはすでに虫への嫌悪感情に男女差が生じることが示された。ダンゴムシ,テントウムシ,チョウなどは名前もよく知られておりかつ好かれていた。クモ,カメムシ,カなどは嫌われていた。最後に虫に対する幼児の認識を5つに類型化して教育的関わりについて議論した。
著者
松本 光太郎 岡田 美智男 麻生 武 小嶋 秀樹 浜田 寿美男 塩瀬 隆之 塚田 彌生
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

当研究プロジェクトでは、ロボットが人間の実生活に入り込んできたときに生まれる行為を中心に、ロボット研究者および心理学者を中心とした学際研究を行った。成果として、(1)当メンバーが編集・執筆を担当した書籍1冊『ロボットの悲しみ:人とロボットの生態学にむけて』(新曜社、印刷中)、(2)学会シンポジウム主催2件(日本発達心理学会、日本質的心理学会)、(3)学会個人発表2件(EDRA、日本発達心理学会)が確定している。また、これまでの成果をまとめた論文を査読付雑誌に投稿することを計画している。
著者
藤崎 亜由子 倉田 直美 麻生 武
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.67-77, 2007-04-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
1

近年登場したロボットという新たな存在と我々はどのようにつきあっていくのだろうか。本研究では,子どもたちがロボットをどう理解しているかを調べるために,5〜6歳児(106名)を対象に,2人1組で5分間ロボット犬と遊ぶ課題を行った。あわせて,ロボット犬に対する生命認識と心的機能の付与を調べるためにインタビュー調査を行った。ロボット犬は2種類用意した(AIBOとDOG.COM)。DOG.COMは人間語を話し,AIBOは電子音となめらかな動きを特徴とするロボットである。その結果,幼児は言葉をかけたりなでたりと極めてコミュニカティブにロボット犬に働きかけることが明らかになった。年齢群で比較した結果,6歳児のほうが頻繁にロボット犬に話しかけた。また,AIBOの心的状態に言及した人数も6歳児で多かった。ロボット犬の種類で比較した結果,子どもたちはDOG.COMに対しては言葉で,AIBOに対しては動きのレベルで働きかけるというように,ロボット犬の特性に合わせてコミュニケーションを行っていた。その一方で,ロボット犬の種類によってインタビュー調査の結果に違いは見られなかった。インタビュー調査では5割の子どもたちがロボット犬を「生きている」と答え,質問によっては9割を超える子どもたちがロボット犬に心的機能を付与していた。以上の結果から,動物とも無生物とも異なる新たな存在としてのロボットの可能性を議論した。
著者
仁田 善雄 前川 眞一 柳本 武美 前田 忠彦 吉田 素文 奈良 信雄 石田 達樹 福島 統 齋藤 宣彦 福田 康一郎 高久 史麿 麻生 武志
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.3-9, 2005-02-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6
被引用文献数
2

共用試験CBTにおける項目反応理論の有用性を評価するために, 2002年の2-7月に実施した医学系第1回トライアルのデータを解析した. このトライアルはモデル・コア・カリキュラムの大項目分類 (6分野) をすべてカバーできるようにデザインされており, 含まれている試験問題数は2, 791題であった.各分野において, 3-40題の問題がランダムに抽出され, コンピューターシステムを用いて5, 693名 (4年生-6年生: 解析対象者5, 676名) の学生に実施された. 各学生には100題出題された. 項目反応パターンについては3母数ロジスティックモデル (項目識別力, 項目困難度, 当て推量) により分析した. 以下の知見が得られた. 1) 項目困難度と正答率には強い負の相関がみられた (r=-0.969--0.982). 2) 項目識別度と点双列相関係数には中程度の相関がみられた (r=0.304-0.511). 3) 推定された能力値と得点とには強い正の相関が見られた (r=0.810-0.945). 4) 平均能力値は学年が上がるにつれて増加した. 5) モデル・コア・カリキュラムの6分野間の能力値の相関係数は0.6未満であった. 1人ひとりが異なる問題を受験する共用試験の場合, 項目反応理論を使用することが望ましいと考える. 第1回トライアルは, 項目反応理論を使用することを想定してデザインされていなかった. 第2回トライアルでは, これらの比較を行うために適切にデザインされたシステムを用いた. 現在, この結果について詳細に解析を行っているところである.
著者
藤崎 亜由子 倉田 直美 麻生 武
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.67-77, 2007
被引用文献数
3

近年登場したロボットという新たな存在と我々はどのようにつきあっていくのだろうか。本研究では,子どもたちがロボットをどう理解しているかを調べるために,5〜6歳児(106名)を対象に,2人1組で5分間ロボット犬と遊ぶ課題を行った。あわせて,ロボット犬に対する生命認識と心的機能の付与を調べるためにインタビュー調査を行った。ロボット犬は2種類用意した(AIBOとDOG.COM)。DOG.COMは人間語を話し,AIBOは電子音となめらかな動きを特徴とするロボットである。その結果,幼児は言葉をかけたりなでたりと極めてコミュニカティブにロボット犬に働きかけることが明らかになった。年齢群で比較した結果,6歳児のほうが頻繁にロボット犬に話しかけた。また,AIBOの心的状態に言及した人数も6歳児で多かった。ロボット犬の種類で比較した結果,子どもたちはDOG.COMに対しては言葉で,AIBOに対しては動きのレベルで働きかけるというように,ロボット犬の特性に合わせてコミュニケーションを行っていた。その一方で,ロボット犬の種類によってインタビュー調査の結果に違いは見られなかった。インタビュー調査では5割の子どもたちがロボット犬を「生きている」と答え,質問によっては9割を超える子どもたちがロボット犬に心的機能を付与していた。以上の結果から,動物とも無生物とも異なる新たな存在としてのロボットの可能性を議論した。

1 0 0 0 OA 機学要語

著者
麻生武平 編
出版者
海軍兵学寮
巻号頁・発行日
1875

1 0 0 0 OA 日本歴史図解

著者
麻生武平 著
出版者
丸善商社
巻号頁・発行日
vol.上世紀 第1,2巻, 1890
著者
浜田 壽美男 無藤 隆 瀬渡 章子 西村 拓生 本山 方子 天ヶ瀬 正博 鈴木 康史 麻生 武 酒井 敦 掘越 紀香 東村 知子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

園庭には、一方には、教育設備としての園庭があり、他方には、社会資本としての園庭がある。園庭は、子どもの活動の生態系において多様な機能をもち、重層的な意味を有し、生活と学校教育に連続性をつくる機会を提供している。本研究では、園庭の歴史的変遷や園庭デザインの今日的特性、園庭利用の実際と子どもの活動の実態を調査、検討し、園庭の環境デザインの在り方と教育的意義について明らかにした。
著者
麻生 武
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果は大きく分けて2つある。1つは、対象乳児Uの生後2年目の手書きの縦断的日誌観察データを、デジタル化して、約20のテーマに分けてファイル化したことである。これによって、「自己の発達」に関する、周辺テーマを含めた総合的な研究を行うことが可能になった。もう1つは、そのようにテーマごとに整理されたデータを利用して、「自己の発達」に関する、具体的な研究を行ったことである。その成果は、細分化すると3つに分けることができる。1つ目は「イタイ」ということばの獲得をめぐる理論的な問題をまとめ、学会発表や論文にまとめたことである。2つ目は、生後2年目に子どもが「他者」に出会っていくプロセスを、今回整理したデータを利用して論文化したことである。3つ目は、子どもが他称詞や自称詞を獲得していくプロセスについて、学会発表し論文化したことである。「呼び名」としての他称詞と「対象の名前」としての他称詞との間にあるギャップや、「自分の名前」を子どもが口にすることの意味など、生後2年目の"自己"をめぐる新たな謎を浮かびあがらせることができた。
著者
麻生 武 吉良 尚子 倉中 晃子 覚前 未央 滝田 景子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

4つの研究を行った。1つは、夢をめぐる親子の会話の研究である。幼稚園児・小学校1年生・3年生の親子53組に夢について会話してもらった録音データを分析した。2つ目は、幼稚園児の夢理解についての研究である。年少・年中・年長計90名の夢理解に関して現象学的な研究を行った。3つ目は、大学生が覚えている一番幼いときの現実の記憶と夢の記憶に関する研究である。4つ目は、大学生の夢理解に関する研究である。それらを踏まえて夢を大切にする文化の創出の重要性を指摘した。