- 著者
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佐久間 一基
石川 崇広
藤本 昌紀
竹本 稔
横手 幸太郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.5, pp.617-621, 2012 (Released:2013-03-04)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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1
健康食品,新五浄心の長期摂取により偽性アルドステロン症をきたした高齢者の1例を経験した. 症例は67歳の男性.高血圧症,脂質異常症,高尿酸血症に対し近医にて内服加療中であった.2007年4月に低カリウム血症(3.0 mEq/l),下腿浮腫が出現したため,スピロノラクトン,L-アスパラギン酸カリウム内服を開始するも,血清カリウムは低値(2.8~3.2 mEq/l)で推移した.その後,動悸,こむら返りも頻繁に出現するようになり,2009年12月低カリウム血症の精査目的に当科紹介となった.当科受診時の血清カリウム2.4 mEq/l,血漿レニン活性0.1 ng/ml/hr以下,血中アルドステロン濃度34 pg/mlと低下を認めた.外来における病歴聴取では甘草,グリチルリチンを含有する医薬品の摂取歴はなく,偽性アルドステロン症が疑われ,精査目的に2010年2月当科に入院となった.入院時の詳細な病歴聴取により2007年2月より健康食品である新五浄心を摂取していることが判明した.入院後,新五浄心を中止し,カリウム製剤の補充を継続したところ,低カリウム血症は改善し,カリウム製剤補充も中止した.精査の結果,他に偽性アルドステロン症をきたす疾患は否定的であり,新五浄心による,偽性アルドステロン症と考えられた.これまで新五浄心による偽性アルドステロン症の報告はない.さらに高齢者の偽性アルドステロン症では,甘草,グリチルリチンを含有する医薬品だけではなく,一般市販薬,健康食品を含めた詳細な服薬歴の問診も大切であると思われ報告する.