- 著者
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藤村 友美
鈴木 直人
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.113, 2007 (Released:2007-10-01)
人間の視覚において,周辺視は時間的に変化する情報に敏感であるといわれている(福田, 1996)。本研究では,周辺視において動的情報が表情認知に及ぼす影響を検討することを目的とした。表情刺激は,次元的観点に基づいて作成した表情から快表情3種類(いきいきした,うれしい,のんびりした),不快表情3種類(恐ろしい,怒った,悲しい)を抜粋した。課題は,見本照合課題を用いた。これは,中心視,左右周辺視のいずれかの位置に呈示されるターゲット表情(動画,静止画)と同一の表情刺激を後続の見本表情(静止画)の中から選択するというものである。結果は,中心視では,動画条件と静止画条件の正答率に有意な差は見られなかったのに対し,周辺視では,恐ろしい表情以外で動画条件の正答率は,静止画条件の正答率よりも有意に高かった。このことから,周辺視では,動的情報によって相対的に表情の認知的処理が促進されることが明らかになった。