著者
篠原 信
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.22-33, 2018 (Released:2018-04-30)

土壌はありふれた存在ながら、人工製造できない媒体だった。土壌機能(有機物を分解し無機養分を供給する機能)を人工的に再現できなかったためだ。土壌機能を再現するにはアンモニア化成、硝酸化成の2段階の微生物作用を再現する必要があるが、硝酸化成を担う微生物(硝化菌)が有機物の曝露で容易に不活性化するからだ。もし硝酸化成に成功しても、有機物と硝酸の同時併存で脱窒が活性化するため、重要な無機養分である硝酸が失われ、土壌機能を再現することが困難だった。並行複式無機化反応はこれを可能にした微生物培養技術だ。この手法で培養した微生物群を人工媒体に固定化すると、土壌機能をその媒体に付与することが可能となる。さらに最近になって、わずか3菌株(従属栄養細菌、アンモニア酸化菌、亜硝酸酸化菌)だけで土壌機能の基本であるアンモニア化成、硝酸化成を再現することに成功した。これにより、土壌の物理性・化学性・生物性のいずれについてもデザイン可能な技術が出そろった。本稿では、「デザイナー・ソイル」の可能性について紹介する。
著者
山口 利子 武田 千津 中野 静子 北尾 孝司 篠原 信之
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.145-150, 2001-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
14

看護婦に対するアンケート調査の結果, 94.4% (167/177) が手荒れを経験し, その悪化対策や予防の目的で71.2% (126/177) がハンドクリーム等を使用していることがわかった.そこで, ハンドクリーム等の使用が手指付着菌の洗浄に対してどのような影響を及ぼすのかを知るために実験を行った.実験は日常的に多く使用されていたザーネクリーム®軟膏 (ZO), プライムローション® (PR) および皮膚保護材のデルマシールド® (DS) の3種類を手指に塗布して行った.塗布後に付着せしめた被験菌の洗浄効果は寒天培地接触法によって測定した.手指の洗浄は, 「無洗浄」「流水洗浄」「こすり洗い」の3通りの方法で行った.その結果, 手指に付着する菌数はハンドクリーム等の塗布の有無にかかわらず差はみられなかった.菌付着手指は「無洗浄」で寒天平板培地にスタンプを繰り返したところ, ZO, PR, DSを塗布したいずれの場合においても, スタンプを9回繰り返しても付着菌が検出された.また, 「流水洗浄」の場合は付着菌の減少はみられたが, 完全には除去されなかった.さらに「こすり洗い」では, 被験菌が大腸菌の場合には, PR, DSでは1回の洗浄で, ZOでは2回の洗浄で除去された.しかし, 被験菌が黄色ブドウ球菌の場合には, 洗浄を9回繰り返しても, PR, DS, OZ塗布のいずれにおいても付着菌が確認された.ハンドクリーム等塗布の手指に付着した菌は, 塗布しなかった手指に比べて除去されにくかった.
著者
篠原 信之 田中 博 斉藤 健 出口 順子 近藤 玲子 曽田 研二 鈴木 賢
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Medical Science and Biology (ISSN:00215112)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.385-392, 1981 (Released:2010-03-19)
参考文献数
9
被引用文献数
4 5

Since periodical survey of the sewage entering the sewage-farm in Matsuyama City revealed a high incidence of Salmonella typhi of different phage types, attempts were made to trace the upstream reservoir. It was found that S. typhi was drained into a particular manhole at a distance of about 5 km from the sewage-farm. Two members of two families were found to be carriers. Further investigation detected other 25 carriers. The 27 carriers were all pupils of the same primary school. Ten of them showed mild symptoms such as fever, abdominal pain and diarrhea; the remaining 17 were asymptomatic. The phage type of 24 isolates was of Vi degraded approaching phage type A [degraded Vi (A) ] and that of the other three was of type 53. The results coincided with those of the isolates from sewage.
著者
篠原 信
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.753-764, 2006 (Released:2011-03-05)
著者
高橋 由依 隈元 庸夫 世古 俊明 三浦 紗世 工藤 夢子 松田 由衣 永井 孝尚 橘田 岳也 大内 みふか 篠原 信雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11682, (Released:2020-05-20)
参考文献数
36

【目的】本研究の目的は,腹圧上昇肢位が骨盤底筋と体幹・下肢筋群の共同収縮に及ぼす影響を検討することである。【方法】若年未経産婦15 名(平均年齢25.5 ± 2.5 歳)を対象とし,肢位要因(背臥位,立位,中腰位,中腰位で重量物を挙上した肢位(重錘挙上位))と課題要因(安静時,骨盤底筋収縮時)の2 要因での腟圧値と筋活動量(腹直筋,外・内腹斜筋,多裂筋,大殿筋,股内転筋)の比較と,各肢位間で骨盤底筋収縮時における被験筋筋活動増加率について比較検討した。【結果】課題要因では骨盤底筋収縮時に腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示し,肢位要因では中腰位と重錘挙上位で腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示した。筋活動増加率は内腹斜筋が背臥位,立位,中腰位で他筋よりも有意に高値を示した。【結論】内腹斜筋は他筋と比較して,中腰位,背臥位,立位において骨盤底筋との共同収縮筋としての活動が増加することが示唆された。
著者
篠原 信
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.22-33, 2018

土壌はありふれた存在ながら、人工製造できない媒体だった。土壌機能(有機物を分解し無機養分を供給する機能)を人工的に再現できなかったためだ。土壌機能を再現するにはアンモニア化成、硝酸化成の2段階の微生物作用を再現する必要があるが、硝酸化成を担う微生物(硝化菌)が有機物の曝露で容易に不活性化するからだ。もし硝酸化成に成功しても、有機物と硝酸の同時併存で脱窒が活性化するため、重要な無機養分である硝酸が失われ、土壌機能を再現することが困難だった。並行複式無機化反応はこれを可能にした微生物培養技術だ。この手法で培養した微生物群を人工媒体に固定化すると、土壌機能をその媒体に付与することが可能となる。さらに最近になって、わずか3菌株(従属栄養細菌、アンモニア酸化菌、亜硝酸酸化菌)だけで土壌機能の基本であるアンモニア化成、硝酸化成を再現することに成功した。これにより、土壌の物理性・化学性・生物性のいずれについてもデザイン可能な技術が出そろった。本稿では、「デザイナー・ソイル」の可能性について紹介する。
著者
窪田 昌春 佐藤 衛 西 和文 篠原 信
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-9, 2010 (Released:2010-09-06)
参考文献数
32

無処理では,トマト苗のほぼ100%が発病する青枯病激発圃場において,耐病性台木(「LS89」,「がんばる根3号」)への接ぎ木苗を利用することにより,発病遅延が認められた。それに加え,土壌深度約70 cmまでの深耕と籾殻の大量(10 kg/m2以上)投入により透水性を改善した後に,熱水土壌消毒処理(95℃,250 L/m2)を行った場合には,発病株率が40%以下となり,大きな防除効果が得られた。土壌温度も,深度50 cmの地点で,熱水処理のみの区での約35℃に対し,透水性改善区では60℃以上まで上がり,消毒効果が立証された。本圃場では微生物資材「セル苗元気」,熱水土壌消毒のみによる防除効果は認められなかった。土壌中の青枯病菌密度は,無処理,熱水処理のみの区では熱水処理後 103 cfu/g 乾土オーダーから発病開始後に急増したが,前述の透水性改善区では,2年目以降,無処理区等の発病開始時まで,本試験での検出限界(102 cfu/g 乾土オーダー)付近以下に抑えられた。
著者
篠原 信
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.90-94, 2008-02-20 (Released:2013-12-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1