著者
西垣 誠
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.283-301, 2020-05-28 (Released:2020-08-21)
参考文献数
83

トンネルや地中構造物を施工することによって地下水環境に与える影響,また,地下水がトンネル施工時に与える影響について,過去の事例を踏まえながらその対応の歴史を解説した。さらに,トンネル施工が地下水環境へ及ぼす悪影響を防ぐために,これまで開発されてきた新しい施工技術の歴史についても概観した。特に,止水方法,水抜き方法それぞれの様々な施工方法とその難しさ,また現場の状況に応じてどのように使い分けるべきか等の考え方について述べた。
著者
坪田 邦治 中島 啓 西垣 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.323-334, 2007 (Released:2007-08-20)
参考文献数
16

兵庫県北部の豊岡盆地では,沖積粘性土地盤が厚く堆積しており,盆地の中央を北上する1級河川である円山川の築堤工事に際しても,市街地周辺では,近接している民家に対して,築堤盛土に伴う周辺地盤沈下の抑制が大きな課題とされてきた.本論文では,対策工として,深層混合処理工(CDM工法)を選定し,対策工による沈下抑制効果の予測および試験盛土の動態観測結果との対比により,予測計算の有効性および対策工による沈下抑制効果が高いことが確認できた.この結果,対策工の設計に際して,改良深度,改良幅,改良強度と周辺家屋の傾斜角が関連する対策工の最適化設計チャートについて新たに提案するとともに,対策工の施工時の変位抑制のために施工した緩衝孔の効果について論じる.
著者
工藤 アキヒコ 西垣 誠 鳥居 剛 浅田 昌蔵
出版者
一般社団法人 ダム工学会
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.137-151, 2003

本研究は, フィルダムロック材の浸透特性が水位急低下時の残留水位とロックフィルダムの安定性に及ぼす影響について検討したものである. 長期間の計測の結果からは, 上流側ロックゾーン内には残留間隙水圧が発生していないこと, この傾向は, 建設後24年を経たダムにおいても継続して維持されていることなどを確認した. また, 残留水位面の浸透流解析と安定解析の結果から, 実際のフィルダムロック材の飽和透水係数, 不飽和浸透特性および動水勾配依存性 (非ダルシー現象) がダムの設計に重要であることを示した.
著者
川島 文治 木村 靖弘 西垣 誠
出版者
一般社団法人 ダム工学会
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.5-20, 2010-03-15 (Released:2011-03-31)
参考文献数
3

八汐ダム調整池では,熱水変質と大規模岩盤クリープが主な生成要因と考えられる高角度の開口割目を主体とする割目のネットワークが形成され,極めて深部まで連続するミズミチが分布する。止水対策に向けて実施した試験グラウチング等の結果,湛水した状態の調整池底部において地下水位以下で注入を実施した場合,注入圧力に加え,セメント粒子の限界沈降速度より大きな浸透流速を活用して,主な開口割目に対して効果的なグラウチングが図られ,減水効果が確認されている。本論文では,このような注入メカニズムに対して定性的な考察を行ったものである。