著者
西尾 正輝 新美 成二
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.136-144, 2005-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
34
被引用文献数
4 5

健常発話者男女各187例, 計374例を対象として, 青年期以降の加齢に伴う話声位の変化について検討し, 主に以下の結果を得た.1.男性では60歳代までは変化は乏しく, 70歳代以降に多少の上昇が認められた.2.女性では20歳代と比較して30歳代および40歳代でも明らかな低値を認め, 80歳代まですべての年代群で加齢に伴い低下する傾向が認められた.3.男性と比較して女性のほうが, 変化の範囲が著しく大きかった.また, 男女両群の年齢群ごとの話声位の正常範囲 (平均±1.96SD) を得たが, これは臨床的に話声位の異常やその原因となっている喉頭疾患の検出に有用であると思われた.
著者
西尾 正輝 田中 康博 新美 成二
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.6-13, 2009 (Released:2010-03-17)
参考文献数
49
被引用文献数
5 7

健常成人発話者262例(青年群200例,老年群62例)を対象として,青年期以降の加齢に伴う音声の変化について音響学的に解析し,主に以下の結果を得た.男性では,基本周波数に関する計測ではT0が短くなりF0が上昇し,周期のゆらぎに関する計測ではJitt,RAP,PPQで上昇し,振幅のゆらぎに関する計測では,ShimとAPQを含めて全体的に上昇し,雑音に関する計測ではSPIで上昇し,震えに関する計測ではATRIで上昇する傾向を呈した.女性では,基本周波数に関する計測ではT0が延長しF0が低下し,周期と振幅のゆらぎに関する計測ではほぼ変動が乏しく,雑音に関する計測ではNHRで上昇しVTIで低下し,震えに関する計測ではATRIで上昇する傾向を呈した.今回得られた知見ならびに正常範囲に関するデータは,加齢による生理的変化の範囲内の音声と病的音声との識別上臨床的に意義のあるものと思われる.
著者
西尾 正輝 田中 康博 新美 成二
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.6-13, 2009-01-20
参考文献数
49
被引用文献数
7

健常成人発話者262例(青年群200例,老年群62例)を対象として,青年期以降の加齢に伴う音声の変化について音響学的に解析し,主に以下の結果を得た.男性では,基本周波数に関する計測ではT<SUB>0</SUB>が短くなりF<SUB>0</SUB>が上昇し,周期のゆらぎに関する計測ではJitt,RAP,PPQで上昇し,振幅のゆらぎに関する計測では,ShimとAPQを含めて全体的に上昇し,雑音に関する計測ではSPIで上昇し,震えに関する計測ではATRIで上昇する傾向を呈した.女性では,基本周波数に関する計測ではT<SUB>0</SUB>が延長しF<SUB>0</SUB>が低下し,周期と振幅のゆらぎに関する計測ではほぼ変動が乏しく,雑音に関する計測ではNHRで上昇しVTIで低下し,震えに関する計測ではATRIで上昇する傾向を呈した.今回得られた知見ならびに正常範囲に関するデータは,加齢による生理的変化の範囲内の音声と病的音声との識別上臨床的に意義のあるものと思われる.
著者
山崎 裕治 中村 友美 西尾 正輝
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.143-148, 2010 (Released:2014-03-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

In order to establish a feasible conservation program for the Itasenpara bittering (Acheilognathus longipinnis), the genetic population structure was determined on the basis of five microsatellite loci for wild and captive populations from Himi City, Toyama Prefecture, and the Yodo River system, Osaka Prefecture. An endemic genetic feature was found in each of the Toyama and Osaka regional populations, indicating that each should be treated as a separate unit in any future conservation program. The degree of genetic diversity in the Toyama populations tended to be lower than that in the Osaka population, being related to the population size and/or population demography. In the Toyama region, captive populations showed an equal degree of genetic diversity as the wild populations, probably due to a relatively short period of captive breeding as well as continuing introductions of wild individuals.
著者
馬場 幸大 西尾 正輝 山崎 裕治
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-66, 2016 (Released:2016-10-03)
参考文献数
34

要旨 国指定天然記念物であるイタセンパラについて小規模水槽飼育を実施し、飼育条件の違いが成長や生残に与える影響を調査した。実験条件として、1日あたりの給餌の頻度(1回、3回)、個体の密度(5匹、20匹)そして日当たり(日なた、日陰)の3つの項目に注目した。これらの条件を組み合わせた8通りの実験群を3組ずつ用意し、1か月ごとに生残率を算出し、標準体長および体重を計測した。さらに、本種の繁殖期とされる9月および10月における計測については、性成熟の判定を行った。飼育実験の結果、豊富な餌量の供給および低密度における飼育によって、良好な成長が期待できることが示唆された。一方で、残餌や高水温に起因する水質悪化が、摂餌活性および生残率の低下をもたらす可能性が示された。また、すべての実験群において性成熟する個体が出現した。これらのことから、保護池のような広大な土地が確保できない場所においても、効果的な条件を整えた小規模水槽において本種の飼育は可能であり、有効な保全方策の1つとなることが明らかとなった。
著者
西尾 正輝 タハ ソリマン 山崎 裕治
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.147-153, 2012-11-05 (Released:2014-12-02)
参考文献数
26
被引用文献数
5

To clarify the distribution during spawning and spawning habitat of Itasenpara bitterling (Acheilognathus longipinnis), one of the most endangered freshwater fish species in Japan, the habitats of mature individuals and freshwater mussels (Unio douglasiae nipponensis) were investigated in the Moo River (Himi City, Toyama Prefecture, Japan) in relation to environmental factors during the fall and winter seasons in 2010. Mussel density-influenced sex ratios of bitterling varied in the study area, males remaining in areas of high mussel density during spawning, while females frequented deeper feeding grounds until their eggs had matured.
著者
西尾 正輝 新美 成二
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.9-20, 2002-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
20
被引用文献数
5 6

Dysarthriaにおける音節の交互反復運動 (oral diadochokinesis) について, 健常者群と比較してタイプごとに検討し, 以下の結果を得た.1) いずれのタイプにおいても/pa//ta//ka/の3種の音節で反復速度は有意に低値を示し, また発話明瞭度検査で検出困難な側面の発話の異常徴候を鋭敏に検出することが示された.2) いずれのタイプにおいても, /pa//ta//ka/のほぼすべての音節で音節の持続時間の変動係数は有意に高値を示し, 発話機能の異常徴候を鋭敏に検出するパラメーターであることが示された.3) 失調性dysarthriaでは, /pa//ta//ka/の3種の音節で最大強度の変動係数は有意に高値を示し, 発話機能の異常徴候を鋭敏に検出するパラメーターであることが示された.4) 音節の持続時間と最大強度の変動係数は, 明瞭度とは大きく異なる側面の発話機能の異常徴候を特異的に反映することが示された.
著者
西尾 正輝
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
2016-03-23

富山大学・富理工博甲第105号・西尾正輝・2016/03/23・★論文非公開★
著者
西尾 正輝 田中 康博 阿部 尚子 島野 敦子 山地 弘子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.215-224, 2007-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
76
被引用文献数
3

dysarthria263例 (言語治療実施群187例と言語治療を実施しなかった対照群76例) を対象とし, 言語治療成績について検討し以下の結果を得た.1.脳血管障害, 脊髄小脳変性症, パーキンソン病に起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意に明瞭度が改善したが, 対照群では有意差は認められなかった.2.脳血管障害に起因する言語治療実施群では, 重症度にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められ, 重症化するほど, 改善の程度が大きくなる傾向が認められた.また, 病期にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められた.3.ALSに起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意差は認められなかった.軽度例は経時的に明瞭度がほぼ確実に低下し, 重度例のほとんどは最重度の段階で停滞した.以上の結果に基づいて, dysarthriaの臨床において有効な言語治療手法について検討を加えた.