著者
椛 勇三郎 西田 和子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.98-106, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
20

目的 近年,眼精疲労を引き起こすと考えられる生活習慣の激変が子どもたちの視力低下を引き起こしているのではないかと懸念されている。本研究では,女子中学生の視力低下に関連する要因を検討するために,生活習慣や生活環境に着目し視力低下との関連性を評価することを目的とした。方法 女子中学生を対象に生活習慣に関する横断的調査を実施し,視力低下要因に関する統計的分析を行った。屈折力の測定を行わない学校健診では,精度が高い測定を期待することは難しい。また,変数によっては非対称で右に裾を引く分布およびはずれ値が存在する。これらの影響を受けにくくするために,本論文では対象とする変数をすべてカテゴリー化してロジスティックモデルによって解析した。ロジスティックモデルの構築には,グラフィカルモデリングによって要因間の相互関連性を調べたうえで,AIC(赤池情報量基準)によるモデル選択技法を適用した。結果 ロジスティックモデルより得られた主要な結果として,自宅や学習塾での勉強時間,読書時間,親や兄弟のメガネやコンタクトレンズの使用状況,睡眠時間で調整した TV からの視聴距離が「2 m 未満」の「2 m 以上」に対する調整オッズ比は2.08で有意であった(95%CI: 1.23-3.50)。しかし,TV の視聴時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比は,1 に近くモデルに選択されなかった。自宅や学習塾での勉強時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比,読書時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比,親や兄弟がメガネやコンタクトレンズの「使用あり」の「使用なし」に対する調整オッズ比は,いずれも有意であった。結論 以上より,女子中学生の視力低下に関連する要因として「TV からの視聴距離」のほうが「TV の視聴時間」よりも強い関連性を持つ要因であることが示唆された。さらに,視力低下要因の多変量的評価をオッズ比で与えた結果は,教育現場における生活習慣,生活環境の改善を推進する上で有意義なものと考える。
著者
馬場 みちえ 西田 和子 藤丸 知子 兒玉 尚子 伊藤 直子 今村 桃子 津山 佳子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.63-71, 2008-03-25 (Released:2017-04-20)

看護師の喫煙率は高いといわれ,看護学生時代に喫煙開始する人が多いと報告されており,看護学生時代の禁煙支援は重要なことである.本研究では,女子看護学生の喫煙習慣と性格特性の関連について検討を行った.性格特性の測定にはMPI性格調査票を用い,喫煙者と禁煙者は,非喫煙者と比較すると外向的であった.喫煙者は,神経質傾向がみられ,精神的健康度を測定するGHQ28ではストレスが高くなっていた.しかし禁煙者では神経質傾向がなくストレスは低かった.また禁煙ステージ別にみると,喫煙者の関心期,準備期と禁煙者の性格特性は類似していた.看護学生時代の禁煙支援あるいは喫煙防止教育には,性格特性を踏まえて行う必要があることが示唆された.禁煙教育は喫煙者にはもちろんであるが,禁煙者が再度喫煙者へ移行しないよう,禁煙者も含めて支援することが重要である.
著者
小松原 明哲 松岡 政治 西田 和子 大成 直子
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.347-354, 1999-10-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
5
被引用文献数
3

リモコンなどボタン操作機器の“手順的使いやすさ”を設計段階で評価するための実務手法の開発を目的に, あるタスクを遂行する際のボタン操作順を予想させる“操作手順アンケート”, 及び各ボタンの機能を予想させる“ボタンイメージアンケート”を提案した. さらに, それらの有効性を, エアコン実機によるアンケート評価, 及びユーザテストを通じて検討した. 操作手順評価については, アンケートによる予想操作順, 及びユーザテストでの操作結果を遷移図に表現し比較した. ボタンイメージアンケートについては, 正答率を求めた. その結果, 機能予想の正答率の低いボタンでは, 操作手順アンケート及びユーザテスト双方の遷移図で, 操作のばらつきが観察されるなど, 手順評価法としてのアンケートの有効性が観察された. しかし, ユーザテストで見られた同一ボタンの繰り返し操作は, 操作手順アンケートでは検出できないなど, 手順評価法としての限界も観察された.
著者
椛 勇三郎 西田 和子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.98-106, 2007

<b>目的</b>&emsp;近年,眼精疲労を引き起こすと考えられる生活習慣の激変が子どもたちの視力低下を引き起こしているのではないかと懸念されている。本研究では,女子中学生の視力低下に関連する要因を検討するために,生活習慣や生活環境に着目し視力低下との関連性を評価することを目的とした。<br/><b>方法</b>&emsp;女子中学生を対象に生活習慣に関する横断的調査を実施し,視力低下要因に関する統計的分析を行った。屈折力の測定を行わない学校健診では,精度が高い測定を期待することは難しい。また,変数によっては非対称で右に裾を引く分布およびはずれ値が存在する。これらの影響を受けにくくするために,本論文では対象とする変数をすべてカテゴリー化してロジスティックモデルによって解析した。ロジスティックモデルの構築には,グラフィカルモデリングによって要因間の相互関連性を調べたうえで,AIC(赤池情報量基準)によるモデル選択技法を適用した。<br/><b>結果</b>&emsp;ロジスティックモデルより得られた主要な結果として,自宅や学習塾での勉強時間,読書時間,親や兄弟のメガネやコンタクトレンズの使用状況,睡眠時間で調整した TV からの視聴距離が「2 m 未満」の「2 m 以上」に対する調整オッズ比は2.08で有意であった(95%CI: 1.23-3.50)。しかし,TV の視聴時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比は,1 に近くモデルに選択されなかった。自宅や学習塾での勉強時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比,読書時間が「2 時間以上」の「2 時間未満」に対する調整オッズ比,親や兄弟がメガネやコンタクトレンズの「使用あり」の「使用なし」に対する調整オッズ比は,いずれも有意であった。<br/><b>結論</b>&emsp;以上より,女子中学生の視力低下に関連する要因として「TV からの視聴距離」のほうが「TV の視聴時間」よりも強い関連性を持つ要因であることが示唆された。さらに,視力低下要因の多変量的評価をオッズ比で与えた結果は,教育現場における生活習慣,生活環境の改善を推進する上で有意義なものと考える。