著者
橋爪 和夫 松田 明子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学教育学部紀要 (ISSN:1344641X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.161-165, 2003-02

研究目的: 本研究の目的は, 逆上がりの手の握り方と熟練度及び評価の観点とのを明らかにすることであった。研究方法: 被験者は, 富山大学教育学部の学生男子66人, 女子120人, 計186人である。測定項目は,1)鉄棒の握り方, 2)親指が鉄棒の下から回っているか否か,3)順手と逆手の両方の握り方で逆上がりができるか否か,4)握り方と逆上がりの評価との関連性, 5)逆上がりの握り方の履歴に関する調査であった。結果:逆上がりができない被験者は18%であった。順手で行った被験者は88%であり, 逆手で行った被験者は12%であった。順手・逆手の握り方と逆上がりができる・できないことの関連性は認められなかった。順手で鉄棒を握った時に親指が下から回っていない被験者は逆上がりができる被験者のうち11人, できない被験者のうち2人であった。順手で逆上がりができるにもかかわらず逆手でできない被験者は20人であった。逆上がりの熟練度と握り方との間に統計的に有意な関連性は認められなかった。逆上がりのできる評価者は, 評価の重要な観点として手の握り方を回答したが, 逆上がりのできない評価者は手の握り方の項目を選択しなかった。実際の握り方とやりやすいと思っている握り方の出現率の間に有意な関連性が認められた。また, 教師の指導で逆手から順手に握り方を変更した被験者は61%であり,自分で変更した被験者は33%であった。握り方を変更した時期について, 33%が小学生の時に, 13%が中学生の時に, 51%が大学生の時に変更していた。結論:鉄棒の握り方は教師の指導によるところが多いが, 昭和60年代に小学生時代を送った被験者は握り方の指導を必ずしも受けていないと考えられる。握り方は, 逆上がりの重要な要因として認識されていないことが明らかになったが, 親指を鉄棒の下から回して握る基本の学習の必要性が明らかになった。