著者
西館 有沙
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-130, 2016-03-30

保育者の職務中のマスク着用は,感染症対策という面からみれば必要な対応であるが,子どもの健全な心身の発達を促す保育を行う際の影響の有無にも,留意する必要がある。そこで本研究では,保育者のマスク着用状況やマスク着用に関する認識を明らかにするため,保育者に対する質問紙調査を実施した。質問紙は107部を回収し,そこから看護師や障害児施設に勤務する保育士の回答を除いた90部を分析対象とした。保育者は自身が風邪等をひいている時(94%)や病気が流行している期間(70%)にはマスクを着用すべきであると考えており,そのような時にはマスクを着用していた。一方,6割を超える保育者がマスクの着用によって困った経験があるとした。その理由としては,声が届きにくいことや保育者の表情が子どもに伝わりにくいことが多く挙がった。また,保育者はこれらによって保育に支障が生じると考える傾向にあった。
著者
西館 有沙
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-130, 2016

保育者の職務中のマスク着用は,感染症対策という面からみれば必要な対応であるが,子どもの健全な心身の発達を促す保育を行う際の影響の有無にも,留意する必要がある。そこで本研究では,保育者のマスク着用状況やマスク着用に関する認識を明らかにするため,保育者に対する質問紙調査を実施した。質問紙は107部を回収し,そこから看護師や障害児施設に勤務する保育士の回答を除いた90部を分析対象とした。保育者は自身が風邪等をひいている時(94%)や病気が流行している期間(70%)にはマスクを着用すべきであると考えており,そのような時にはマスクを着用していた。一方,6割を超える保育者がマスクの着用によって困った経験があるとした。その理由としては,声が届きにくいことや保育者の表情が子どもに伝わりにくいことが多く挙がった。また,保育者はこれらによって保育に支障が生じると考える傾向にあった。
著者
西館 有沙 徳田 克己 水野 智美
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.27-33, 2015-12

中学生を含む青年前期の子どもには,特に女児において,価値観や好みを共有できる少人数の仲間集団をつくる傾向が見られる(石田,2002)。石田・小島(2009)は,児童期から青年期にかけて多くの時間を共有し多くの活動をともにする仲間集団は,彼らにとって重要な意味を持っていると述べている。一方でこの時期には,グループの外にいる子どもたちを寄せつけないような強い排除が生まれやすいとされている(有倉,2011;有倉・乾,2007)。この発達段階にある中学生が,クラスメートである発達障害児の特性を理解し,良好な関係を保っていくために,教員はどのような指導を行うべきであろうか。本稿では,発達障害児に関するクラスメートの理解を促すための指導を,障害理解指導と呼ぶ。発達障害児の学級適応を図るにあたり,教員が発達障害児に対して,その特性に応じた支援を行う必要があることは言うまでもない。しかし,発達障害児への指導のみでクラス内の子どもたちの関係を良好に保つことはむずかしいのであり,クラスメートへの障害理解指導のあり方についても検討を進めていく必要がある。
著者
堀 真衣子 西館 有沙
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.25-30, 2014-05

本研究の目的は、保育者が児童虐待や虐待者の特性、虐待が子どもに与える影響、虐待への対応についてどのような認識をもっているかを明らかにすることであった。保育所保育士150名と幼稚園教諭50名を対象にした無記名式の質問紙調査を実施し、保育所保育士150名、幼稚園教諭44名より回答を得た。調査内容は、虐待や虐待への対応の仕方に関する知識の有無、虐待への対応経験、虐待対応について感じる難しさなどであった。保育所保育士も幼稚園教諭も、虐待者の苦しみや虐待の世代間連鎖、被虐待児の知能や言語の遅れなどについては9割以上が知っていると答えた。一方で、法律に定められた4種の虐待を把握していない者がいること、虐待の兆候に気づくための手がかりとなり得る情報を知らない者がいること、虐待の疑いのある子どもを保育した経験があるにもかかわらず、児童相談所に通告しなかったケースが多くあることが確認された。