著者
角田 裕之
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-57, 2011-03-31

文献データベースの著者所属機関の名称表記は多様であり,正規機関名との対応関係が一意に決まらない。本研究は著者が高等教育研究機関の所属であるとき,文献データベースから得られる情報から正規機関名に変換する方法に関する考察である。ここでは,文献から得られた機関名に対する変換の方法と手順について検討した。17万件の文献を手順に従って変換したところ,正規機関名に変換できたのは全体のおおよそ79%であった。今後更に変換率を高めるには,単語の並び順への対策が必要であることが分かった。
著者
角田 裕之 小野寺 夏生
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-20, 2006

目的: 本論は,論文の引用関係をもとにして,研究者のインパクトを示す新たな計量書誌学的指標を提案することを目的とする.方法: 論文(Webページ等の資料を含む)とその論文から引用された論文との関係は,論文をノードとし,引用関係をエッジとする有向グラフで表すことができる.また,同一著者の論文,同一雑誌の論文等の論文集合体をノードとする引用関係グラフも考えることができる.これらの有向グラフに対応するグラフ行列の連立方程式や固有ベクトルを用いて,論文や著者のインパクトを示す指標を与えるいくつかのモデルを考案,検討する.結果と考察: 論文のインパクト評価モデルとして,次の2つを提案した: (1)引用元評価値配分モデル(DCM),(2)学術知識プールモデル(KPM),いずれのモデルも,引用が必ず過去への1方向であるという論文の特性を考慮して,インパクト評価指標としての連立方程式や固有ベクトルの解の存在を保証する工夫をしている.次に,著者のインパクト評価モデルとして ResearcherImpact(RI)を提案した.これは,グラフ行列の要素として,ある著者が引用した他の著者の論文数を用いる.計量書誌学の主要研究者15人に対し,この手法を適用した.結論: (1)ここで提案したDCM,KPM,RIでは,単純な被引用カウントに比べ,被引用数の多い論文/著者(ハブ)からよく引用される論文/著者が高い評価値を得る.すなわち,インパクトの高いコミュニティの抽出に有効である.(2)RIを用いてインパクトを計算する際には,同分野かつ同時代の研究者を対象とすること,自己引用及び同一所属機関内/同一研究グループ内の引用に注意することが必要である.
著者
中山 英久 角田 裕 太田 耕平 鈴木 明宏 西山 大樹 永富 良一 橋本 和夫 和泉 勇治 キニ グレン マンスフィールド 根元 義章 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.1-6, 2009-04-09
被引用文献数
3

近年の健康志向の高まりを受け,各種トレーニングの運動効果が多くの人々の関心事となっている.本研究では,フィンランド発祥のエクササイズであるノルディックウォーキングの運動効果の検証を目的とし,ポータブルな屋外無線LANネットワークを用いて運動をリアルタイムにセンシングする,運動計測システムのプロトタイプを構築した.本システムは,無線端末と行動計測デバイスをセットとすることで,設置した無線ネットワーク内をユーザが自由に運動できるため,ネットワーク設備が不十分な屋外における運動でも各人の消費カロリー等を精密に計測できることが特徴である.プロトタイプシステムの有効性をノルディックウォーキングのイベントにおける実証実験を通じて検証し,多くの参加者から同時に運動のセンシングが可能であることを確認した.本稿では,運動計測システムの設計に関する課題を議論すると共に,実証実験の結果を報告する.
著者
辻 雅史 和泉 勇治 角田 裕 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.9-12, 2005-11-10
被引用文献数
6

近年, 急速に拡散するワームによる被害が急増し社会問題となっている.このような拡散型ワームにおいて同種のワームのフローペイロードは類似する傾向があることが指摘されている.筆者らはこれまでに, フローペイロードを8ビットに分割したコードの出現頻度のヒストグラムを256次元のベクトルとして捉えることにより, フローの類似性が評価できることを示している.また, この評価を通じて, 同種のワームのフロー間には顕著な類似性があることを確認した.しかし, 単一のネットワークのみの観測ではメーリングリスト等による通信のフローが誤検出がされるという問題点も明らかとなった.この問題に対し、本稿では, 誤検出される通信と拡散型ワームの違いは複数のネットワークに渡ってペイロードが類似したフローが存在するか否かであることに着目する.そこで, 複数のネットワークに分散配置したIDSを用い, 複数のネットワークにおけるフローペイロードの類似性に基づいたワームの検出手法について検討する.また, 実ネットワークのトラヒックデータを用いた評価実験により提案手法の有効性を示す.