著者
中村 俊輔 太田 耕平 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.208, pp.55-60, 2000-07-17
被引用文献数
2

近年, インターネット上において, ビデオやIP電話等の低遅延, 低ジッタが要求される実時間通信のトラヒックが急増している.そのため, アプリケーション等の単位でトラヒックを集約して制御するCoS(Class of Service)が注目されている.CoSを実現する有力なキュー制御法の一つであるCBQ(Class Based Queueing)は高効率の帯域制御を動的に行うことが可能である.しかし, その帯域制御は実時間通信には必ずしも有効に働かない.本文ではCBQの動的制御が実時間通信に及ぼす影響を実験を通じて明らかにし, CBQの帯域割り当て自体に優先制御の概念を導入することにより不必要な制御のオーバーヘッドを回避し, 低遅延, 低ジッタの通信が可能となることを示す.また, 実システムを用いて有効性を示す.
著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110(1994-CG-072), pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.
著者
孫 寧 安倍 正人 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.922-930, 1995-06-25
被引用文献数
62

本論文では,高精度な手書き文字認識システムDASH(Directional element feature And Subspacemethod based Handwritten character recognition system)を提案する.DASHの特徴として,(1)外側加重や線素化アルゴリズムの改良を加えた改良型方向線素特徴量(2)部分空間法における部分空間の構築方法が挙げられる.DASHの認識精度を検証するため,ETL9Bの全セットを用いてオープン実験を行った.その結果,全セット平均として,97.76% の認識率が得られ,提案するシステムが手書き文字認識において極めて有効であることが判明した.
著者
郭 軍 孫 寧 根元 義章 木村 正行 越後 宏 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.835-842, 1993-04-25
被引用文献数
12

手書き文字認識の高精度化を妨げている大きな障害の一つに,筆記者それぞれの書き方による文字パターンの不規則な変形が挙げられる.手書き文字の個人差の影響を軽減するために,特徴量抽出やマッチング時にパターンをぼかす手法が提案されている.しかし,これらの手法は文字の変形が大きい場合,有効な手法となり得ず,限界があることは一般的に知られている.本論文では,手書き文字の個人差による変形を矯正し,高精度に認識する新しい手法として余弦整形変換を利用した手書き文字認識アルゴリズムを提案する.提案する余弦整形変換は,入力パターンに対し,余弦関数の部分的な非線形特徴を利用することによって,文字が上下左右のどちらかに偏っている場合に整形する機能と,最も情報量が集中している文字の中心部分を拡張する機能をもっている.提案アルゴリズムの有効性を検証するために,ETL9Bを用いて認識実験を行った.実験では,100次元程度の低次元特徴量を用い,約60万字について認識実験を行った.その結果,学習データセット(奇数セット)では93.24%,未学習データセット(偶数セット)では91.63%,平均で92.44%と高い認識率が得られた.余弦整形変換を使用しない場合に比べ,平均して5%以上認識率が高くなっていることおよび品質の悪いデータセットほど認識率の上昇度が大きいことから,提案する余弦整形変換は手書き文字認識において極めて有効であることがわかった.
著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110, pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.In this paper, we propose a handwritten character recognition system by using modified Mahalanobis distance. There are two features in this paper, the first is that we clarified the most effective distance measure for handwritten character recognition which using directional element feature, and the second is that we modified the typical Maharanobis distance so that a very high recognition rate 98.24% of ETL9B was obtained. In addition to this, a 1/4 reduction of calculation time was attained by the proposed distance measure in comparison with the original Maharanobis distance.
著者
井野 英文 猿田 和樹 加藤寧 根元 義章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.280-289, 1997-02-15
被引用文献数
13

手書き郵便宛名の高精度な認識には 文字切出し 個別文字認識 郵便宛名辞書を用いた知識処理が必要になる.従来 これらの処理を組み合わせた手法が主に報告されているが そのほとんどの場合 単一の筆記具によって書かれた文字を対象としている.文字の平均的な線幅(以下 ストローク幅)がほぼ一定の湯合 接触.入込み文字に対処する手法として 射影ヒストグラムに対し 実際的に求めた闘値により切出し位置を決定する手法が有効であった.しかし 実際の郵便宛名には 筆・サインペン・ボールペン等 様々なストローク幅の文字が存在し これらの手法をそのまま適用するには限界があると考えられる.本論文では 筆記具に依存しない切出し手法として ストローク情報に基づく切出しアルゴリズムを提案する.提案法は ストローク幅 水平方向走査時の文字ストローク交差回数および射影ヒストグラムの変化量という文字ストロークに関する3つの情報を効果的に組み合わせることにより 切出し候補位置を適切に決定する手法である.認識実験では 郵政研究所が配布した手書き宛名サンプル画像を用いて提案法の有効性を示す.また 切出し部に関する評価実験では 提案法が従来法より優れていることを示す.In handwritten address recognition, it's important to segment characters correctly. Conventional methods mainly used fixed threshold to segment characters from handwritten address image. The problem of those methods is that they can not cope with variable stroke width of handwritten characters. In this paper, we propose a new algorithm in which adaptive threshold is used depending on the stroke information of character image. As a result, this algorithm obtained a high recognition rate for the test samples, distributed by Institute for Posts and Telecommunication Policy, MPT.
著者
井野 英文 孫 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.278, pp.37-42, 1995-09-28
被引用文献数
1

手書き郵便宛名を高精度に認識するには, 切出しの高精度化が重要な問題になっている. 従来, 郵便宛名を切出す手法には切出し・認識・後処理を組み合わせた方法が主に報告されているが, その殆どの場合, 単一の筆記具によって書かれた文字を対象としている。そのため, 射影ヒストグラムから文字の切出し候補位置を決定する際に固定閾値が用いられている. しかし, 年賀状のような郵便宛名には, 様々なストローク幅の文字が存在し, これらの方法をそのまま適用するには限界があると考えられる. 本稿では, 宛名のイメージ情報からストローク幅を推定し, 射影ヒストグラムから文字の切出し候補位置を決定する際にそれを用いて閾値を変化させる閾値可変型切出し法を提案する. 提案法を用いて, 郵政研究所が配布した郵便宛名データを対象に認識実験を行い89.4%以上の正解率を得た. 本稿では提案法及びそれを用いた認識実験を中心に報告する.
著者
武井 洋介 太田 耕平 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1464-1473, 2001-08-01
被引用文献数
10

近年, インターネットにおける不正アクセスが問題となっている. なかでもネットワークそのものを狙った不正アクセスは, ネットワーク全体に大きな影響を及ぼすもので, 対策の確立が急がれている. この種の不正アクセスを検出するには, ネットワークトラヒック観測が有効であると考えられる. しかし, DoS(Denial of service)に代表されるような不正アクセスでは攻撃元がパケットの送信アドレスを改ざんする可能性があることや, ネットワークの高速化によってパケット情報取得・解析が困難になることが問題となる. よって, 今後の高速ネットワーク環境下で, 信頼性がありかつ低負荷な観測手法と攻撃元の追跡が可能な手法の確立が急務である. 本論文では, トラヒックの変化量を抽出・比較することにより, 不正アクセスを検出するためのアルゴリズムを提案し, このアルゴリズムを適用することにより不正アクセスが検出・追跡できることを示す.
著者
曽根 秀昭 藤井 章博 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.96, no.97, pp.41-48, 1996-06-17
被引用文献数
4

東北大学は,1995年2月に超高速のキャンパスネットワークシステムSuperTAINSを完成させ,l996年3月には拡充を終えた。マルチメディア環境が学内においても急速に進展しており,これに十分応えられるよう,また,将来に向かって発展,拡充していくことができるよう考慮し,仙台市内に分散する5つのキャンパス間にシングルモードの光ファイバをメッシュ型に張り,交換方式としては基幹部分をにATM方式を,支線部分にFDDI方式を採用した。すでに,広帯域伝送を必要とする様々な科学技術計算等のアプリケーションが利用され,これに伴う通信需要が急増してる。本稿では,ネットワークシステムの概要から,利用状況,および運用等について述べる。
著者
小澤 憲秋 青木 俊徳 加藤 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1608-1617, 2001-08-01
被引用文献数
7

本論文では,衛星画像における雲域自動分類手法を提案する.提案手法は可視画像と輝度温度画像を用いて,雲域とそれ以外の領域を自動的に分類する.画像を小さな領域(局所領域)に分割することにより,局所領域中での各カテゴリーの特徴ベクトル分布がガウス分布を用いて近似できると仮定し,分布を二つのクラスタに分割する.更に,各クラスタをその後のカテゴリー分類に利用するのに適当であるかどうかの判断を行うための「一致度」を導入し,それを満足するクラスタの平均ベクトルとEMアルゴリズムを用いて分類を行う.一致度を利用することによって特徴空間中のベクトル分布が明確になることを示すとともに,クラスタリングも適切に行えることを示す.提案手法の特徴は,特徴ベクトルが各カテゴリー間を結ぶように連続的に分布することに着目する点にある.各カテゴリー間を結ぶ直線を考え,その直線と各クラスタの平均ベクトルの距離が近いものだけを利用することによって,画像ごとに動的にしきい値を決定する.最後に,提案アルゴリズムををNOAAとひまわりの画像に適用する.専門家が手動で分類した結果等と比較し,良好な分類結果が得られることを示す.
著者
中山 英久 角田 裕 太田 耕平 鈴木 明宏 西山 大樹 永富 良一 橋本 和夫 和泉 勇治 キニ グレン マンスフィールド 根元 義章 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.1-6, 2009-04-09
被引用文献数
3

近年の健康志向の高まりを受け,各種トレーニングの運動効果が多くの人々の関心事となっている.本研究では,フィンランド発祥のエクササイズであるノルディックウォーキングの運動効果の検証を目的とし,ポータブルな屋外無線LANネットワークを用いて運動をリアルタイムにセンシングする,運動計測システムのプロトタイプを構築した.本システムは,無線端末と行動計測デバイスをセットとすることで,設置した無線ネットワーク内をユーザが自由に運動できるため,ネットワーク設備が不十分な屋外における運動でも各人の消費カロリー等を精密に計測できることが特徴である.プロトタイプシステムの有効性をノルディックウォーキングのイベントにおける実証実験を通じて検証し,多くの参加者から同時に運動のセンシングが可能であることを確認した.本稿では,運動計測システムの設計に関する課題を議論すると共に,実証実験の結果を報告する.
著者
辻 雅史 和泉 勇治 角田 裕 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.9-12, 2005-11-10
被引用文献数
6

近年, 急速に拡散するワームによる被害が急増し社会問題となっている.このような拡散型ワームにおいて同種のワームのフローペイロードは類似する傾向があることが指摘されている.筆者らはこれまでに, フローペイロードを8ビットに分割したコードの出現頻度のヒストグラムを256次元のベクトルとして捉えることにより, フローの類似性が評価できることを示している.また, この評価を通じて, 同種のワームのフロー間には顕著な類似性があることを確認した.しかし, 単一のネットワークのみの観測ではメーリングリスト等による通信のフローが誤検出がされるという問題点も明らかとなった.この問題に対し、本稿では, 誤検出される通信と拡散型ワームの違いは複数のネットワークに渡ってペイロードが類似したフローが存在するか否かであることに着目する.そこで, 複数のネットワークに分散配置したIDSを用い, 複数のネットワークにおけるフローペイロードの類似性に基づいたワームの検出手法について検討する.また, 実ネットワークのトラヒックデータを用いた評価実験により提案手法の有効性を示す.