著者
豆谷 浩之
出版者
大阪歴史博物館
雑誌
大阪歴史博物館研究紀要 (ISSN:13478443)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.0061-0071, 2015 (Released:2022-05-28)

近世大坂には諸藩の蔵屋敷が置かれていた。それらは江戸の大名屋敷とは異なって、各藩の必要性に応じて設置されるものであり、個別の事情に応じて、設置・廃止、あるいは移転するものであったことが特長である。幕府領である大坂に諸藩が土地を所有することはできなかった。そのため蔵屋敷、名代という町人名義の屋敷を借りるという形式をとったが、実質は藩が所有しており、売買や質入れなどで所有者が表面化する時には名代を介するという場合があった。また、名目だけではなく、実質の部分でも蔵屋敷を「借りる」という場合もあった。そのような選択肢があることで、蔵屋敷の設置や移動が容易になった側面があり、そのことが幕藩制下における商業・流通都市としての大坂の活性化に大きな意味を持っていたと考えられる。
著者
脇田 修 田中 清美 趙 哲済 南 秀雄 平田 洋司 市川 創 小倉 徹也 高橋 工 杉本 厚典 京嶋 覚 積山 洋 松本 百合子 黒田 慶一 寺井 誠 松尾 信裕 大澤 研一 豆谷 浩之 村元 健一 古市 晃 佐藤 隆 松田 順一郎 辻本 裕也 嶋谷 和彦
出版者
公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

大阪上町台地とその周辺を対象に、古環境復元と関連させ、誕生・成長・再生をくりかえす大阪の、各時代の都市形成と都市計画の実態を探求した。古環境復元では、膨大な発掘資料・文献史料などを地理情報システムに取りこんで活用し、従来にない実証的な古地理図などを作成した。その結果、自然環境が、都市計画やインフラの整備と強い関連があること、難波京をはじめ、前代の都市計画が後代に利用され重畳していくようすなどが明らかになった。本共同研究により、より実証的な大阪の都市史を描く基盤ができたと考える。