著者
松尾 信裕
出版者
大阪歴史博物館
雑誌
大阪歴史博物館研究紀要 (ISSN:13478443)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.37-52, 2020 (Released:2020-09-18)

飛鳥時代に創建された四天王寺の周辺には古代から近世まで遺構が発掘調査で見つかっている。四天王寺周囲には中世には門前町が形成され、15世紀末には「天王寺は七千間在所」とまで言われた都市的な様相を見せていたとされている。その姿を四天王寺境内の周囲で行われた発掘調査の成果から検討した。境内の東部や北部では区画の大溝が見つかるが、それらは時期が新しくなるにつれ、境内に近づいてきた。また、地形的な制約から、町として広がることはなかったと推定した。境内の西部では建物の柱穴が多く見つかり、多くの掘立柱建物が建ち並ぶ町場と推定できた。その出現は平安時代に遡り、室町時代には完成した街区となっていたと想定した。
著者
脇田 修 田中 清美 趙 哲済 南 秀雄 平田 洋司 市川 創 小倉 徹也 高橋 工 杉本 厚典 京嶋 覚 積山 洋 松本 百合子 黒田 慶一 寺井 誠 松尾 信裕 大澤 研一 豆谷 浩之 村元 健一 古市 晃 佐藤 隆 松田 順一郎 辻本 裕也 嶋谷 和彦
出版者
公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

大阪上町台地とその周辺を対象に、古環境復元と関連させ、誕生・成長・再生をくりかえす大阪の、各時代の都市形成と都市計画の実態を探求した。古環境復元では、膨大な発掘資料・文献史料などを地理情報システムに取りこんで活用し、従来にない実証的な古地理図などを作成した。その結果、自然環境が、都市計画やインフラの整備と強い関連があること、難波京をはじめ、前代の都市計画が後代に利用され重畳していくようすなどが明らかになった。本共同研究により、より実証的な大阪の都市史を描く基盤ができたと考える。