著者
白石 和行 成瀬 廉二 楠 宏
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.49-60, 1976-03

1969年12月,9箇の石質隕石がやまと山脈の南東端付近で発見された(Yamato (a)からYamato (I)と命名).引き続き12箇の石質隕石が1973年12月,第14次南極観測隊の旅行隊によってほぼ同地域で発見された.12箇中,大型のもの4箇(重量500〜900 g)はYamato (j), (k), (l), (m)と命名され,Yamato (l)はachondrite,他はchondriteである;残りの8箇(4〜40 g)はYamato (n)からYamato (u)と命名された.採集現場での産状写真を示すとともに,地形や氷状についても述べた.将来,さらに発見される可能性があり,やまと山脈南端の限られた裸氷域に隕石が集中している原因や機構の解明のため,将来室内研究と現場での研究の必要なことを述べた.
著者
岩田 修二 白石 和行 海老名 頼利 松岡 憲知 豊島 剛志 大和田 正明 長谷川 裕彦 Decleir Hugo Pattyn Frank
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.355-401, 1991-11

第32次南極地域観測隊(JARE-32)夏隊のセールロンダーネ山地地学調査隊は, 1990年12月24日あすか観測拠点を出発し, 1991年2月7日に再び「あすか」に帰り着くまでセールロンダーネ山地中央部で, 地形・地質・雪氷調査を行い測地作業も実施した。雪上車とスノーモービルを利用してキャンプを移動しながら調査するという従来と同じ行動様式をとったため, 設営面でもおおかたはこれまでの方式と同じである。地学調査は, 地形では, 野外実験地の撤収, 岩石の風化の調査, モレーン・ティルのマッピング, 地質では, 構成岩石の形成順序の解明, 構造地質学的・構造岩石学的そして地球化学的研究のためのサンプリング, 測地では, 重力測量, 地磁気測量, GPSによる基準点測量が行われた。ベルギーからの交換科学者は氷河流動・氷厚などを測定した。
著者
岩田 修二 白石 和行 海老名 頼利 松岡 憲知 豊島 剛志 大和田 正明 長谷川 裕彦 Decleir Hugo Pattyn Shuji Iwata Kazuyuki Shiraishi Yoritoshi Ebina Norikazu Matsuoka Tsuyoshi Toyoshima Masaaki Owada Hirohiko Hasegawa Hugo Decleir Frank Pattyn
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.355-401, 1991-11

第32次南極地域観測隊(JARE-32)夏隊のセールロンダーネ山地地学調査隊は, 1990年12月24日あすか観測拠点を出発し, 1991年2月7日に再び「あすか」に帰り着くまでセールロンダーネ山地中央部で, 地形・地質・雪氷調査を行い測地作業も実施した。雪上車とスノーモービルを利用してキャンプを移動しながら調査するという従来と同じ行動様式をとったため, 設営面でもおおかたはこれまでの方式と同じである。地学調査は, 地形では, 野外実験地の撤収, 岩石の風化の調査, モレーン・ティルのマッピング, 地質では, 構成岩石の形成順序の解明, 構造地質学的・構造岩石学的そして地球化学的研究のためのサンプリング, 測地では, 重力測量, 地磁気測量, GPSによる基準点測量が行われた。ベルギーからの交換科学者は氷河流動・氷厚などを測定した。The Sor Rondane field party as part of the summer party of the 32nd Japanese Antarctic Research Expedition (JARE-32) carried out geomorphological, geological, geodetic, and glaciological fieldworks in the central area of the Sor Rondane Mountains for 45 days from December 24,1990 to February 7,1991. The field trip was conducted by two parties, consisting of 9 persons, traveling from mountains to mountains to shift tented camps using 4 snow vehicles towing their equipments on sledges behind. Nine snowmobiles (motor toboggans) were used for their field researches on glaciers. Geomorphologists carried out measurements in the periglacial field experimental sites, observations of rock weathering, and mapping of chronological sequence of tills and moraines. Geologists studied chronological sequence of rock formation and collected rock specimens for structural, petrological, and chemical analyses. A surveyor set up geodetic control stations using GPS satellite positioning system and made gravity surveys on glaciers as well as at some control stations. Two Belgian glaciologists took part in the fieldwork as exchange scientists and studied dynamics of glacier movement and ice thickness.
著者
白石 和行 Klokov Valery
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.778-790, 1997-11

日本南極地域観測隊に大型航空機を導入して大陸間航空路を設けることの可能性を研究した。昭和基地, やまと山脈近傍の雪面や青氷上に, 車輪で離発着できる固い滑走路を建設できる場所を検討した結果を, その建設方法の概略や発着できる航空機の性能などとともに示した。さらに, 東南極航空網計画を国際的に推進することの必要性を説いた。
著者
白石 和行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.50-70, 2001-03

越冬隊40名, 夏隊20名及びオブザーバー6名の総計66名からなる第40次南極地域観測隊(以下, 第40次隊)は, 1998年11月14日東京港を出港した。往路においてオーストラリアの観測船「オーロラ・オーストラリス」号の救援活動が組み込まれたが天候, 氷状等の条件に恵まれ, 当初計画に大きな影響はなかった。昭和基地方面での行動中は天候が悪く, 輸送, 建設等の作業に大きな影響を与えた。さらに, 強風によるヘリコプター機材の損傷のためにアムンゼン湾でのオペレーションを中止せざるを得ない事態がおこるなど, 第40次夏期行動はあわただしい動きに終始した。しかし, その他の夏期の基地設営活動や調査観測についてはおおむね所期の目的を達成し, 越冬隊を成立させることができた。往路においてオーストラリアの観測船「オーロラ・オーストラリス」号の救援活動が組み込まれたが天候, 氷状等の条件に恵まれ, 当初計画に大きな影響はなかった。12月21日から24日までの間に, アムンゼン湾トナー島に小型ヘリコプターを含む地学調査隊(オブザーバーを含め13名)を送り, 12月26日に昭和基地への第1便を発した。12月28日午後, 昭和基地に接岸。ただちに貨油のパイプ輸送と大型物資の氷上輸送を開始した。昭和基地への本格空輸は1月上旬の平均風速が観測史上第1位, 日照時間はわずか29時間という悪天のために輸送ははかばかしくはいかなかった。そのため, 多くの物資を氷上輸送に切り替えざるをえなくなった。夏期建設作業としては, 300kVA発電機の設置, 通路建設, 旧居住棟移設, 太陽光発電や汚水処理棟の設備工事, 第1 HFレーダーとMFレーダーの建設などがあったがこれらの進捗も悪天のために遅々としていた。1月10日にトナー島のヘリコプターが強風により破損したため, 今次隊でのアムンゼン湾地域での地学調査を打ち切り, 「しらせ」をアムンゼン湾に回航して隊員と物資を収容することにした。「しらせ」は1月25日にリュツォ・ホルム湾に戻り, 2月1日に第39次隊との越冬交代を行った。昭和基地への物資輸送は, アムンゼン湾からの回送分を含めて, 総計954トンに達した。また持ち帰り物資は287トンとなった。昭和基地周辺地域では, 沿岸露岩域, 海氷上での観測および調査等を行った。多くの調査がアムンゼン湾地学隊収容後の2月以降に実施され, 野外調査は2月17日に終了した。ドームふじ観測拠点への夏期内陸旅行は, 2月11日にS16に帰投した。復路では, 航走及び停船海洋観測を継続実施した。3月2日に中山基地(中国)とロシアのプログレス基地も訪問した。東経150度線に至った後は北上し, 3月16日に南緯55度を通過し, シドニー港への入港は3月21日であった。
著者
森脇 喜一 白石 和行 岩田 修二 小嶋 智 鈴木 平三 寺井 啓 山田 清一 佐野 雅史
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.36-107, 1985-09

第26次南極地域観測隊のセールロンダーネ山地地学調査は, 山地西部地域において実施された。調査は新観測拠点建設作業後の1月6日から2月13日までの39日間, 広域を調査するため8名の隊員が2班に分かれて実施した。2班はそれぞれ地質, 地形, 測地の調査・観測ができるよう構成され, ほぼ所期の目的を達成した。夏隊の行動期間のほとんどすべてを費やして, 昭和基地から独立して行った, このような行動形態は, 日本南極地域観測隊としては初めての例であるので, 計画作成から実施経過までを装備, 食料などの設営面を含めて詳しく報告する。調査結果については現在, 整理・研究中であり, 今後個別に発表されるので, ここでは概要を述べるにとどめる。この地域の夏季の気象・雪氷状況は, 今後もセールロンダーネ地域で展開される調査行動の指針となると思われるので詳しく報告する。
著者
白石 和行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.95-127, 2007-03-28

第47次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第47次隊は総勢60名で構成され,このうち越冬隊は37名,夏隊は23名であった.越冬隊は1名が病気のために帰国し,越冬開始時には36名となった.他に,夏隊に同行者として6名が参加した.観測船しらせは2005年11月14日に晴海を出港し,また,観測隊本隊は11月28日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで観測船しらせに乗船した.しらせは12月3日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ12月15日に氷縁に到着した.12月17日に昭和基地第1便が飛び,2006年2月12日の最終便までの間に,第47次越冬隊成立に必要な物資約1000tの輸送と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.また,日独共同航空機観測は,飛行時間111.5時間で,昭和基地周辺のほぼ900×400kmの範囲の地磁気,重力,氷厚などの測量を実施でき,良好なデータを得た.沿岸露岩の湖沼域の生態学的調査,氷河地形調査,地震観測,氷・水・土壌・生物等の試料採集,内陸での気象,電波,GPS等の無人観測などの夏期観測調査はほぼ予定通り実施できた.設営系では,昭和基地夏作業として予定された基地建物・施設の新設や改修工事はすべて実施した.特に,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の2年目として,主に第46次隊が用意した200tを上回る廃棄物を持ち帰り,また島内一斉清掃によって飛散していた廃棄物の回収に努めた.往復の航路上では,海洋観測を実施し,シドニーに3月21日に到着,観測隊は航空機で3月28日に帰国した.一方,ドームふじ基地支隊は10月30日に成田を出発し,ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して11月3日に「ARP2」地点で第46次隊と合流した.その後,雪上車でドームふじ基地に11月17日に到着した.ここで,氷床深層掘削の最終年度として,第46次越冬隊と協力して,1月23日までに3028.52mの掘削に成功したのち,航空機により2月9日に帰国した.
著者
白石 和行 金谷 弘
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.30-41, 1983-09

やまと山脈の基盤岩類からのべ63個の試料を選び, Rb, Sr, Th, Uの定量分析を行った。3種の閃長岩類を観察すると, これら元素の存在量や存在比について, 比較的顕著な差異のあることが認められる。特に, 単斜輝石石英モンゾニ岩におけるSrの濃集が著しい。また, 変成岩類相互の差異は必ずしも顕著ではなく, 全体の傾向は, 世界の盾状地での下部グラニュライト相-上部角閃岩相の変成岩の示すこれらの値と大きくかけ離れるものではない。