著者
德元 裕子 豊里 竹彦 眞榮城 千夏子 平安名 由美子 遠藤 由美子 照屋 典子 玉城 陽子 髙原 美鈴 與古田 孝夫
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.3-11, 2018-01-31 (Released:2018-02-16)
参考文献数
40

Objective: This study aimed to clarify the association between sense of filial responsibility, local residents’ subjective economic status, and attachment to the local community, and to contribute to local community policies and measures including support systems for elderly in need of care and family.Methods: We conducted in-home interviews in 2015 in Okinawa, Japan. A total of 2,663 local residents were selected, and after invalid responses were excluded, 1,656 responses (62.2%) were analyzed. Participants were asked about demographic variables (sex, age, marital status, birth order, subjective health, living arrangement), subjective economic status, attachment to the local community, and sense of filial responsibility (such as caring for and supporting their elderly parents).Results: Age, marital status, birth order, and attachment to the local community were positively associated with sense of filial responsibility. Participants with low subjective economic status had low sense of filial responsibility. Even if subjective economic status was low, participants with high attachment to the local community had significantly high sense of filial responsibility. Moreover, participants with high attachment to the local community provided and received more instrumental support than participants with low attachment to the local community.Conclusions: Our findings suggest that high attachment to the local community can form a support system in local areas, and that support systems in turn help local residents when they support their parents. In light of these findings, measures for creating networks between local residents, as well as improvement of the physical environment, are necessary for local community planning.
著者
宮城 眞理 豊里 竹彦 小林 修平 川口 毅
出版者
The Japan Society of Health Sciences of Mind and Body
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.91-99, 2012

本研究は禁煙外来に来訪した受診者を1年以上にわたって追跡調査し,禁煙継続に関わる諸因子を疫学的に明らかにすることを目的とした.特に近年,喫煙が薬物依存症であることが明らかにされ,それに基づいて開発されたニコチン製剤であるニコチンパッチ (二コチネル) および,ニコチン受容体部分作動薬バレニクリン (チャンピックス) を用いた禁煙治療の長期的効果の比較とその他の心身健康に関わる心理的因子の検討を行った.<br>都内の禁煙外来においてバレニクリンもしくはニコチンパッチを用いて治療した102名を対象に治療開始後3ヶ月,1年後に追跡調査した結果,3ヶ月,1年後それぞれの禁煙率は79.3%,62.6%であり,禁煙補助剤別でみるとバレニクリンでは80.0%,68.4%,ニコチンパッチでは77.8%,56.7%であった.禁煙補助剤による副作用は53%にみられ,禁煙補助剤別でみるとバレニクリンでは57%,ニコチンパッチ42%であった.<br>禁煙の持続率に関連すると思われる因子では,禁煙持続群と禁煙しようとしたが,禁煙できなかった喫煙群との間には禁煙外来への受診回数 (3ヶ月<i>p</i> < 0.05,1年<i>p</i> < 0.01) および心理的要因であるSTAI (特定不安) ならびにカウンセリング必要度に有意差がみられ (<i>p</i> < 0.05),さらにカウンセリング必要度の中では,理屈ではよくないとわかっているのにその行動を改められないなどの行動症状,わけのわからないことで,イライラしたり,不安になる,あるいは無気力になるなどの精神症状に有意差が認められた (<i>p</i> < 0.05).<br>以上の結果から,長期的な禁煙効果を高めるためには,受診継続への工夫,禁煙補助剤の開発,ならびに心理的なサポートをするカウンセラーの育成が急務であることが示唆された.
著者
石津 宏 豊里 竹彦 太田 光紀 森山 浩司 大城 和久 輿古田 孝夫 津田 彰 矢島 潤平 兪 峰 吉田 延
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.671-680, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
34

本研究は,固有の祭祀行事が生活の中に息づく沖縄県知念村久高島の高齢者を対象とし,主観的幸福態と健康状態を調べ,その関連要因を検討するとともに,唾液を採取し,その中に含まれるS-IgAや,脳内神経伝達物質の主要代謝産物であるMHPGを測定し,心身相関について検討することを目的とした.久高島で年間20数回も行われる神聖な祭祀行事が,高齢者の主観的幸福感,抑うつ感などのメンタルヘルスや免疫系統に与える影響についても検討した.その結果,久高島の高齢者(65〜96歳,50名)の健康度自己評価は前期高齢者,後期高齢者とも高く,健康老人が多かった.また,健康度自己評価とWHO/QOL26,LSI-K,PGCモラールスケールの3尺度間に有意な正の相関がみられた.唾液中S-IgA値は,70代,80代,90代とも高く,年齢による減弱はみられていない.S-IgAに関与する因子は重回帰分析の結果,WHO/QOL26の下位項目「手段的自立」と有意な関連がみられた.神事を経験した高齢女性では,神事(「祭り」)の後には,唾液中free MHPGが減少する傾向こあった(p<0.10).このことから,久高島高齢者は主観的な健康だけでなく,実際の免疫系統も健康であるという心身相関が示唆された.久高島の伝統的な祭祀行事は心身の安らぎを与え,高齢者のメンタルヘルスと健康に重要な関わりをもつことが示唆された.
著者
森山 浩司 石津 宏 輿古田 孝夫 豊里 竹彦 太田 光紀 大城 和久 馬 宏坤 兪 峰 佐和田 重信 柳田 信彦 名嘉 幸一 和氣 則江 吉田 延
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.661-669, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

健康長寿要因としてのメンタルヘルスの重要性を研究するために,長寿地域である沖縄県北中城村と固有の祭祀行事が生活に息づく知念村久高島において,高齢者の主観的幸福感と健康状態の関連要因について検討した.分析対象は,北中城群173名(男性75名,女性98名),久高群77名(男性24名,女性53名)の65歳以上の高齢者である.主観的幸福感(生きがい感)の指標としてPGCモラールスケール,生活満足度尺度K(LSI-K)を用い,健康度自己評価得点に及ぼす関連因子について重回帰分析を行った.健康度自己評価得点と有意な関連要因は,北中城群ではPGOモラール得点,学歴,久高群では老研式活動能力指標,女性,LSI-K得点,小遣いであった.また一方,主観的幸福感に影響を及ぼす関連因子として健康度自己評価,老研式活動能力指標などがみられたことは,心の健康状態と体の健康状態は表裏一体であることを示している.健康度自己評価にPGOモラール得点,LSI-K得点が有意に関連を示したことは,身体の健康状態の生成に主観的幸福感(生きがい感)がヘルスプロモーション要因として関与することを意味する
著者
下地 智之 豊里 竹彦 眞榮城 千夏子 平安名 由美子 垣花 シゲ
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌
巻号頁・発行日
vol.37, pp.437-445, 2017
被引用文献数
3

<p><b>目的:</b>救急・集中治療領域における終末期治療の代理意思決定支援実践尺度を開発し信頼性および妥当性を検証する.</p><p><b>方法:</b>尺度原案は文献検討および内容妥当性を検討し作成した.全国の救命救急センター病床/ICUにて,看護師473名に質問紙調査を実施した.項目分析,IT相関,GP分析,探索的因子分析,基準関連妥当性の検証,既知集団法,および再テスト法を行った.外的基準は看護師の倫理的行動尺度を用いた.</p><p><b>結果:</b>探索的因子分析の結果,4因子18項目が抽出され,第1因子から順に【他職種連携】【代理意思決定の準備】【偏りのない姿勢と説明の確認】【代理意思決定を考える促し】と命名した.尺度全体のクロンバックαは0.89(下位因子0.74~0.84)であった.再テスト法の級内相関係数は0.71で,看護師の倫理的行動尺度との相関係数ρは0.54であった.資格および学習経験のある群が有意に高値であった.</p><p><b>結論:</b>救急・集中治療領域の終末期治療における代理意思決定支援実践尺度の信頼性および妥当性が確認された.</p>
著者
照屋 典子 砂川 洋子 豊里 竹彦 伊波 華 知念 正佳 木村 安貴 與古田 孝夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.49-56, 2018

<p>本研究は,喉頭摘出者の不安・抑うつ傾向と個人属性および日常生活における困難感との関連性を検討することを目的とした. A県患者会に所属する135名を対象に無記名の質問紙調査を行った.調査内容は基本属性,日常生活における困難感,不安・うつ尺度(NAS-J-L 6項目)である.有効回答が得られた43名を対象として重回帰分析を行った結果,年齢(β=-0.369,p=0.004),外出・趣味に関する困難感(β=0.419,p=0.002)は不安・うつ尺度得点と有意な関連性が認められ,若年,中年者および外出・趣味に困難を有する者では不安・抑うつ傾向が高いことが明らかとなった.看護者はこれらの対象者に対し,より注意深く心理状況や生活環境のアセスメントを行い,継続的な心理社会的支援を行う必要性が示唆された.</p>
著者
德元 裕子 豊里 竹彦 眞榮城 千夏子 平安名 由美子 遠藤 由美子 照屋 典子 玉城 陽子 髙原 美鈴 與古田 孝夫
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.3-11, 2018

<p><b>Objective: </b>This study aimed to clarify the association between sense of filial responsibility, local residents' subjective economic status, and attachment to the local community, and to contribute to local community policies and measures including support systems for elderly in need of care and family.</p><p><b>Methods: </b>We conducted in<tt>-</tt>home interviews in 2015 in Okinawa, Japan. A total of 2,663 local residents were selected, and after invalid responses were excluded, 1,656 responses (62.2%) were analyzed. Participants were asked about demographic variables (sex, age, marital status, birth order, subjective health, living arrangement), subjective economic status, attachment to the local community, and sense of filial responsibility (such as caring for and supporting their elderly parents).</p><p><b>Results: </b>Age, marital status, birth order, and attachment to the local community were positively associated with sense of filial responsibility. Participants with low subjective economic status had low sense of filial responsibility. Even if subjective economic status was low, participants with high attachment to the local community had significantly high sense of filial responsibility. Moreover, participants with high attachment to the local community provided and received more instrumental support than participants with low attachment to the local community.</p><p><b>Conclusions: </b>Our findings suggest that high attachment to the local community can form a support system in local areas, and that support systems in turn help local residents when they support their parents. In light of these findings, measures for creating networks between local residents, as well as improvement of the physical environment, are necessary for local community planning.</p>
著者
照屋 典子 砂川 洋子 豊里 竹彦 伊波 華 知念 正佳 木村 安貴 與古田 孝夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.49-56, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
42

本研究は,喉頭摘出者の不安・抑うつ傾向と個人属性および日常生活における困難感との関連性を検討することを目的とした. A県患者会に所属する135名を対象に無記名の質問紙調査を行った.調査内容は基本属性,日常生活における困難感,不安・うつ尺度(NAS-J-L 6項目)である.有効回答が得られた43名を対象として重回帰分析を行った結果,年齢(β=-0.369,p=0.004),外出・趣味に関する困難感(β=0.419,p=0.002)は不安・うつ尺度得点と有意な関連性が認められ,若年,中年者および外出・趣味に困難を有する者では不安・抑うつ傾向が高いことが明らかとなった.看護者はこれらの対象者に対し,より注意深く心理状況や生活環境のアセスメントを行い,継続的な心理社会的支援を行う必要性が示唆された.