著者
尾辻 健太 大原 佳央里 中村 真紀 雨積 涼子 比嘉 千明 嘉数 健二 近藤 康人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.63-67, 2015 (Released:2015-07-28)
参考文献数
7

食物アレルギー歴のない17歳女性が,すき焼きを摂取後にアナフィラキシーを起こした症例を経験した.皮膚試験で陽性であったエノキタケを入院の上オープン法で経口負荷試験しエノキタケが原因食品であることが確かめられた.これまでエノキタケによるアナフィラキシーの報告はなく,アレルゲンについても報告されていない.今回患者血清を利用しアレルゲンの同定を試みた.市販のエノキタケから抗原を抽出し,患者血清を用いてWestern-blottingを行ったところ,複数のタンパク質バンド(18kDa,39kDa,50kDa)に特異的な反応がみられ,これらがアレルゲンであると考えた.
著者
尾辻 健太 二村 昌樹 漢人 直之 林 啓一 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.971-982, 2011-08-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
35
被引用文献数
2

【目的】即時型小麦アレルギーに対するω-5グリアジン特異的IgE抗体(以下,ω-5グリアジンIgE)検査の診断的価値を検討する.【方法】2008年1月〜10月に当科で小麦特異的IgE抗体(以下,小麦IgE)検査を施行した全症例でω-5グリアジンIgEを測定し,小麦経口負荷試験又は病歴に基づいた小麦アレルギーの診断との関連を検討した.解析対象者は233人(年齢中央値3.6歳),小麦アレルギー群59人,非小麦アレルギー群174人であった.【結果】小麦アレルギー群の割合は,ω-5グリアジンIgEクラス2(n=31)で68%,クラス3(n=15)で87%,クラス4以上の3人は100%であった.一方小麦アレルギー群でも陰性(<0.35U_A/ml)を示す患児が24%存在した.これらのデータを元に,ω-5グリアジンIgEのプロバビリティーカーブを作成した.【結語】ω-5グリアジンIgE抗体は,小麦アレルギーの診断に高い陽性的中率を示すが,診断感度の低さから,必ず小麦IgEと併せて評価すべきである.
著者
新垣 智也 末廣 豊 平口 雪子 玄 茉梨 吉野 翔子 熊谷 雄介 海老島 優子 大和 謙二 尾辻 健太 近藤 康人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1240-1243, 2017

<p>症例は10歳女児で既往に鶏卵アレルギーがあった.4歳時,鍋料理のエノキタケを摂取後に口腔内の痒みを訴え,以降はエノキタケを摂取していなかった.10歳時に学校給食でエノキタケの入ったすまし汁の汁のみを飲んだところ,口腔内の違和感と痒みが出現し20分間程度持続した.精査のために当科で実施したprick to prick testではエノキタケの生,加熱,茹で汁がいずれも陽性であった.</p><p>患者血清を用いてアレルゲンの同定を試みた.western blottingを行ったところ,75kDaで特異的な反応がみられ,本症例のアレルゲンと考えられた.</p><p>過去に報告のあったエノキタケアレルギーとは症状の程度,他のキノコ類への感作,抗原のタンパク質分子量などで違いがあり,新規のアレルゲンが関与しているものと推定された.</p>
著者
二村 昌樹 伊藤 浩明 尾辻 健太 平山 美香 林 啓一 大矢 幸弘 益子 育代
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1610-1618, 2009-12-31 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【背景】小児アトピー性皮膚炎に対する治療教育を目的として,我々は1泊2日教育入院プログラム「スキンケアスクール」を実施している.これは6歳未満で中等症以上を対象にし,正しい洗い方と軟膏塗布の実習指導および講義で構成している.【方法】本プログラムの効果を評価する目的で,参加した56組の養育者に対して参加前,直後,1ヵ月,6ヵ月後にアンケート調査を実施した.【結果】プログラム参加により,医師の指導歴があっても参加前の軟膏量や塗布の方法は不十分であったと認識した.皮疹の状態の改善とともにかゆみや睡眠障害といった症状も1ヵ月後には改善したと養育者は回答しており,その改善度は6ヵ月後まで維持された.一方,ステロイド使用量は参加前と比較して1ヵ月後には減少し,6ヵ月後にはさらに減少したと評価された.【結語】本プログラムは,養育者のスキンケアに対する理解と実践を達成する上で有効であった.皮膚洗浄と十分な軟膏使用を柱とする正しいスキンケアは,湿疹の改善効果をもたらし,結果的にステロイド減量も可能にする事が示唆された.