- 著者
-
辻 慶太
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
日本の大学図書館では,学生はWikipediaのページを閲覧し,図書館の蔵書は閲覧せずに退館する傾向がある。Wikipediaは調べ物や学習にとって有用な情報源であるが,図書館の蔵書も利用した方がより深い知識が得られるはずである。もしWikipediaの各ページで,そのページに関連する図書館蔵書が表示されたら,学生はその図書を利用するかもしれない。そのような前提の下,本研究では図書館内のパソコンのブラウザ上でWikipedia閲覧者に図書推薦を行うアドオンを開発している。上記アドオンは,(1)各Wikipediaページの内容を把握し,コンピュータ処理可能な形で表現して,(2)各蔵書の内容とのマッチングを行い,内容の類似などに基づいて,適切な推薦図書を決定する。平成28年度には,このうち(1)に関する研究を行い,国際会議QQML 2017 (9th Qualitative and Quantitative Methods in Libraries International Conference) で発表した。具体的には“Automatic Classification of Wikipedia Articles by Using Convolutional Neural Network”というタイトルで,8ページの国際会議論文を,5月25日にアイルランドのリムリックで発表した。内容としては,Wikipediaの3,985ページに対して日本十進分類法(以下,NDC)の分類コードを付与し,300ページをテスト用,残り3,685ページを学習用とし,深層学習の畳み込みニューラルネットワークを用いて,NDCコードを付与する実験等を行った。結果,87.7%という十分な精度を得た。