著者
遠藤 誠之 玉井 克人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

妊娠中に母体から胎児へ細胞が移行する現象を母体胎児間マイクロキメリズムと言います。その機序により、ある割合で子供が母親由来の細胞に対して免疫学的な寛容を示すことが分かっています。その場合、その子供は母親由来の細胞移植や、母親に特異的なタンパク質に対して拒絶反応を起こしません。我々は今回、この免疫寛容誘導効率を上げるための研究を行いました。妊娠マウスに間葉系幹細胞動員因子HMGB1を投与することで、母体血中から胎児へより多くの間葉系幹細胞が移行することを期待しました。その結果、免疫寛容誘導効率を約4倍増加させることができました。
著者
中村 仁美 玉井 克人 冨松 拓治 遠藤 誠之 味村 和哉
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

現在の不妊治療の治療効率を向上するためには現在ブラックボックスである受け入れ側の子宮の着床能を前方視的に評価しその周期ごとの治療方針に反映させなければならない。これまでの我々の研究において、ヒトでは排卵期前に子宮内膜の電気生理学的パラメータを測定する事でその周期の子宮内膜の受容能が前方視的に評価できる事を明らかにした。本研究では、この物質的基盤を明らかにするために月経による子宮内膜の再生機構について、マウスモデルを用いて基礎研究を行う。将来的に、電気生理学的評価の物質的基盤を検討する事でヒト子宮の着床能を前方視的に評価する装置システムの精度の向上だけでなく、治療への応用をめざす。
著者
遠藤 誠之 香川 尚己 奥山 宏臣 和田 誠司 左合 治彦
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.205-210, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

脊髄髄膜瘤は, 先天的に下肢の運動障害や排泄障害などの脊髄神経障害とキアリⅡ型奇形をきたす疾患であり, 生後治療で改善できる予後には限界がある. 脊髄髄膜瘤はそれ自体, 致死的疾患ではないが, 長期にわたるQOL低下をきたす疾患であるため, 胎内手術の対象とされた. 2003年から7年間にわたって行われた, Management of Myelomeningocele Study (MOMS) により, 脊髄髄膜瘤に対する胎児手術と出生後治療とがランダム化比較検討され, 2011年に胎児手術の有用性が報告された. 現在, 欧米では脊髄髄膜瘤胎児手術は脊髄髄膜瘤に対して選択できる標準治療の1つとなっている.
著者
安井 眞奈美 中本 剛二 遠藤 誠之 倉田 誠 松岡 悦子 澤野 美智子 伏見 裕子 木村 正
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の概要は、現代の妊娠・出産・産後を危機的状況にあると捉え、医療、女性の身体、子供の命といったさまざまな切り口から、妊娠・出産・産後の現状を総合的に解明することである。現状を変えていくための処方箋を提示する、緊急を要した実践・応用人類学の研究と位置づけられる。現代の妊娠・出産・産後の現状をインタビューも含めた文化人類学の参与観察によって解明し、エスノグラフィーを作成する点に特徴がある。