- 著者
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井川 憲男
赤坂 裕
石野 久彌
郡 公子
曽我 和弘
松本 真一
- 出版者
- 大阪市立大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
気象庁の20年間(1981〜2000年)の全国842地点のアメダスデータを利用して、欠測や非観測要素を補充して作成され、2005年に拡張アメダス気象データが公開された。拡張アメダス気象データを多目的に有効活用するには、人体や建材等への影響を予測するための紫外放射量(UV-A,UV-B)や、緑化に関連する光合成有効放射量(PAR)など、現状の拡張アメダスに収録されていない基礎データを増強する必要がある。気象要素推定モデルを開発するため、基礎データを収集することを目的として、これまでに日射量、気温、湿度、風向・風速などの気象観測を実施している秋田県立大学(由利本荘市)、首都大学東京(八王子市)、大阪市立大学(大阪市)、鹿児島大学(鹿児島市)、に、本補助金によって照度、UV-A、UV-B、PAR、赤外放射量などのセンサーを追加導入し、計測システムを再構築した。測定開始日を平成18年1月1日とし、1分間隔での測定を開始した。現在、1年間以上の測定データが蓄積され、さらに、測定を継続している。測定データを基に、紫外放射量と日射量の関係を詳細に比較検討し、晴天指標と澄清指標で天空状態を分類する方法が、日射量からUV-A、UV-Bを推定する数式モデルの開発に有力な手法であることが確認できた。また、日射量から照度を推定する既開発モデルを測定データにより比較検証し、その高い推定精度が再確認できた。日射の直散分離法についても基本モデルを提案した。また、風向・風速・降水量については長時間間隔のデータから、1分間隔のデータを推定するための手法を検討し、基本的方向性が見えてきた。今後、さらに測定を重ね、長期連続測定により取得した各種気象要素データを基に、拡張アメダス気象データをさらに増強、高精度化するための気象要素の推定法を開発する予定である。今後得られる成果より、さらに多目的利用が可能な、次世代の「拡張アメダス気象データ」を多数のユーザーに提供できると信じる。