著者
Mohosena Begum TANU 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.426-430_1, 1999-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
9 26

1998年12月にバングラデシュで採集されたカブトガニ Carcinoscorpius rotundicauda の毒性とその毒成分を調べた. 卵巣, 精巣, 内臓に毒性が認められたが, その毒力はすべて10MU/g以下であった (卵巣において最高値7.4MU/g). 抽出した毒を限外ろ過並びに活性炭, Bio-Gel P-2, Bio-Rex70のクロマトグラフィーにより精製した. 部分精製毒をHPLC, TLC, 電気泳動, 1H-NMRで分析した結果, カブトガニの毒はテトロドトキシン (TTX) であることが明らかになった. これはバングラデシュ産カブトガニの毒性及び毒成分に関する初めての報告である.
著者
野口 玉雄
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.928-929, 2002-11-15

フグ毒の研究は,1960年代の前半まではフグ毒(tetrodotoxin,TTX)構造の解明に終始した。1964年には,有機化学者の英知を集めた国際天然物会議において3つのグループからTTXに対して同一の絶対構造が提案され,この問題は一段落した。その際にMosher教授によるカリフォルニアイモリからTTXが検出された発表があり,TTXがフグの占有物である神話が崩れた。その後,日本で起きた魚介類自然毒による中毒に際して,いくつかの中毒原因物質がTTXと同定され,TTXの生物界における分布が広かった。これに伴って,これまで神秘と思われていたフグの毒化機構に食物連鎖が浮上するとともに,TTXの生体内における存在形態も論議されるようになった。さらに,抗TTXモノクローナル抗体の開発により,これに関する活発な研究が行われている。これら,最近の発展の著しいTTX研究のハイライトを紹介するとともに,これまでの研究を統括して,将来的なTTX研究の展望を述べたい。
著者
長島 裕二 丸山 純一 野口 玉雄 橋本 周久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.819-823, 1987
被引用文献数
28 98

An ion-pairing high performance liquid chromatographic method using a silica ODS columnwas developed for analysis of paralytic shellfish poison (PSP) and tetrodotoxi (TTX). As mobile phase is used a mixture of 0.05<sub>M</sub> phosphate buffer (pH 7.0) containing 2 m<sub>M</sub> heptanesulfonicacid/methanol (99:1) for separation of gonyautoxins and TTXs, and the one (75:25) for separa-tion of saxitoxins. PSP and TTX members thus separated were detected as fluorogenic sub-stances, by heating with a periodate reagent (for PSP), or with 3<sub>N</sub> NaOH (for TTX).
著者
谷口 香織 高尾 秀樹 新名 真也 山中 祐二 岡田 幸長 中島 梨花 王 俊杰 辰野 竜平 阪倉 良孝 高谷 智裕 荒川 修 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.277-281, 2013-08-25 (Released:2013-09-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

トラフグ肝臓につき,滑らかな面を表側,肝門脈との結合部を上部として10分割し,マウス毒性試験で各部位の毒力を測定したところ,生肝臓58個体中16個体と凍結肝臓13個体中9個体ですべての部位が毒性を示した.毒の主体はテトロドトキシンであった.これらにつき,個体の平均毒力に対する各部位の相対毒力を求めて二元配置分散分析を行ったところ,凍結肝臓では毒の分布に有意な偏りは見られなかったが,生肝臓では右側中央下寄りの毒性が有意に高いことが分かった.肝臓の毒性評価に際しては,本部位を用いた個別検査の実施が望ましいと判断した.