著者
天野 勝文 阪倉 良孝 高谷 智裕 水澤 寛太
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

トラフグがフグ毒テトロドトキシン(TTX)を脳内に保有することを示した申請者らの研究成果を基に「フグでは脳に存在するTTXが脳ホルモンを介して内分泌系を制御する」という仮説を立て,その検証に挑戦する.まず,トラフグをモデルとして,TTX投与毒化魚と対照無毒魚における主要な脳ホルモンの遺伝子発現量をリアルタイム定量PCRで網羅的に比較して,TTXが脳ホルモンを介して内分泌系に及ぼす影響を調べる.次に,フグ科魚類の脳にTTXが広く存在するかを,液体クロマトグラフィー質量分析と免疫組織化学を併用して精査する.最後に得られた結果を総合して,フグがTTXを脳内に保有する生理学的意義について考察する.
著者
刀祢 和樹 都澤 拓 工藤 謙輔 佐々木 幾星 WEI-CHUAN CHIANG HSIN-MING YEH 中村 乙水 米山 和良 坂本 崇 阪倉 良孝 菊池 潔 河邊 玲
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.22-00026, (Released:2022-12-29)
参考文献数
25

薩南海域におけるカンパチ成魚の遊泳行動を取得し,台湾東部海域の既往知見と比較した。薩南海域の個体は台湾東部の個体よりも移動範囲が狭く,放流した海域の近傍に留まり続けていた。海域間で滞在深度は異なっていたが経験水温は同程度であった。核DNAのITS領域とmtDNAのcytochrome b領域の塩基配列情報を用いて標識個体の種判別を試みたところ,形態的にはカンパチであるにも関わらず,ヒレナガカンパチと同様のcytochrome b領域のPCR-RFLPパターンを示す個体が見られた。
著者
刀祢 和樹 都澤 拓 工藤 謙輔 佐々木 幾星 WEI-CHUAN CHIANG HSIN-MING YEH 中村 乙水 米山 和良 坂本 崇 阪倉 良孝 菊池 潔 河邊 玲
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.22-33, 2023-01-15 (Released:2023-02-07)
参考文献数
25

薩南海域におけるカンパチ成魚の遊泳行動を取得し,台湾東部海域の既往知見と比較した。薩南海域の個体は台湾東部の個体よりも移動範囲が狭く,放流した海域の近傍に留まり続けていた。海域間で滞在深度は異なっていたが経験水温は同程度であった。核DNAのITS領域とmtDNAのcytochrome b領域の塩基配列情報を用いて標識個体の種判別を試みたところ,形態的にはカンパチであるにも関わらず,ヒレナガカンパチと同様のcytochrome b領域のPCR-RFLPパターンを示す個体が見られた。
著者
阪倉 良孝
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

脊椎動物で唯一自家受精を行うマングローブ・キリフィッシュ(Rivulus marmoratus)を材料とし、これまで知見の乏しい本種の初期生活史を明らかにするとともに、由来の異なるクローン株間での生活史戦略の比較および本種の増養殖研究の実験動物としての有用性の考察を研究目的とした。その結果、形態・組織・生理・行動の各種形質の解析により、本種の初期生活史は4相に分けられた(文献1)。由来の異なる2つのクローン株を同一環境で飼育し、先に得られた初期生活史パラメータと、繁殖パラメータを比較した。その結果、これらの株間で、初期成長と繁殖戦略(産卵数、性比)に有意な差が見られ、2株間には成長・繁殖形質に関わる遺伝的変異の存在することが明らかになった(文献2)。2クローン株間の生活史特性値の変異を決定する機構を調べるために、2株の初期成長の差に着目し、消化酵素活性および画像解析により摂餌行動と遊泳活動度を比較した。その結果、高成長クローンと低成長クローンの消化酵素活性は同等であるのに対し、高成長クローンは摂餌速度と遊泳活動度が低いことが明らかになった。このことから、2株間で摂餌効率が異なることにより、初期成長の差が生じることを示した。さらに、本種の初期生態と栄養要求を理解するために、異なる餌料プランクトンを与える飼育実験を実施し、餌料によって初期成長、魚体の脂肪酸組成、遊泳活動度に差が生じることを見いだした。また,本種の性ステロイドの動態を世界で初めて明らかにすることが出来た(文献3)。また,クローン株特異的な遺伝子マーカーを一部得ている。本研究の意義は、これまでガン研究や環境毒性評価などの実験動物として用いられていながら、手つかずであったマングローブ・キリフィッシュの初期生活史を、様々なアプローチによって詳細に明らかにしたことにある。さらに、成長や繁殖に関わる遺伝的要因と環境要因の相互作用機構に迫り、水産増養殖研究における飼育技法や遺伝・育種に対して様々な応用形態の可能性を示した。
著者
阪倉 良孝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.121-123, 2010 (Released:2010-05-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1 1
著者
谷口 香織 高尾 秀樹 新名 真也 山中 祐二 岡田 幸長 中島 梨花 王 俊杰 辰野 竜平 阪倉 良孝 高谷 智裕 荒川 修 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.277-281, 2013-08-25 (Released:2013-09-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

トラフグ肝臓につき,滑らかな面を表側,肝門脈との結合部を上部として10分割し,マウス毒性試験で各部位の毒力を測定したところ,生肝臓58個体中16個体と凍結肝臓13個体中9個体ですべての部位が毒性を示した.毒の主体はテトロドトキシンであった.これらにつき,個体の平均毒力に対する各部位の相対毒力を求めて二元配置分散分析を行ったところ,凍結肝臓では毒の分布に有意な偏りは見られなかったが,生肝臓では右側中央下寄りの毒性が有意に高いことが分かった.肝臓の毒性評価に際しては,本部位を用いた個別検査の実施が望ましいと判断した.