著者
金 利昭
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.91-96, 2009-10-25
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

本研究は、自転車利用者の満足度を用いて自転車走行環境を評価し、自転車レーンのサービス水準を設定した。具体的な成果は第一に、自転車レーンにおける満足度評価の安定には10回程度の実走行が必要である。第二に、交通環境と満足度の関係を分析し、満足度モデルを構築した。第三に、構築した満足度モデルを用いてさまざまな道路状況における自転車レーン走行環境のサービス水準を設定した。これにより、利用者の満足度指標を用いた自転車レーンの評価を可能とした。
著者
矢澤 拓也 金 利昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_755-I_764, 2015
被引用文献数
4

本研究の目的は,普通自転車専用通行帯や自転車走行指導帯といった自転車レーンにおける自転車の利用実態を,昼間だけでなく夜間の自転車利用にも着目して明らかにすることである.交通量調査より,同一路線内でも整備状態の異なる箇所では自転車の通行位置割合が異なり,夜間には歩道や車道の整備状態によらず歩道通行の割合が10%程度増加することがわかった.アンケート調査より,昼間に比べ夜間の通行時に車や歩行者の交通量の減少,路面の色等の視認性低下を感じているが,通行位置選択では昼夜問わず,路面の「なめらかさ」や「車の交通量」「車との距離」を重視することがわかった.昼間は車道で夜間は歩道を通行する自転車利用者は,車からの視認性等の安全性を重視しており夜間には車と距離をとることができる歩道を通行することが推察された.
著者
金 利昭 本田 慎弥
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_585-I_594, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
10

自転車の車道左側通行を徹底しようとすれば,必然的に自転車利用者には車道上での迂回や歩道上での押し歩きを選択してもらうことになる.しかし現状では自転車利用者が迂回や押し歩きを選択することは少なく,歩道上を違法に通行することが黙認されている.本研究の目的は,自転車の車道左側通行に伴う迂回・歩道押し歩き・歩道通行の発生構造を,主要因である発着地点間の位置関係に着目して解明するこ とである.そのため消費者行動分析で用いられるPSM分析を応用した意識調査分析手法を開発し,幹線道路をケーススタディとしたアンケート調査を実施することにより歩道通行の発生構造を分析した.結果, 交差点間隔が200mと500mの場合,迂回・歩道押し歩きを無理なく選択する発着地点間の位置関係は,出発地から50m以内であることが判明した.
著者
木梨 真知子 金 利昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.329-338, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本稿では、茨城県日立市をケーススタディとし、防犯まちづくりの前段階として防犯環境設計からみた日立市の現状を把握するとともに、ひったくり犯罪を対象として環境的要因の分析により犯罪が発生しやすい市街地特性を明らかにすることを目的とする。数量化理論II類分析より、犯罪発生に影響する要因は、世帯密度、人口密度、金融機関、鉄道駅、警察署であることを示し、更に前面が空き地の街路や歩道のない街路が選定されていることを確認した。また、クラスター分析より犯罪タイプを4分類し、各犯罪タイプの市街地特性を明らかにした。
著者
川井 涼太 金 利昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1091-I_1100, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
8

近年,警察庁と国土交通省により自転車レーンや車道混在といった車道部の自転車通行空間の整備が推進されており,車道を通行する自転車の増加が見込まれる.車道を通行する自転車には駐停車車両の回避等の際に他車両と接触する危険性があり,後方確認や後方合図といった安全挙動の必要性が考えられるが,現行の交通規則は実効性に乏しい.そこで,本研究では,車道通行自転車の進路変更時における安全挙動に関してビデオ観測調査を行い,安全挙動の遵守実態の把握と安全挙動に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした.その結果,進路変更時に安全挙動を行っている自転車運転者は全体の半分以下であることが判明した.さらに,安全挙動の遵守率には,駐停車車両の路上占有幅,離隔幅,PET値,追い越し車種が影響を与える要因として抽出された.
著者
金 利昭 鈴木 直記 寺島 忠良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.20, pp.691-701, 2003
被引用文献数
1

近年、より高いモビリティを求めて、あるいは高齢社会の到来、環境問題といった社会変化を背景に新しい交通手段が開発されつつあり、私的短距離交通手段の多様化が著しい。その特徴は、電動化と小型化である。これにより、諸元、性能、形状が近似し区別することが難しい境界上の交通手段が出現している。特に注意すべき交通手段は、超小型1人乗り電気自動車、電動原動機付自転車、電動三.四輪車、電動キックスケーターである。<BR>本研究は、多様化する私的短距離交通手段の動向とその問題点を把握した上で、共存する際の論点を提起している。
著者
金 利昭 平井 隆大郎 矢澤 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_917-I_926, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
7

本研究ではウォーカー・ランナー・サイクリストが混在するレジャー交通の問題点を明らかにするため水戸市千波湖周回路のレジャー交通を対象にビデオ観測調査と利用者アンケート調査を行った.ビデオ観測調査からレジャー交通の行動パターンを13個抽出したが,特に「並走」「追い越し」「距離が近い」「通行帯侵入」が目立った.利用者行動が他者に与える不快度をアンケート調査を用いて分析した結果,利用者の多くが「並走」「通行帯侵入」に問題意識を抱いていた.最も必要とされるルール・マナーは「歩行者・自転車の通行帯区分」である.並走やイヤホン装着は全ての利用者にルール・マナーの適用が求められたが,並走サイクリストには強い指導,追い越しはサイクリストに対してのみであるなど個別ルール・マナーの対応が望まれていることがわかった.
著者
鈴木 美緒 吉田 長裕 山中 英生 金 利昭 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_867-I_881, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
58

近年,世界的に自転車の環境にやさしい交通手段としての特性が見直され, わが国においても自転車の都市交通における位置付けが見直される好機にある.特に,わが国の自転車は歩道走行が常態化していることから,歩行者の安全性を確保するべく,道路に走行空間を創出する動きが急速に進んでいる.しかし,実際には実務主導型で整備されているのが現状であり,このような一過性の政策では,時間を要するネットワーク整備は完成し得ない.そこで本研究では,17自治体を対象に自治体へのヒアリング調査を行ない,自転車交通に関する政策目標,ネットワーク計画の策定やその走行空間の考え方の違いを明らかにし,継続的な自転車走行空間整備が行なわれるための計画推進体制および実施協議体制のありかたについて考察した.