著者
鈴木 美緒 屋井 鉄雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.479-486, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

本研究では, 日本の都市部での自転車配慮型道路の整備にあたり, 自動車の進入を許可する運用方法の自転車共用通行帯を導入する可能性を, ドライビングシミュレータ実験で得た自動車走行特性から検討した. その結果, 十分な幅員の余裕がない車道に自転車を走行させる場合, 自動車進入可能な自転車共用通行帯を, 優先的に幅員を与えて導入することで, 自動車と自転車に適切な距離が保たれ, 自動車の速度も上昇することがわかった. また, 交差点では, 歩道より車道の自転車の方が対処されやすいことが明らかになった. さらに, 交差点や駐車車両, 自転車同士の追い越しなどでの自動車の挙動より, 自転車配慮型道路に求められる課題も見出せた.
著者
寺田 惇郎 平田 輝満 清水 吾妻介 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1205-I_1218, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
18

今後の空港計画において航空機騒音は依然重要な検討要素で,首都圏空港では今後の容量拡大を検討するうえで騒音負担のあり方を十分に議論することが必要不可欠となる.一方で従来から市街地上空を飛行しながら発着している福岡空港では滑走路増設による容量拡大計画が検討されている.本研究では,福岡空港周辺住民を対象に質問紙調査およびヘッドホン面接調査を並行して行い,航空機騒音への受容意識に関わる要因構造の把握を試みた.質問紙調査では,航空機騒音への受容意識には騒音の直接的影響だけでなく,空港アクセス利便性重視意識等も影響を及ぼしていることを明らかにした.ヘッドホン面接調査では,これまで十分に考察されてきたとは言い難い個人ごとの屋内騒音レベルや騒音への敏感さが騒音への不快感に与える影響について考察した.
著者
平田 輝満 清水 吾妻介 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1011-67_I_1022, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
13

首都圏空港の容量は,国際需要の継続的な伸びや小型機による多頻度運航化などを考慮すると長期的にみた場合未だ十分とは言えない.羽田空港再拡張後は4本の滑走路が井桁状の配置となり,飛行経路が複雑に交差する.その状態から新たな5本目の滑走路整備によるさらなる容量拡大を考えると,既存の滑走路との運用従属性が必ず生じるため,通常期待される追加滑走路1本による容量拡大効果が実現しない可能性が高い.また現状の空域スペースを考えると追加的な飛行経路を引くことは容易ではなく,現在は基本的に使用していない東京等の内陸上空空域の活用も必要になると考えられる.本研究では首都圏空港の将来的容量拡大の可能性について,羽田空港の第5滑走路整備による容量拡大の可能性と騒音影響について定量的な検討を行った.
著者
阪本 真 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_1089-I_1101, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
20

航空需要の増加に伴い,首都圏空港は更なる機能強化が必要とされている.海外では,従来の管制運用方式とは異なる先進的な管制運用方式の導入によって空港の機能強化が達成されている.本稿ではPoint Merge System(以下,PMS)と呼ばれる運用方式に着目し,従来の研究には見られない管制指示音声データを利用した分析により,PMSにおける管制指示及び航空機挙動の特性を定量的に明らかにした.次にこの結果を踏まえて先行研究で開発した基礎的なシミュレータの改良を進め,羽田空港にPMSを導入した場合の効果について基礎的な検討を行った.
著者
鈴木 美緒 細谷 奎介 屋井 鉄雄
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-30, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

近年,国道においても車道上自転車走行空間の整備が増えつつあるが,駐停車車両によって道路左端を占拠され,利用率が低下する問題が指摘されている.そこで本研究では,自転車の駐車車両追い越し挙動を観測し,その挙動に対する影響要因を実走観測およびサイクリングシミュレータ(CS)実験により明らかにすることで,整備において検討すべき項目を抽出した. その結果,実走観測では,車種や利用者属性の違いにより追い越し挙動が異なる傾向が見受けられ,CS 実験により,自転車レーンの整備により自動車に自転車の存在を認識させやすい追い越し挙動の実現が期待される結果となった.また,主観や車線数等の空間的な制約でデザインするのではなく,自動車交通の特性や挙動分析等によって道路を評価し,デザインする必要性が示唆される結果となった.
著者
福田 大輔 吉野 広郷 屋井 鉄雄 プラセティヨ イルワン
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.211-221, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1 7

“休日には労働の制約が無く, 個人は, 平日には行うことのできないアクティビティを時間や予算の制約下で行うことができる”という考えに基づき, アクティビティ間のトレード・オフ関係に着目して, 休日の活動時間価値を推定する方法を体系的に提示した. まず, 時間制約, 予算制約下の最適化行動モデルにおいて, 各アクティビティの限界効用が異なる場合が生じることに注目し, 時間配分モデル, 活動選択モデルという2種類の行動モデルを導出した. 次に, 仮想データを用いた数値実験を通じて, モデルのパラメータ推定上の諸特性を明らかした. 最後に, 活動時間価値の推定方法と信頼性評価の方法について述べ, その数値実験例を示した.
著者
作中 祐介 阪本 真 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_657-I_666, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
13

新興経済国を中心に世界の航空需要は年々増加しており,首都圏空港では早急な機能強化が最優先課題となっている.海外では効率的な管制処理システムの導入といったソフト面の整備が進んでおり,管制官のワークロード改善や燃料消費の削減,環境負荷の低減などの効果を上げている.本研究では,羽田空港に適した新たな管制処理システムを検討し,その導入効果を分析することを目的とする.そこで,管制処理システムの導入効果を管制面や運航面,環境面に関して,定量的に評価できる空域シミュレータの開発を行った.次に,都心上空を活用した管制処理システム案を作成し,その導入効果について開発した空域シミュレータによるシミュレーション分析を行った.分析結果から管制処理システムの導入効果に関して検討を行った.
著者
ポン・ヴェン・キェン 屋井 鉄雄
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2-14, 2016

<p>本研究の目的は,プノンペンで新たに導入されたバスを対象に,パラトランジット運転者がバスをどう受け入れるかと,端末交通としての事業運営の意向を明らかにすることである.運営企業であるMotodopsとRemorksの運転者へのインタビュー調査結果を用いて構造方程式を構築した結果,端末交通としての事業運営に対して,Motodops運転者はバスをどう受容するかに関わらず前向きである一方,Remorks運転者は生計への悪影響の恐れから後ろ向きであることが明らかになった.これを踏まえ,端末交通への参加を促すためのパラトランジットへの規制についても考察した.</p>
著者
岩倉 成志 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.109-114, 1990
被引用文献数
2

<p>A new station in the existing line has been provided variously because of a lack of the appropriate institution. Petitioned stations were widely known before the privatization of JNR. Now, development of residential districts or improvement of public transports are still required in metropolitan areas. From the view point of urban and transport planning, it is important to establish new process for a new station and to appreciate it and the effect. The purpose of this study is to state a new direction for station provision ment ioned above. Information from a few examples were collected in detail and the process was summarized. After land price models were calibrated, capital gain from a new station and area development were assessed.</p>
著者
清水 吾妻介 平田 輝満 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.851-862, 2010
被引用文献数
1

将来首都圏空港容量が不足する可能性に備えた長期的な視点での検討として,東京湾内において再拡張後の羽田と独立に運用することができる新滑走路整備の可能性について,羽田再拡張後の飛行経路および環境制約を前提に飛行方式設定を中心とした技術的な検討を行った.その結果,羽田からの離陸初期段階で比較的低高度での水平飛行などの条件が必要ではあるものの,海ほたるから木更津沖周辺でD滑走路と平行な新滑走路か,または,都心からやや距離があるものの,観音崎付近でA, C滑走路とほぼ平行な独立新滑走路を配置することが可能であることが分かった.更に可能配置例の必要航法精度や既存経路と環境への影響等について比較評価を行った.
著者
佐藤 恵大 鈴木 美緒 細谷 奎介 宮之上 慶 屋井 鉄雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_773-I_784, 2015

自転車運転者のマナーが問題視されているにもかかわらず,パターン化した教育が一律に行われていることや,「交通ルールを知っているが遵守しない」自転車利用者に対する教育方法が確立されていないことなど,自転車安全教育の改善には重要な課題が存在する.近年,体験させる教育ツールとして注目されているのが自転車シミュレータ(CS)である.そこで,本研究ではCSの教育機会への導入可能性を検討するために,法令違反による事故の傾向を整理し,CSの主観的評価とCSでの事故経験および教育効果の関連性を考察した後,自転車の法令違反行為をCSで再現できるか実験を行なった.その結果,CS走行シナリオ内で法令違反を含む普段通りの走行挙動が観測され,「交通ルールを知っているが遵守しない」違反挙動を再現できる可能性が示された.
著者
屋井 鉄雄 高田 和幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.761-768, 1996
被引用文献数
1

本研究では、まずアジア地域内の主要国際空港の広域性, ハブ機能性等の空港特性を評価する指標をネットワークデータ (頻度, 就航都市数, 路線距離) をもとに作成した。さらに空港のネットワーク形態により2空港間の関係が変化する競合指標を作成し, 近年のアジア圏域の空港間競争の状態を示した. つぎに各国の経済指標 (GDP, 貿易額) や需要データ (出国者, 入国者) と先に作成した評価指標との関連性を、経年的な変化を空港間の比較を通して行い, 指標の意味付けの検討を行った. また作成した指標の特性を考慮して各空港特性をネットワーク形態の観点から類型化を行い, 空港間の相対的な位置づけを示した.
著者
鈴木 美緒 吉田 長裕 山中 英生 金 利昭 屋井 鉄雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_867-I_881, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
58

近年,世界的に自転車の環境にやさしい交通手段としての特性が見直され, わが国においても自転車の都市交通における位置付けが見直される好機にある.特に,わが国の自転車は歩道走行が常態化していることから,歩行者の安全性を確保するべく,道路に走行空間を創出する動きが急速に進んでいる.しかし,実際には実務主導型で整備されているのが現状であり,このような一過性の政策では,時間を要するネットワーク整備は完成し得ない.そこで本研究では,17自治体を対象に自治体へのヒアリング調査を行ない,自転車交通に関する政策目標,ネットワーク計画の策定やその走行空間の考え方の違いを明らかにし,継続的な自転車走行空間整備が行なわれるための計画推進体制および実施協議体制のありかたについて考察した.
著者
屋井 鉄雄 平田 輝満 福田 大輔 鈴木 美緒 古倉 宗治 高川 剛
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

無数に存在する交差点での自転車と自動車の出合い頭事故を防ぐことを目的とし,自転車を検知するディテクターの諸元の検討,および事故を再現できるシステムの構築を行なった.その結果,歩道上の自転車の検知には70[mm]×150[mm]、300[μH]程度の四角形コイルが適していた。また,動体視野角の概念と実地観測調査結果を用い,仮想空間内で対象とする出合い頭事故の再現を可能とし,ドライビングシミュレータにより左側から進入する自転車を見落とし,衝突に至る過程を再現することができた.