著者
鈴木 増雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.880-883, 1995-11-05

学部学生時代から30数年ご指導を受けてきた久保亮五先生が去る3月31日に他界されて,もう3ヵ月が過ぎたが,今もって先生が身近に居られていつでもお逢いできるような気がしてならない.学部3年のときに受講した久保先生の熱力学・統計力学の講義は必ずしもわかり易くはなかったが,今でも思い出せるほど印象深い講義であった.それは,第一線で独創的な研究を行い,すでに世界的な業績をあげた物理学者の真摯な姿勢の窺える講義であった.
著者
鈴木 増雄
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.257-264, 1997-09-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
7

The purpose of the present paper is to formulate the quantum analysis of multivariate operator functions f({A_j}) by introducing auxiliary operators {H_j} satisfying the conditions that [H_j, H_κ]=0 , [H_j, A_κ ]=0 for j≠κ, and [H_j, [H_κ, A_κ]]=0. Then we have d^nf=Σ_<j1>...<jn> δ_H_<J1>・・・δ_H_<jn>f using the inner derivation δ_A : δ_AQ=[A, Q]=AQ-QA. The operator Taylor expansion formula is given in the form : f({A_j+x_jdA_j})=e^Σ_j^x_j^d_jf({A_j})=exp(Σ_jx_jδ_H_j)f({A_j})=Σ_nΣ_<j1>...<jn>x_<j1>・・・x_<jn>δ<j1>..., _<jn>f≡Σ_nΣ_<j1>..., _<jn>x_<j1>・・・x_<jn>f^<(n)>_<j1>..., _<jn> : dA_<J1>・・・dA_jn with dA_j≡[H_j, A_j]=δ_H_jA_j, and with the partial derivatives {d_j} with respect to {A_j}. Here, δ_<j1>..., _<jn> denotes an ordered partial inner derivation, and n!f^<(n)>_<j1>...<jn> denotes the n th derivative of f({A_j}).
著者
鈴木 増雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.880-883, 1995-11-05 (Released:2019-10-09)
参考文献数
29

学部学生時代から30数年ご指導を受けてきた久保亮五先生が去る3月31日に他界されて,もう3ヵ月が過ぎたが,今もって先生が身近に居られていつでもお逢いできるような気がしてならない.学部3年のときに受講した久保先生の熱力学・統計力学の講義は必ずしもわかり易くはなかったが,今でも思い出せるほど印象深い講義であった.それは,第一線で独創的な研究を行い,すでに世界的な業績をあげた物理学者の真摯な姿勢の窺える講義であった.
著者
安楽 泰宏 大矢 禎一 井野 正三 長谷川 修司 近藤 保 岩澤 康裕 鈴木 増雄 和達 三樹 脇田 宏 野津 憲治 田隅 三生 古川 行夫 長澤 勝明 遠山 潤志 齋藤 保男 小嶋 壮介
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.4-20, 1997-03

さらば欅の館:残心の記/安楽泰宏先生を送る/研究者として『生涯現役』を目指す/井野正三先生を送る/雑感1997年/近藤保先生を送る言葉/東大での二十数年を振り返って/鈴木増雄先生を送る/「地殻化学Jとともに/脇田宏先生を送る/さらば我が東大/田隅三生先生を送る/思い出すこと/長澤さんを送る/植物園を去るにあたって/齋藤さんを送る
著者
有光 敏彦 鈴木 増雄 東大・理 東大・理
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.F49-F57, 1977-03-20

スケーリング理論を超放射系に応用し,有限系でのその厳密解と比較するところにより,スケーリング理論の意味するところをはっきり知り,また久保,松尾,北原の1/Ω展開とのつながりもはっきりさせる。超放射系のモデルについては,(1)を参照されたい。ひとことで言えば,2準位の同じ原子N個を,えんぴつ型の容器に入れた系と,熱浴と接触した光子系とを考え,その間のカップリングについて,2次までを考慮するのである。
著者
鈴木 増雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:06272997)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.4-7, 1994-04-20

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著者
鈴木 増雄 野々村 禎彦 羽田野 直道
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

我々は「量子解析」と呼ばれる新しい数学を導入した。これは演算子の演算子による微積分学である。まず、Banach空間で演算子を引数とする関数を演算子で微分することから出発する。量子解析によると、Banach空間の演算子Aについてdf(A)=(df(A))/(dA)・dA (1)としたとき、この演算子微分は(df(A))/(da′)=∫^1_0f^<(1)>(A-tδ_A)dt (2)の形で表わされる。ここで、f^<(n)2>(x)は通常の意味での関数のn階微分、またδ_Aは内部微分で、次式で定義される:δ_AQ=[A,Q]=QA-QA.強調したいのは、式(1)においてdf(A)/dAは単に演算子dAを変形する超演算子ではなく、括りだされた形でコンパクトに式(2)のように表わされている点である。演算子微分を導入する方法は何通りかある。シフト演算子S_A(B):f(A)→f(A+B)を導入すると、代数学的に定式化することができる。この方法により、演算子の関数のLaurent級数を定義することができる。他にも、補助演算子{H_j}を導入する定式化もある。これを用いると、多演算子関数f({A_j})の微分も容易に定義できる。ここで、補助場演算子は以下の3条件を満足するように定める:(i)[H_j,H_k]=0,(ii)j≠kに対して[H_j,A_k]=0,(iii)[H_j,[H_k,A_k]]=0.我々はこの量子解析を、演算子の積公式を導くのに用いた。これにはlog(e^<zA>e^<xB>…)を自由Lie代数の要素(つまり交換関係)で展開するのが必要である。量子解析からこの展開係数があらわに計算できる。また、Dynkin-Specht-Weverの定理の拡張を与えた。この定理は上のような展開係数を求めるのに従来使われてきたが、その方法と我々の新たな方法との関係を明らかにした。このような議論は時間依存するハミルトニアンの時間発展演算子にも適用することができる。更に、量子解析をBanach空間だけでなく上に有界でない演算子についても定式化した。これを用いて、久保の線形応答理論やZubarevの非平衡統計力学の理論を新たな視点から再定式化した。非平衡散逸系のエントロピー演算子を自由Lie代数の要素で表わすことに成功した。