著者
鈴木 明哲
出版者
体育史学会
雑誌
体育史研究 (ISSN:09144730)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.29-40, 2023 (Released:2023-08-13)

This paper considers how the partner exercise has been retained in physical education practice and school sports festival from elementary school to senior high school in japan after deleted from the course of study. The partner exercise was deleted from the course of study were 1953 in elementary school, 1958 in junior high school and 1960 in senior high school. The Ministry of Education by the official daily gazette from 1958, in addition, strengthened the restriction of the course of study. The most important part of this argument is that the reason why the partner exercise has been retained in the physical education practice and the school sports festival under strengthened the restriction of the course of study.  The results of the considerations are summarized follows: In the course of study in elementary school (1949), the partner exercise belonged to the part of the calisthenics composed of three children without the pyramid building. Since the partner exercise deleted from the course of study in elementary school (1953), a lot of teachers through the discussion in physical education magazine recognized that the partner exercise is the same as the calisthenics. Therefore, the partner exercise has been exist in physical education practice in order to training physical fitness and mind.  In the course of study in junior high school and senior high school (1951), the partner exercise belonged to the part of the “Kohgi” (= apparatus gymnastics, pyramid building, stunts and tumbling). Since the “Kohgi” deleted from the course of study in junior high school (1958) and senior high school (1960), the partner exercise recognized the calisthenics as like elementary school has been retained in physical education practice.  A further important point is the relationship between the physical education practice and the school sports festival over the partner exercise. The partner exercise has been placed in the program of the school sports festival before practiced in physical education. Performing the partner exercise in the school sports festival needed a lot of time to prepare it, because many teachers and audience sought high performance for students. As a result, the partner exercise was practiced in physical education course in all year in order to complete it in the school sports festival.  Finally, the main reason why the partner exercise has been exist in the whole school after deleted from the course of study was that a lot of teachers gave it highly educational philosophy which the character building through the school life.
著者
鈴木 明哲
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.21-33, 2014-03-30 (Released:2016-07-02)
参考文献数
16
被引用文献数
5

本稿の目的は、日本スポーツ界における暴力的指導に関して、体育・スポーツ史研究及び教員養成の観点からいくつかの問題提起をすることである。 本稿による提言は以下のようにまとめられる。 1)注意すべき最も重要な点は、スポーツにおける暴力的指導に対して我々が「自己反省」の意識をもつ必要があり、これらの問題に関する全ての発端が体育やスポーツの内部に由来しているという認識をもつ必要があるということ。 2)日本のスポーツ界における暴力的指導が軍隊のシステムに由来しているという説明がなされている。が、しかし、この説明は歴史的史料に基づいておらず、実際にいつ、どのようにして学校の体育やスポーツに入ってきたのか、その過程についてはほとんどわかっていない。それゆえ我々は、史料に基づいた歴史的事実の提示をしなければならない。 3)スポーツにおける暴力的指導に関する歴史的研究が進展してこなかった理由は、問題史研究という手法に注目してこなかったからであり、我々はこの研究手法に注目する必要がある。 4)体育やスポーツのあらゆる分野で暴力のない新しい、創造的な指導法を構築するために、我々は体育やスポーツについて全く知らない多くの人々と意見を交換しなければならない。 5)教員養成系大学における学生たちの受講態度に留意することは、カリキュラム改革よりも重要である。 最後に重要な点として、本稿では以下の点を強調しておきたい。日本のスポーツ界から暴力的指導を排除することはおそらく困難であろうと思われるが、我々は、そのためには、相当に長い時間を要することを覚悟しなければならないということである。
著者
鈴木 明哲
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.26_2, 2017 (Released:2018-02-15)

現代におけるオリンピックやスポーツの教育的価値、そして体育やスポーツによる人格形成は揺るぎない価値として広く世界に流布されており、もはやそこに懐疑を挟むことはタブーである。 しかし、私たちはこれらの不変的な価値にあまりにも縛られすぎていないか。これらの不変的な価値によって、果たして多くの人々が幸福を感じ、そしてまたスポーツそのものが豊かに発展しているのであろうか。そもそもこれらの不変的な価値はどのようにして誕生し、世界に広まっていったのか。歴史的に検証し、現代との「ずれ」を指摘することは、スポーツに「託せないこと」を見出す手立てとなり得る。 本報告では、近代スポーツの功罪を、スポーツ教育と近代オリンピックという二つの事例から考えてみたい。近代以降、スポーツの教育的価値が形成され、しかも公教育システムとオリンピックムーブメントという二つの巨大な力を得て全世界に広まっていった。この教育的価値がいかに現代との「ずれ」を生じているのかを「罪」とし、逆に何が「功」として拾い上げられ、捉え直されるべきであるのか、体育・スポーツ史の立場から提案してみたい。
著者
楠戸 一彦 中村 哲夫 鈴木 明哲 崎田 嘉寛 孫 喜和
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,1946年に「対日アメリカ教育使節団」の一員として来日したC.H.マックロイ(1886-1959)の実践と理論が中国と日本に与えた影響について,まず中国で活動した時期(1913-1926)における実践と理論を中国の国立文書館や大学図書館及びアメリカの公立図書館と大学図書館で調査を実施した。次いで,調査結果に基づいて,マックロイの体育思想の中国と日本への影響について考察を進めた。これらの研究成果については,学会で発表すると同時に,学術誌に投稿し,『研究成果報告書』を作成した。