著者
吉井 ひろ子 田嶋 長子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.30-40, 2016-11-30 (Released:2017-11-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究の目的は,境界性パーソナリティ障害患者の看護における精神科熟練看護師の実践内容を明らかにすることである.7施設の精神科熟練看護師10名(平均看護師経験16年・平均精神科看護経験13年)に半構造的面接を行い,KJ法での分析の結果,115個のコードの抽出から25個のサブカテゴリと6つのカテゴリに生成された.BPD看護における熟練看護師は,BPD患者病理を理解した上で,【生きづらさや本音を引き出しながら患者を理解する】といった患者受容をし,【大切に思う気持ちを伝えることで安心と励ましを届ける】ことや,【“まきこまれない”を意識しすぎず思いに共感することで信頼関係を形成】していた.また,患者に即した成長を促す目的で,【患者のありのままを受容し,セルフコントロールを支える】ことや,【患者の状況に応じて枠組みを調整したりしなかったりしながら,セルフコントロールを手伝う】こと,心理的中立の立場を遵守するために,【看護師のありのままの自分を受容し,プロ意識でセルフコントロールする】ことも含め,全般にわたってフレキシブルな対処がみてとれた.これらから,BPD看護は難しくても,患者や看護師自身のありのままを受容し,看護師の思考と行動のフレームを柔軟に変容させたりさせなかったりするフレキシブルな対処によって,心的疲弊に陥らずよいかかわりを続けることが可能になると考えられた.
著者
大内 長子
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1969, no.20, pp.18-32, 1969-10-15 (Released:2010-05-07)
参考文献数
24

Creativity consists in the healthy active nature of the human personality as such and the possibility to develop it is common to all men.The end of education is the development of creativity. Creative education consists in establishing a psychological bond between the creative educator and the educand, and on the basis of this, to draw out the creative potential which lies hidden within the child. However, many conditions exist which tend to obstruct this type of education.Such conditions are the education for examinations in a school-bound society, the perversion of structure and function of the school, a lack of creative mentality in the teacher, influence of ideas widely spread in society, demands of the industrial and vocational structures, and other factors connected with these obstructing conditions such as the mental structure of the Japanese and the peculiar nature of Japanese society.In order to carry out creative education while facing these obstacles, all the individual teacher can do is to accept the given situation actively and develop his own vision.
著者
川島昭彦 川島 敏生 横塚 政久 野鳥 長子 三ツ木 豊 三ツ木 裕子 田村 真佐美 栗山 節郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.117-122, 1990
被引用文献数
1

廃用性筋萎縮が生じた膝伸筋のトルク, スピード, 大腿周径の変化を測定した。廃用によって, トルク, スピード, 周径のそれぞれに減少を認めた。減少率は, スピードに比較してトルクが高く, ST線維の萎縮の強さが推測された。さらに当院での通常の訓練を行った後に第二回の測定を行った。その結果, 統計的にトルクのみ改善を認め, スピードと周径に変化はなかった。今後, スピードに対するアプローチも必要と思われた。廃用による周径とトルク, スピードの相関は, 低いか, 無相関であった。周径で厳密に筋力を推定することは困難であり, 評価としての周径の意義について測定方法を含めた再考が必要と思われた。
著者
川島 敏生 野鳥 長子 武田 真佐美 高嶋 直美 長尾 啓子 重松 雄大 長屋 説 佐藤 宜充 山上 繁雄 栗山 節郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.345-350, 1998-07-31
被引用文献数
4

膝前十字靭帯損傷による神経受容器の機能低下によって筋の反応時間の遅れが予想される。また, 膝前十字靭帯損傷後の患者は特有な歩容を呈することが指摘されており, これが大腿四頭筋に与える影響も考えられる。今回それを検証することを目的に, 膝荊十字靭帯損傷患者の大腿四頭筋の等速性筋力・力発生率, 脛骨の前方動揺距離を測定するとともに, 表面筋電図を用いて大腿直筋・内側広筋の筋電図反応時間・電気力学的遅延・周波数解析などを行った。各パラメーターを健側・患側で比較した結果, 患側の等速性筋力・力発生率には有意な低-ドが, 脛骨前方動揺距離には有意な増大カ月忍められた。さらに, 患側の電気力学的遅延に有意な遅延が認められるとともに, 患側の内側広筋の平均パワー周波数に有意な低下が認められた。電気力学的遅延と脛骨前方動揺距離に相関は認められなかった。反応時間のうち, 中枢過程を反映するといわれている筋電図反応時間には差が認められず, 末梢過程を反映するといわれている電気力学的遅延に有意な遅延が認められた。また, %タイプII維が高い者に増大力月忍められるという力発生率と内側広筋の平均パワー周波数に有意な低-ドが認められた。これらのことから, 膝前十字靭帯損傷後の反応時間の遅れの原因が, 神経受容器の障害であるという予想に反し, 内側広筋のタイプII維の萎縮が原因であると推察した。また膝前十字靭帯損傷後の患者は大腿四頭筋の収縮を避ける歩容や股関節屈曲モーメントを大きくする歩容を呈するといわれている。この様な歩行が2関節筋で股関節屈曲作用もある大腿直筋と単関節筋で膝関節伸展作用のみの内側広筋の活動量に差をもたらし, その結果として同じ大腿四頭筋でありながら, タイプII維の萎縮に差を生じさせたと考えた。
著者
和田 由紀子 小山 聡子 本間 昭子 松岡 長子 葛綿 隆子 桑野 タイ子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.209-218, 2004-03-10
被引用文献数
2

本研究では、経験を通して習得する「看護業務の作業効率を高める要因」を明らかにすることを目的として、臨床における看護業務を作業の順序性・効率性・連続性の視点からそのすすめ方の実際を調査し検討した。対象は経験年数18年目と21年目の看護師各1名であり、休日と平日の8:30から11:30までの全行動について、VTRとチェックリストで連続的に撮影し記録した。病棟内各場所への移動、受け持ち患者間の移動及び看護業務を実施する順序性等について検討したところ、両者に情報収集に関する移動、頻度、時間、活用等で差異が認められた。今後、さらに質的検討を加えることにより看護業務を計画的かつ効率的にすすめる教育訓練に役立てられることが示唆された。