著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
小山 聡子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.104-117, 2020-08-31 (Released:2020-10-03)
参考文献数
34

ソーシャルワーク教育では,実習前後の演習教育においてロールプレイの導入が称揚されているが,具体的な方法提示は不十分である.そこで,演劇/ドラマの手法を適用したコミュニケーション集中授業の授業研究結果を踏まえて,ソーシャルワーク演習教育に示唆するものと留意点に関する考察をした.分析対象は,2015年と2016年に受講した学生の事後リポートである.分析を通して,①演劇/ドラマの手法が提供する「身体への回帰」とセットになった即興性の体験が,「いまここ」の感覚を呼び覚ますこと,②「評価の解体」によって各自が十分に認められる体感が,社会変革につながる価値の増殖を可能にすることがわかった.これらはクリティカル・ソーシャルワークが提唱するクリティカル・リフレクションへの第一歩を助けると考えられる.一方,こうした授業はその要素が演習教育全体に適切に配置されてこそ活かされる.演習教育の今後に向けた課題がクリアになった.
著者
小山 聡子 大江 篤 近藤 瑞木 斎藤 英喜 水口 幹記 竹下 悦子 山田 雄司 北條 勝貴 赤澤 春彦 佐々木 聡
出版者
二松學舍大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

本研究では、前近代日本の病気治療と呪術の変遷について、各自の専門とする時代を中心に史料調査などを行なった。1年に2回から3回の研究会を開き、各自の調査および研究成果を報告し、議論してきた。本研究では、日本についても、東アジア全体で考えていくべきであるとする認識を持ち、海外の研究者とも連絡を密にしてきました。2018年8月には、中国の浙江工商大学を会場に、国際シンポジウム「東アジアの歴史における病気治療と呪術」を主催した。本研究の成果は、前近代日本の病気治療と呪術に関して、各自の専門分野から論じた論集を2019年度末までに出版する予定となっており、現在、準備中である。
著者
小山 聡子
出版者
慶應義塾大学藝文学会
雑誌
芸文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
no.89, pp.251-234, 2005

立仙順朗教授退任記念論文集はじめにI フィオレンティーノの舞踊観II バレエ=パントマイムの実状と、それに対するフィオレンティーノの反論III フィオレンティーノによるダンス描写とバレエ史における価値IV フィオレンティーノの舞踊評の惜しまれる点結び
著者
小山 聡子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.17-31, 2011-08-31

ミクロレベルのソーシャルワークや心理臨床アプローチに寄せられる各種の批判を踏まえて,社会福祉教育における相談援助演習がそのカリキュラム冒頭で強調する「自己理解と他者理解」「他者とのコミュニケーション能力」等の涵養につき,今後のあり方を探るため,(1)各接批判動向を整理し,(2)ソーシャルワーク教育に果たす演劇的手法の意味を確認したうえで,(3)A女子大学社会福祉学科人間関係コース導入授業で演劇的手法を取り入れたグループワーク実践の結果を分析した.社会構成主義,障害理解の社会モデル,臨床心理批判等を踏まえるなら,導入の授業場面で起こった,(1)認知と体感の統合,(2)評価なしの空間における自由な振る舞いの発見を,単に個々人の気づきや変容志向のみに還元しないことが重要である.演劇的手法を取り入れたグループワークが,大局ではソフトな集団管理と価値の押しつけにならないよう,変わるべき制度のあり方とセットで論じることをはじめとする教育実践への示唆を得ることができた.
著者
和田 由紀子 小山 聡子 本間 昭子 松岡 長子 葛綿 隆子 桑野 タイ子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.209-218, 2004-03-10
被引用文献数
2

本研究では、経験を通して習得する「看護業務の作業効率を高める要因」を明らかにすることを目的として、臨床における看護業務を作業の順序性・効率性・連続性の視点からそのすすめ方の実際を調査し検討した。対象は経験年数18年目と21年目の看護師各1名であり、休日と平日の8:30から11:30までの全行動について、VTRとチェックリストで連続的に撮影し記録した。病棟内各場所への移動、受け持ち患者間の移動及び看護業務を実施する順序性等について検討したところ、両者に情報収集に関する移動、頻度、時間、活用等で差異が認められた。今後、さらに質的検討を加えることにより看護業務を計画的かつ効率的にすすめる教育訓練に役立てられることが示唆された。