著者
池田 崇 長澤 弘 山下 哲也 堀内 裕一郎 内田 貴久 野村 千尋 久合田 浩幸 磯和 祐喜子 石田 邦子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-52, 2015 (Released:2015-03-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕介護老人保健施設(老健)の入所者の消費エネルギー量と摂取エネルギー量の出納を算出し,自宅復帰か施設入所かの転帰に及ぼす影響について明らかにすること.〔方法〕対象は老健入所者121例.転帰をもとに自宅復帰群58例と施設・入院群63例の2群に分類し比較した.入所から1ヵ月の時点で,消費エネルギー量を24時間行動表とMETsから算出し,食事誘導性熱産生を加えて総消費量を求めた.また,摂取エネルギー量との差からエネルギー出納を算出した.さらに利用者背景,入所時FIMの評価を実施した.〔結果〕エネルギー出納は自宅復帰群で有意に高値であった.年齢,要介護度区分および入所時FIMには差は認められなかった.〔結語〕総消費エネルギー量を算出し,エネルギー出納をプラスバランスに維持する事で自宅復帰に寄与することが示唆された.
著者
長澤 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-13, 2003 (Released:2003-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
8 4

日常生活活動における筋力を考えていくうえで,筋力低下の原因の一つである長期臥床による廃用性筋萎縮,微少重力下での宇宙飛行士の筋萎縮など,筋の生理学的な側面を復習する。また日常生活活動の中における筋活動量という観点から,健常成人の場合および加齢による影響,整形外科疾患患者,脳血管障害患者等を通じ,理学療法に関連する論文の中から,臨床的理学療法手段の一つとして考慮すべき示唆に関してレビューする。
著者
滝沢 茂男 高田 一 木村 哲彦 青木 信夫 牛澤 賢二 武藤 佳恭 牧田 光代 長澤 弘 遠藤 敏 増田 信次 川澄 正史
出版者
特定非営利活動法人 高齢市民が活躍するための社会技術研究会
雑誌
バイオフィリア (ISSN:21868433)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.114-118, 2015

目的:一つの器具により二つの目的すなわち,段差等のある家屋内で行う介護作業時に,取扱いが容易で自由な移動が可能な機器と高齢障害者が創動運動により介護から自立にすすめるためのリハビリテーション器具の双方の機能を利用でき,狭いスペースを有効に利用できる車輪移動式のリフトの開発を目的とした。段差が利用の障害になる使用環境に於いて,車輪移動式のリフトの実用性は低かった。対象:この欠点を補い,機能の高い器具を提供する為に,創動運動兼用リフト装置の部品研究:①滑動安定板(そり)を備え,移動用のキャスターを取付けた脚部,②昇降ガイド部(機器収納部,運転牽引アーム,昇降部,昇降駆動部,昇降駆動制御部からなる),③上肢訓練用部品懸架装置取付装置,④上肢訓練用部品懸架装置,⑤運転牽引アーム,⑥ブレーキ装置,⑦パワーアシスト機構と,完成した場合の利用意識調査を研究した。方法:部品を試作し,神奈川県産業技術総合研究所において,ソリはたわみ試験,脚部は段差乗り上げ試験,前輪段差乗り上げ繰り返し走行試験,負過重試験を行った。開発後の普及可能性調査のため,大都市圏である東京都,大阪府,京都府,愛知県と一部三重県の合計2000箇所の介護老人保健施設,訪問看護ステーション,特別養護老人ホーム,療養型病床群を持つ病院に対しアンケート調査,機器展示会における聞き取り調査を実施した。結果:現在使用中の部品強度による安全性を確認し,開発可能性を明確にした。特に,脚部構造物中央に70Kgの過重,引っ張り力245Nで繰返し試験を行った。ソリ及び構造物は壊れず,たわみ試験では,ステンレスソリ検査の結果,ブレーキに使用できる可能性を確認した。アンケート回答で,新しい考え方や方法に対して意欲的な姿勢を認めた。タキザワ式・ソリ付き歩行器の双方に関し,認知度は低いが関心は高かった。考察:商品化の可能性・重要性が確認できた。普及には,諸外国と同様な利用に関する法整備の必要性が明確になった。
著者
長澤 弘
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

<p> 梅雨明け宣言が出された途端,太平洋高気圧の力をいやでも思い知らされている此の頃である.この暑い夏の盛りではあるが,第6回バイオフィリア リハビリテーション研究大会を開催するに至った.7年前に有志により発足した小さな研究会が,会員の努力により学際的な内容を多く含む会へと発展し続けていることは素晴らしいことであり,同時に研究成果を国民へ還元すべくさまざまな領域を含めた研究が進行中である.今回の研究大会が契機となり,さらに多くの賛同者および研究者が参入できるような成果をあげ,世界へ向けて発信できる研究大会になるようにと願っている.</p>
著者
前田 真治 長澤 弘 平賀 よしみ 頼住 孝二 古橋 紀久
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテ-ション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.p191-200, 1993-03
被引用文献数
10

脳内出血・脳梗塞の発症当日の治療として従来から安静臥床がなされているが,安静臥床による筋力低下・起立性低血圧などは,リハビリテ-ションを遅らせる要因となる.そこで,発症当日から座位・立位・歩行訓練などを試みた結果,体幹機能は対照群と比較して有意に維持でき,その後の機能予後も比較的良好なことを認めた.一方,自覚症状が訴えられない患者やII桁以上の意識障害で従命ができない患者は,安全管理の面から訓練不能であった.また,発症後数日間以上安静臥床させた群との比較でも再発・進行率には有意差はなかった.さらに最終到達運動機能については,不可逆的な廃用症候群が生じる前に訓練が始まれば差はないと考えられた.したがって,自覚症状を訴えることができ,II桁以上の意識障害と重篤な他の合併症がない限り,健側と体幹筋力維持,廃用症候群防止を目的に脳内出血・脳梗塞は発症当日から可及的立位・歩行訓練を開始することは可能と思われた.
著者
長澤 弘
出版者
明治大学
雑誌
明治大学農学部研究報告 (ISSN:04656083)
巻号頁・発行日
vol.128, pp.21-38, 2001-11-03

Mental and physical imbalances are sometimes reflected by abnormal behaviour and cause the diseases, especially those with long latency like cancers. Thus, adjustment of these imbalances or approach of hypo- or hyper-function to normal levels is a most potent method for prevention of these disorders. In this paper, the results obtained in this laboratory on the effects of Sasa Health^<(R)>, a medicinal preparation from bamboo grass leaf extract (S), on behaviour and mammary tumourigenesis in mice are briefly reviewed. Spontaneous motor activity declined by gonadectomy was elevated by S. By contrast, the stimulation of activity by restricted feeding was significantly decreased by S. S also suppressed the development and growth of mammary tumours. Associated with these, S modulated plasma and urine component levels, potentiated thymic immune function and superoxide dismutase activity and decreased plasma prolactin level. All findings revealed that S can normalize organisms through its modulation of general metabolism and stimulation of immune function, through which it modifies the behaviour and prevents mammary tumourigenesis. Based on body weight change and food and water intakes as well as external appearance, few deleterious side-effects of S was confirmed. Sasa Health^<(R)> is concluded to be a most potent and safe medicine for prevention and therapy of mental and physical disorders and, thus, for the maintenance of health, through its normalization effects.
著者
内山靖 松田 尚之 菅野 圭子 種物谷 由美 佐野 克哉 長澤 弘 石川 潤 山本 明美
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.313-320, 1988
被引用文献数
3

運動失調症においては, 種々の協調障害がいかなる能力障害を引きおこすかを整理する事が重要である。このような視点より, 以下の事が結論づけられた。(1)躯幹協調機能は, 移動能力をはじめとするADLとの相関が高く, 機能障害のなかで独立して扱う必要性が認められた。(2)上記に基づき, 躯幹協調機能ステージは, 臨床的にも簡便で正確な評価が可能であった。(3)坐位重心動揺結果は躯幹協調機能ステージとの関係が密接で, 立位重心動揺における結果も含めた解析を行うと, より有効な解釈が可能となった。(4)上記より, 運動失調症における機能障害分類の重要性と, それに基づく合目的理学療法の必要性が示された。