著者
吉池 紀子 北端 美紀 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.99-106, 2001-05-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

本論文では,ニューラルコンピューティングの組合せ最適化手法の応用例として,現代語を組み合わせた現代風「いろは歌」の作成方法を紹介する.ここでは,現代風「いろは歌」作成問題を2種類の組合せ最適化問題としてとらえてニューラルコンピューティング手法により解いた.1つ目の制約条件はすべての仮名を重複なく用いるような文節の組を選ぶ問題である.2つ目の制約条件は日本語の係り受け制約に基づいて語順を決める問題である. シミュレーションでは,ツリーサーチによる探索手法とCPU時間による性能の評価を行った.We present a neural computing approach for composing a new version of Iroha-Uta using modern Japanese words and grammar. A new Iroha-Uta is composed by satisfying the following two restrictions. One of restrictions is how to chose words that satisfy the rule of Iroha-Uta and the other is how to order these words for making sentence based on Japanese grammar. In our simulation, the performance of the proposed algorithm is evaluated in terms of the CPU time comparing with the tree search method.
著者
井庭 崇 竹中 平蔵 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.42, no.14, pp.73-89, 2001-12-15
被引用文献数
5

本論文では,マルチエージェントモデルによる人工市場アプローチによって,家庭用VTR における規格競争のモデル化と分析を行う.提案する人工市場モデルでは,マーケティング・サイエンスや消費者行動論などのモデルを用いてミクロレベルのモデル化を行うため,従来のマクロ集計的なネットワーク外部性モデルでは行うことができなかった分析が可能となる.シミュレーションの結果,局所的影響によって地域ごとに採用される方式が分離するという「地域性」の発生が観察され,それにより優位方式のマーケットシェアの拡大が抑制されることが分かった.また,現実のデータと照らし合わせることにより,消費者の方式選択における大域的影響度と局所的影響度のバランスを推計した.さらに,マーケットシェアの逆転現象の頻度とモデル設定との関係を調べることにより,序盤において局所的な影響を受けて確率的に方式選択する場合に逆転現象が生じうることが示された.最後に本論文の結果をふまえ,人工市場モデルの妥当性の検証に関する取り組むべき課題について考察する.In this paper, the format competition of video cassette recorders is analyzed by the artificial market approach with multi-agent model. The proposed artificial market model is made at microscopic level with models in marketing science and studies of consumer behavior, rather than aggregate macroscopic model of network externalities. As a result of the simulation, the emergence of "locality", which is caused by the local influence, is observed. In addition, the results show that the local clusters provide the brakes on the winner-take-all phenomenon. Then we estimate the balance of the global and local influences by comparing with the data in the real world. The frequency for the come-from-behind win and its settings are investigated. At the last part of the paper, the problem to work on about the model validation is discussed for the future study of artificial market simulation.
著者
吉池 紀子 北端 美紀 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.85, pp.61-64, 2000-09-21

本論文では,ニューラルコンピューティングの組合せ最適化手法の応用として,現代語を組み合わせた現代風「いろは歌」の作成方法を紹介する.ここでは,現代風「いろは歌」作成問題を二種類の組み合わせ最適化問題として捉えることによりニューラルコンピューティング手法により解くことを可能にした.一つ目の問題はすべての仮名を重複なく用いるような文節の組を選ぶ問題である.二つ目の問題は日本語の係り受け制約に基づいて語順を決める問題である.シミュレーションでは,あらかじめ語群として用意した964語の文節の中からいろは歌作成を行なった。その結果,自然な日本語に近い現代風「いろは歌」を生成できることが示された.We present a neural computing approach for composing a new version of Iroha-Uta using modern Japanese words and grammar. A new Iroha-Uta can be composed by satisfying the following tow restrictions. ura One of restrictions is how to chose words that satisfy the rule of Iroha-Uta and the other is how to order these words for making sentence based on Japanese grammar. In our simulation, 964 preset words are used for making Iroha-Uta. Our experimental results shows that the proposed algorithm can compose variations of Iroha-Uta as natural Japanese sentence.
著者
滝沢 茂男 武藤 佳恭
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-57, 2006 (Released:2007-12-28)
参考文献数
68
被引用文献数
2

人口の25%を高齢者が占める超高齢社会を迎え,高齢者の5 人に一人が要支援や要介護になる.介護は人と人との間での行為であり,在宅介護に入るヘルパーの8 割が腰痛に悩まされている.年齢状況を問わず,介護者の健康管理により,介護労災を防ぎ,介護力を高めることは,在宅の老々介護を可能にし,超高齢社会を安定的に維持するために重要である.顕著な筋骨格疾病減少を実現した英国法律を調査し,法整備とその執行についてわが国と比較した.わが国の筋骨格疾病減少へ向けた介護現場における意識,対策やその現状を調査し,明らかにした.これらの研究結果から,現状の法体系のままでは,わが国における看護・介護現場の筋骨格疾病減少は期待できないことが分かり,法整備の必要性を述べた.
著者
滝沢 茂男 武藤 佳恭
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
no.4, pp.43-57, 2006

人口の25%を高齢者が占める超高齢社会を迎え,高齢者の5 人に一人が要支援や要介護になる.介護は人と人との間での行為であり,在宅介護に入るヘルパーの8 割が腰痛に悩まされている.年齢状況を問わず,介護者の健康管理により,介護労災を防ぎ,介護力を高めることは,在宅の老々介護を可能にし,超高齢社会を安定的に維持するために重要である.顕著な筋骨格疾病減少を実現した英国法律を調査し,法整備とその執行についてわが国と比較した.わが国の筋骨格疾病減少へ向けた介護現場における意識,対策やその現状を調査し,明らかにした.これらの研究結果から,現状の法体系のままでは,わが国における看護・介護現場の筋骨格疾病減少は期待できないことが分かり,法整備の必要性を述べた.
著者
滝沢 茂男 高田 一 木村 哲彦 青木 信夫 牛澤 賢二 武藤 佳恭 牧田 光代 長澤 弘 遠藤 敏 増田 信次 川澄 正史
出版者
特定非営利活動法人 高齢市民が活躍するための社会技術研究会
雑誌
バイオフィリア (ISSN:21868433)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.114-118, 2015

目的:一つの器具により二つの目的すなわち,段差等のある家屋内で行う介護作業時に,取扱いが容易で自由な移動が可能な機器と高齢障害者が創動運動により介護から自立にすすめるためのリハビリテーション器具の双方の機能を利用でき,狭いスペースを有効に利用できる車輪移動式のリフトの開発を目的とした。段差が利用の障害になる使用環境に於いて,車輪移動式のリフトの実用性は低かった。対象:この欠点を補い,機能の高い器具を提供する為に,創動運動兼用リフト装置の部品研究:①滑動安定板(そり)を備え,移動用のキャスターを取付けた脚部,②昇降ガイド部(機器収納部,運転牽引アーム,昇降部,昇降駆動部,昇降駆動制御部からなる),③上肢訓練用部品懸架装置取付装置,④上肢訓練用部品懸架装置,⑤運転牽引アーム,⑥ブレーキ装置,⑦パワーアシスト機構と,完成した場合の利用意識調査を研究した。方法:部品を試作し,神奈川県産業技術総合研究所において,ソリはたわみ試験,脚部は段差乗り上げ試験,前輪段差乗り上げ繰り返し走行試験,負過重試験を行った。開発後の普及可能性調査のため,大都市圏である東京都,大阪府,京都府,愛知県と一部三重県の合計2000箇所の介護老人保健施設,訪問看護ステーション,特別養護老人ホーム,療養型病床群を持つ病院に対しアンケート調査,機器展示会における聞き取り調査を実施した。結果:現在使用中の部品強度による安全性を確認し,開発可能性を明確にした。特に,脚部構造物中央に70Kgの過重,引っ張り力245Nで繰返し試験を行った。ソリ及び構造物は壊れず,たわみ試験では,ステンレスソリ検査の結果,ブレーキに使用できる可能性を確認した。アンケート回答で,新しい考え方や方法に対して意欲的な姿勢を認めた。タキザワ式・ソリ付き歩行器の双方に関し,認知度は低いが関心は高かった。考察:商品化の可能性・重要性が確認できた。普及には,諸外国と同様な利用に関する法整備の必要性が明確になった。
著者
鎌田 悠奨 滝沢 茂男 武藤 佳恭 田中 敏幸
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.11-12, 2016

<p>近年, 脳卒中患者数の増加により理学療法士の負担が増加してきている. 私は患者が自ら行うことのできる創動運動が他のリハビリテーションよりも効果があることを示唆したいと考えた. 本研究ではその前段階として, 脳の錯覚を用いた新たな機能の獲得は可能かについて調べたいと考えている. そのため, ミラーボックスを用いたトレーニングの前後での書く能力の変化を測定し, 評価することで新たな機能は獲得可能かについて調べたい.</p>
著者
安藤類央 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.29, pp.77-80, 2006-03-17

本論文では、N色グラフ彩色可能判定問題に関して、パラモジュレーション(等号調整導出)をベースにした定理証明に、Hot List Strategyと呼ばれる計算戦略を適用することの有効性を示す。同計算戦略を用いると、等価代入の手法によっては目的する節が導出される前に冗長な節生成が起きる場合について、冗長な節の生成(遅延)によるCPU時間の削減を行うことが可能になる。グラフのN彩色判定問題において、等号調整導出による推論が適用できること、さらに等号調整導出の推論プロセスは、Hot List Strategyに対して効果的な適合をすることを示した。評価実験では、非ハミルトングラフであるぺテルセングラフを対象にし、彩色判定の際の生成節数やCPU時間を測定し、その結果推論の遅延と計算コストを削減できることが明らかになった。In this paper, we discuss the effectiveness of applying hot list strategy for paramodulation based N-coloring graph problem. This ATP (automated theorem proving) strategy reduces is designed to deal with a substantial delay in going to a retained conclusion, which makes it possible to reduce the CPU time occurred by redundant generated clauses. We show that paramodulation could used for formulating graph coloring problem and hot list strategy is suitable for controlling paramoudlation based resolution. In experiment, CPU time and the number of generated clauses is presented in solving coloring problem of Petersen graphs.
著者
鈴来響太郎 花田 彰 天野 英晴 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.111, pp.9-16, 1993-12-16

現在までに提案されている並列自動配線アルゴリズムのほとんどは、従来からある迷路法、線分探索法を並列化したものである。このため、細粒度の並列化と高いプロセッサ利用率を同時に実現できず、並列計算機に実装した場合に高い台数効果を得ることが難しい。本研究では、この条件を満たせるようにニューラルネットワークに基づく並列自動配線アルゴリズムを提案し、シーケンシャルマシン上に実装してアルゴリズムの質の評価を行なう。また、並列計算機への実装の方法についても検討する。Since most of proposed parallel routing algorithms are parallelized algorithms of maze running or line search which were developed for sequential machines, efficient parallel processing with high processor utilization is difficult. Here, a parallel routing algorithm based on neural networks which can achieve both high degree of parallelism and utilization ratio is proposed, and the quality of the solution is presented on a sequential machine. The implementation on a parallel machine is also discussed.
著者
武藤 佳恭 山本 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.12, pp.1316-1321, 2013-12-01

本論文は,(1)床発電の研究のはじまり,(2)床発電の実証実験と床発電商品としての実施例,(3)熱海市での温泉排熱を利用した温度差発電,(4)ロウソク熱を使った温度差発電,(5)たき火熱,薪ストーブの廃熱,バイクマフラー廃熱,懐炉(カイロ)廃熱などを利用した温度差発電,(6)自然廃熱を利用したマグマ熱発電まで網羅的に紹介する.エネルギーハーベスティングまたはパワーハーベスティングの研究は,新産業創出に貢献できるものと著者らは期待している.関連する測定技術や性能向上のための技術問題についても簡単に述べる.上記のうち,(1)〜(5)は,実証実験,(6)は日本国が実施すべきマグマ熱発電の概要を説明する.
著者
糸田 孝太 渡邊 紀文 武藤 佳恭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本研究では実試合データの映像及びトラッキングデータから,パスが行われているシーンを各フレーム毎に分析し,ロジスティック回帰によりモデルを構築した.さらに本モデルをRobocup2Dシミュレーションエージェントに実装することで,パス行動の予測を行った.
著者
清水 大輔 田中 敏幸 武藤 佳恭 滝沢 茂男
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集 第16回バイオフィリアリハビリテーション学会予稿集 (ISSN:18848699)
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-02-01)

本研究では、麻痺患者のfMRI画像とfNIRS画像における脳の活性化部位の対応関係と、fNIRS画像の活性化部位の対称性などからリハビリ効果を検証し、患者に効果的なリハビリを提供するシステムを構築することを目的とする。ここでは健常者に対してfMRIとfNIRSによる脳機能計測を行い、画像解析によりそれぞれの活性化部位を求める。活性化部位の対応関係と左右対称性を指標にすることにより、健側と麻痺側の運動能力差を脳機能から分析していく。
著者
井庭 崇 中鉢欣秀 松澤 芳昭 海保 研 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.44, no.14, pp.20-30, 2003-11-15
被引用文献数
5

本論文では,エージェントベースアプローチによって,社会・経済のモデルを作成するためのフレームワークを提案する.このフレームワークによって,「複雑系」(構成要素の振舞いのルールが状況によって動的に変化するシステム)のモデルを記述し,シミュレートすることが可能となる.提案フレームワークは,概念モデル・フレームワークとシミュレーションモデル・フレームワークの2つで構成され,モデル化からシミュレーションまでの一貫した支援を行う.提案フレームワークの特徴は,エージェント間の相互作用を,財(および情報)のやりとりとして明示化する点にある.また,エージェントの行動を,エージェントとは別のモデル要素として外部化し,オブジェクトコンポジションによって付加する点にも特徴がある.本論文は,社会・経済システムをオブジェクト指向でモデル化するための1つのパターンを提示するだけでなく,モデルを作成・実行する環境もあわせて提供することで,シミュレーションを行う仕組みも実現する.In this paper, we propose a framework of agent-based models for economies and societies.This framework allows us to describe and simulate the complex system where the rules of the behavior for each elements change dynamically through out the simulation.The proposed framework is based on a set of two models.One is for building the conceptual models and the other for executing the simulation.Two models together are able to process consistently from modeling to execution.One of characteristics in the proposed framework is that interactions between agents are clearly declared as the exchange of goods (with information).Also, a behavior is defined as a different object from each agents in the model to realize flexible design by using the object-composition technique.This paper not only provides a pattern of modeling the socio-economic system by using object-oriented methodology, but also is able to analyze the state of the system using simulation by providing the environment to build the model and execute the simulation.
著者
島 広樹 武藤 佳恭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.536, pp.17-23, 2002-01-03

エージェントベース社会シミュレーション(ABSS)は現実世界との乖離を抑え、実用性を模索する方向に進めていくべきだ。このための鍵は適切な調査を実施することである。ABSSのための調査には、モデル構築のための調査とパラメータ設定のための調査がある。前者は自由度の高い調査を利用し、論理的規則の抽出や構築したモデルの適用範囲を把握するために利用する。後者はエージェントのモデルを反映した複雑な構造を持つ調査によって、個々のエージェントを定義するために利用する。パラメータ設定のための調査には、数値的尺度を調整するためのものと論理構造を調整するためのものがある。
著者
藤澤 公也 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.91, pp.53-56, 2003-09-18

Recreational Mathematicsの分野ではWeb上で多くの未解決問題が提示され,活発に議論されている.本研究ではDuisenberg's Puzzleにおいて2000年6月28日に提示された未解決問題の一つである"Doubly AttackingQueens"問題に対してニューラルネットワークをベースとした新しい手法を適用した.本手法はニューラルネットワークの組合せ最適化手法に遺伝的アルゴリズムの突然変異を組み合わせたものであり,この問題における新しい解を発見することに成功した.In the field of Recreational Mathematics, many unsolved problems have been actively shown on the Internet Web where some solutions have been given. The problems:"Doubly AttackingQueens" is one of the unsolved problems shown on the Web site of Ken Duisenberg's Puzzle on June 28, 2000. In this research, the combined optimizing method using an artificial neural network and a genetic algorithm is proposed and new solutions are discovered.