著者
土屋 守克 伊藤 幸太 髙橋 誠一 坂上 貴之 眞邉 一近
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-78, 2021 (Released:2021-07-20)
参考文献数
29

目的:フライトナースのプレホスピタル・ケアを対象として,撮影された動画のオプティカルフローから算出した活動量(以下,動画活動量)を測定した上で,熟練者と初心者の相違について比較するとともに,機械学習による分類性能について検討することを目的とした.本研究の結果が明らかとなれば,臨床における教育や業務の省力化,効率化が期待できる.方法:熟練者および初心者フライトナースのべ30名を対象とした.対象者は,胸部にウェアラブルカメラを装着した上で業務に従事した.熟練者と初心者の分類のために機械学習および線形判別分析を行い,分類性能を検証した.結果:動画活動量のエントロピーの中央値は,熟練者のフライトナースが有意に低値であった.各分析方法における分類性能(適合率,再現率,F1値)は,サポートベクターマシンとランダムフォレストが高かった.結論:動画活動量のエントロピーが熟練性の指標となり得ること,エントロピーの経時的変化に対して機械学習を適用することにより,高い分類性能を示すことが明らかとなった.
著者
松本 啓子 村井 佳比子 眞邉 一近
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.2-18, 2014-07-30 (Released:2017-06-28)

研究の目的 美容師用集団SSTによって必要な社会的スキルを獲得することで、指名客数が増加するかどうかを検討するとともに、より効果的なSSTにするための要素を明らかにすることを目的とした。実験1 美容師20名を対象に、独立変数:美容師用集団SSTの各スキルトレーニング(笑顔・声・傾聴・雑談・説明)、従属変数:観察者による各スキル評定得点、実験デザイン:集団間多重ベースラインデザインによって検討した。また、SSTを実施することで指名客数が増加するかを調べた。その結果、SSTによって笑顔・声スキルの評定得点が上昇すること、傾聴スキルの評定得点の上昇率と指名客数の上昇率に関連があることがわかった。また、スキル評定得点の上昇率と業務時間中の接客行動自己記録票への記入率に関連があることが示唆された。実験2 美容師8名を対象に、独立変数:傾聴スキルの習得に重点を置いた美容師用集団SST修正版の各スキルトレーニング、従属変数:観察者による各スキル評定得点、実験デザイン:個体内ABデザインおよび統制群比較によって実験を行った。その結果、雑談スキル以外の評定得点が統制群より上昇することが示唆された。結論 美容師用集団SSTによって指名客数が増加する可能性があること、また、指名客数を増加させるためには傾聴スキルを身につける必要があることがわかった。効果的なSSTを実施するには、必要な社会的スキルに焦点化した短期間のトレーニングと、日常業務の中で繰り返し自己記録を取るという組み合わせが有効であることが示唆された。