著者
小薗 英雄 隠居 良行 久保 英夫 三浦 英之 前川 泰則 芳松 克則 木村 芳文 金田 行雄 小池 茂昭
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

1. 非定常および定常Navier-Stokes 方程式の調和解析学的研究:3次元空間内の有限個の閉曲面で囲まれる多重連結領域における定常Navier-Stokes 方程式の非斉次境界値問題に対して,可解性と安定性について論じた.特に与えられた境界値が一般化された流量条件を満たす場合に考察し,領域の調和ベクトル場に関係するある変分不等式を満たせば可解であることを証明した.この結果は,Leray-Fujita の不等式による既存の存在定理をすべて含むものである.安定性に関しては,主流が剛体からの摂動であれば,大きな流れであっても漸近安定であることを示した.また,境界がコンパクトではい一般の非有界領域において,通常のLp-空間とは異なる新たな~Lp-空間を導入し,Helmholtz 分解の一般化とStokes方程式の最大正則性定理を確立した.応用として,任意のL2-初期データに対して強エネルギー不等式をみたす乱流解を構成した.2.非圧縮性粘性流体中における走化性方程式系の適切性:n 次元ユークリッド空間Rn において,Keller-Segel 方程式系とNavier-Stokes 方程式の双方が混合した場合について考察し,小さな初期データに対して時間大域的軟解の存在,一意性およびその時間無限大における漸近挙動を証明した.解のクラスとしては,スケール不変な函数空間におけるものであり,特に弱Lp-空間が基礎となっている.応用として,斉次函数である初期データに対する自己相似解の存在が得られた.3.3次元空間における定常Navier-Stoes方程式におけるLiouville型定理:3次元空間においてDirichlet 積分有限の範囲で,定常Navier-Stokes 方程式の解のアプリオリ評価を,同積分と同じスケールを有する渦度ベクトルの無限遠方の挙動によって確立した.その応用として,渦度が無限遠方で距離の5/3乗よりも早い減衰を示すならば,自明解に限るというLiouvelle型定理を証明した.
著者
井口 達雄 高山 正宏 谷 温之 野寺 隆 隠居 良行
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

津波の伝播をシミュレートする際には,通常,水面の初期変位が海底地震による水底の永久変位に等しく,初期速度はいたるところ零であるという初期条件の下で,浅水波方程式が数値的に解かれている.本研究では,水の波の基礎方程式系から出発し,適当な仮定の下,この津波モデルの数学的に厳密な正当性を証明した.
著者
川島 秀一 隠居 良行 中村 徹 小川 卓克 池畠 良 小林 孝行 幡谷 泰史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

気体力学、弾性体力学、プラズマ物理学等に現れるいくつかの非線形偏微分方程式系に対し、その消散構造・減衰特性を解明し、様々な非線形振動・波動現象に対する漸近安定性を示した。また、緩和的双曲型保存系に対する非線形安定性解析の一般論を構築し、時間重み付きエネルギー法、半群に基づく手法、調和解析的手法等の有効性を確認した。